これまで多くの展覧会に足を運んで、
江戸時代の浮世絵師と呼ばれる作家たちの肉筆画を含めた作品をたくさん観てきました。
版画に興味を持ったのはもちろんですが、
私が携わっている水墨画というジャンルのせいでしょうか
作品と同じくらい表装に感心することが多くありました。
表装とは書画の本紙を掛軸、帖、巻物などに仕立てることで、
特に見入ったのは掛軸の表装(軸装)でした。
多くは現代のように表具師と呼ばれる人たちの手によるものだと思うのですが、
表装が作品世界にあまりにリンクしていて、
それを含めて作品が完結しているようで
絵師たちが自身で表装も行っていたのではと思われる作品に出会うこともありました。
現代の作家たちは、日本画であっても作品のほとんどを額に納めますが
西洋文化が入って来るまで、作品を飾るのは伝統的なこの表装でした。
私はこれまで軸装(掛軸)作品を団体展や個展に出品する機会が何度かありましたが、
この伝統文化についてはまるで無知だったため、仕事はまったくのお任せでした。
しかも表装作業は時間がかかるため、ひと月以上かけてようやく作品が手元に戻ってきて、
なんとなくしっくりこない仕上がりと感じることが何度もありました。
話が少しスライドしますが
昨年、個展の際にはお客さまを正装でお迎えしたい。と一念発起して
着物の着付けをマスターしました。
それが一つのきっかけとなったようで、
着物ライフを楽しむ中で
日本の伝統の織物の知識も少しずつですが、頭に入ってくるようになりました。
そしてこの美しい織物を裂地として
掛軸を自分で作ってみてはどうだろうと考えるようになりました。
2020年より着物地に墨美神を描くことは始めておりましたので、
すでに『墨美神@kimonoアート』をご所蔵のコレクターさんもいらっしゃることと存じます。
2021年はそれをさらに進化させて、表装からすべて樋口鳳香の手による
『墨美神@kimonoアート』を完成形に近づけていく所存であります。
丹後ちりめんや、結城紬など豪華な日本の伝統織物も取り入れていきますので
どうぞご期待くださいませ。
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