幼児期・児童期の土踏まずと裸足についての指導理念について。
土踏まずのアーチ形状は、模式化すると、接地するのが2点となります。この2点にかかる圧力の差によって脚の筋肉が連動することで、円滑な姿勢制御をすることができ、体のバランスを保つことができるのです。
扁平足の場合は、姿勢情報の入力センサーとも言える土踏まずの機能がない、もしくは低下していることにより制御が遅れ、必要以上の脚力を使ってバランスを取っていると考えられ、体全体のバランスが崩れてしまうのです。
運動の場面では、平衡感覚(瞬時に力を発揮しやすい姿勢が取れるか否か)が、反応速度(瞬発力)や動作の切り返しに大きな影響を与え、土踏まずの有無によってはっきりとした差が生まれると考えられています。
最近では、子供の土踏まずを形成することを足育と呼び、靴や草履が見直される傾向がありますが、これは靴の高機能化によって足が過保護になり、土踏まずが正常に形成されなくなるのを憂慮されているためです。
また、裸足で生活することで、土踏まずの成長によいという考えの下、子供の足を鍛え、土踏まずの成長を促す取り組みとして、保育園・幼稚園・小学校などで常に裸足で生活させ、裸足で歩いたり走ったり、足を鍛える運動を積極的に取り入れる、はだし教育というものが注目されており、全国各地の学校で取り入れられています。
その他にも、草履や下駄など鼻緒付の履物を履いて生活することで、足の筋肉の鍛錬になり、土踏まず形成に効果があるとされています。学校でのはだし教育に絡め、鼻緒付の履物を素足で履くよう指定する学校などもあります。また、「健康草履ミサトっ子」という奈良県三郷町特産の草履があり、学校履きとするほか、親が子供に履くよう買い与える例も多いようです。
土踏まずの機能について!!
土踏まずには次のような役割があります。
•衝撃吸収
•足部の保護
•あおり歩行の効率を高める
•放熱
このうち最も重要な役割は足のバネ(衝撃吸収)にあります。
たとえばジョギング中に地面から受ける衝撃は、体重の三倍にもなります。それを和らげるのが土踏まずです。土踏まずのこの働きで、様々な路面での歩行・走行が力学的にも効率良くスムーズに行われるのです。このように土踏まずは、人が二本の足で立ち、歩くのには無くてはならない物なのです。
足に合わない靴を履くなど、足の使われ方によっては、土踏まずが正常に形成されないこともあります。土踏まずが正常に形成されていない足の代表的なものが、扁平足です。
ただ、外観上で確認できなくても、骨格としては形成されていることがあり、足裏が見かけ平らであっても扁平足でない場合もあります。
足が受ける負担について!
土踏まずにはクッションの役割と、姿勢を最適に保つためにバランスをとるセンサーの役割があります。土踏まずはとても複雑な動きをしており、きちんと機能しないと、しっかり地面を蹴って歩くことがむずかしくなります。
また、年齢と共に土踏まずは左右の高さがくるい、その結果体が歪む原因にもなります。
体の土台である土踏まずに問題が起こることは、体の一番上にある脳に問題が起きるため、私たちの健康に大きな影響を与えてしまうのです。
残念なことに、私たちの土踏まずは15歳までですでに何らかのトラブルが起きていると言われています。
私たちは、日々の生活において「立つ・歩く・走る」等、さまざまな動きを無意識にしています。このような無意識な動作の基本となるのが、実は足だと言われています。普段、何気なく歩いている状態でも、私たちの足には体重の約2割増の重さがかかってきています。例えば、体重65kgの人であれば、一歩あるくごとに約80kgの重さが足にかかっています。
私たちは特別に運動することもなく、普通に生活しているだけで1日約7500歩あるいていると言われており、単純計算で1日に600トン近い、とてつもない衝撃が足にかかっていることになります。さらに、アスファルト等の固い地面を歩いたり走ったりした場合などは、その1歩で体重の約5~7倍(体重65kgの人で、300kg~450kg)の重さが足にはかかっていると言われています。
このように、足(主に足の裏)には常に大きな衝撃がかかっているのです。恐ろしいことに、その衝撃は頭部にまで抜けているのです。
*幼児・土踏まずについての文献を引用しております。