ことしも
夕暮れの裏庭に
カラスウリが
花びらの白い糸をほどいて
ひぐらしが鳴いて
夢幻
幽玄
逢魔が時
妖しいまでに美しい
夏の
日暮れ
小泉八雲の世界へ
扉が開く
秋に実る
あの
情熱的な赤い実からは
想像できない
白い花は
清らかで
儚くて
幻想的
それでいてどこか妖しく
それでいてどこか妖しく
暮れていく
空に
そして
降りてきた夜の闇に
たゆたう
季節の折々に
華やかさとは無縁の、
しん、と美しく
奥深い情景を目の当たりにすると
八雲の世界を
見いだすことがあります。
小泉八雲。
この国を
こよなく愛してくれた西洋人
ラフカディオ・ハーン。
怖い話は
実はものすごく苦手です。
八雲の作品は
怖いお話が多いけれど
彼の目を通して語られる日本の情景は
厳かで
怖いくらい美しくて
日本人として
それが誇らしく
うれしく、
でも
当時のこの国から
失われたもののあまり多さに
悲しくも
空しくもなる
わたしです。
カラスウリの花にかいま見る
美しい
幻影
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