2001年10月リサイタル「午後のシャンソン」(帝国ホテル)で
「臈長けた容姿、長く垂らした髪、神秘的な瞳-。レニングラード(現サンクトペテルブルグ)生まれで、・・・」これは評論家・文化プロデューサ-の河内厚郎さんが一般社団法人近畿建設協会の機関誌「水が語るもの」の第23号(令和4年4月1日発行)に寄せた「水と文学」というエッセーの中の一節である。彼女の容貌をずばり言い当てていると思った。洗練された気品と美しさに溢れていると形容してもおかしくはなかろう。あるご婦人は「エジプトの王妃か巫女さんみたいね」と言っていた。ステージ上でスポットライトを浴びた姿を想像していただきたい。
そのグレース眞樹さんが集大成と言っていたのが1989年発売の2枚組CD「Grace Maki Chanson au Festival Hall」である。1989年3月14日に大阪・中之島のフェスティバル・ホールで行われたコンサートのライブ録音である。『大阪デビューとも言える作品で、40過ぎた頃のこと、バックがオーケストラ構成だったので、音楽監督と丁々発止のやりとりをくり返しながら作り上げた』と語ったとおり、力強い曲があるかと思えばやさしさに満ちた語りかけるような曲があり、かつての良き時代のシャンソン22曲で構成されている。伴奏のオーケストラとのマッチングも素晴らしく、大変な時間をかけて練り上げたと語ったとおりの贅沢なアルバムとなっている。これが一晩だけの催しだったとは、何とも贅沢な会だったことか! こうしてCDとして残して戴けたことは感謝の一言である。
(2024.8.1. K. K.)
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