不調、絶不調といっても良い。過労と診断された日を彷彿とさせる立ちくらみと気持ち悪さと一日中戦っていた。
当然先週の疲れを引き摺っているのだろう。
休みはしたが、根本的な疲れというか慢性的に溜まった疲労はそう簡単に取れるものでもなく、それがまた身体に出てきたのだろう。
薬は継続して飲んではいるが即効性は無い。プラシーボ効果を期待するもメンタルがその余裕を生まない。
終盤、断続的なめまいに耐え切れず椅子に座って机に突っ伏すに至った。
「声死んでんで」
電話で私の返答を聞いた元上司は第一声にそう言った。
それはそうだろう。脈拍すら弱める過労を舐めていただいては困る。私はこめかみを押さえながら返答した。
「そうですか?」
「そろそろ飛ぶんちゃうかって思って」
流石の洞察力。もしデスノートに出演していたならばなかなか良いところまで生き残っているタイプの人材である。
「それが出来れば良いんですが」
「上はそれを想定してるっぽいで。期待に応えてあげたら?」
なるほど、本日の面談にて上司が言っていた交代枠人材の存在がそれを示唆していたというのか。
私に需要が無くなったのならば素晴らしい。
だが会社からの需要は消えようとも顧客からの需要はなかなかそういうわけにはいかぬ。私の僅かながらの心残りは、現在も在籍してくれている全生徒のみである。