風にとまれと言っても無駄だ
風に止まる場所はない
風にあるのは方向だけだ
それも重なり合う雲のせいで
目標は常に不可視
それでも風は止まらない
流れるのが宿命
どこか
としか言えないが
どこかは
必ずどこかにある
風にとまれと言っても無駄だ
風に止まる場所はない
風にあるのは方向だけだ
それも重なり合う雲のせいで
目標は常に不可視
それでも風は止まらない
流れるのが宿命
どこか
としか言えないが
どこかは
必ずどこかにある
街
空の下
陽の下
雨の下
人が歩いている
自転車に乗る人がいる
走る人がいる
今時だ
スマホに夢中な人が歩いている
ずっと目を離さない
車が走る
大きさに物言わせ
横暴に無礼に走る
立ちすくむ人がいる
歩道だというのに座り込む人
大声で周りを震わせ
塊を組む集団
街の上
道と建物とほんの樹木と
看板に電線
そして信号
信号は街の象徴だ
赤なら止まれ
青なら進め
止まれとも進めとも言わぬ黄色
黄色は
人の核心だ