本日は、昨年『2019現水春季展』の受賞作品をいくつかご紹介いたします。
その前に水墨画について、少しお話ししますね。
水墨画は墨1色で描かれますが、
世間一般に言うモノクロの絵画ではありません。
煤と膠で作られた墨の色は、ただの黒ではありません。
水墨画で使用される少し青みがかった『青墨』は松煙墨と言います。
その主原料は、松を焚いて取れる煤です。
(ちなみに書道で主に使われるのは油煙墨で、菜種油や、鉱物油から取られます)
松の煤は大小の粒子から成っていて、
それぞれの粒子が受ける光は、均一に反射しないため、
見る角度によって色や、深みや、奥行きを感じることができます。
濃墨から薄墨までのやわらかなグラデーションの中に、無限の広がりを感じることができるのです。
中国には古くから『墨に五彩あり』という言葉がありますが、
それにはそうした科学的な裏付けもあったのです。
…さて本題に戻って、『おうちで展覧会2019現水春季展』ですが
画像は作品集からスキャンしたものです。
作品を印刷物にするにあたって、まず写真を撮ります。
その写真をモノクロデータに変換して、
その後オフセット印刷のドットでグラデーションが再現されるため
残念ですが、実際の作品の深みは伝わりません。
しかし、水墨画=山水画という古いイメージは払拭できると思います。
モチーフや表現が意外に自由なんだな、と思っていただけると幸いです。
2019現水春季展大賞 「MOTOWN」八木良訓
2019現水春季展準大賞 「猫」名嘉真朝久
2019現水春季展準大賞 「東風」毛利鋭子
※秋に東京都美術館で開催される『現水展』10/7(水)~10/14(水)は全国公募です。
応募作品は、水墨画の技法に絞ったものではありません。
規定サイズで、主に墨を使っている平面作品であれば、どなたでも参加いただけます。
応募要項をご希望の方は、ぜひ事務局までお気軽にご連絡くださいませ。
応募締切は例年の場合7月です。
現水ホームページ http://www.sumiart.jp/html/gensuiten.html
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