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彼の作品はネット上で不謹慎議論等が何度もありつつ、
その評価の高さ含めて気になっていたのでした。
作品の内容的に美術館でできるかどうか危うい作家なので、
「やるな、森美術館!」とか思いつつ。
今回も18禁部屋があるとかで、ちょっと覚悟しつつ。
帰省時に行った横尾忠則現代美術館で、
改めて横尾氏の天才ぶりに圧倒されたのですが、
確かに同じ天才性=時代への“斜めまっすぐ”ベクトルを感じつつ、
表現の多様性と人への向き合い方(人の目感というか、意識的な強がり感?)
に今様を感じました。
ちょうど前の晩、ネット仲間に教えていただいて、
茂木先生との対談番組をちょこっと見たのですが、
彼の“自称天才”は、バリアというか、
人除け=「こういうこというヤツってひくだろ?」的要素もある気がしました。
茂木さんが会田作品を見て「もっと自由にやろうと思った」的なことを言ってたけど、
会田氏はそんなに自由ではない気がするなぁ。
不自由さ、それが彼の創作意欲になってるというか(自由への脅迫観念みたいな)。
個人的には戦争作品や3.11関連の作品にかなり衝撃を受けました。
初期作品でもラベリング的な作品が面白かったけれど、
時代の空気感の即物的コラージュというか捉え方は作風として強みかも。
代表作の「紐育空爆之図」他「戦争画RETURNSシリーズ」は思ってたよりぐっと重かった。
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「電信柱、カラス、その他」は松井冬子さん的こわさ。
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そして「モニュメント・フォー・ナッシング」の発想には
精神的にひれ伏してしまいました。
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あとギョエン構想はかなり好き♪あの「考えない人」の部屋は
「お気に入り保存」かも。
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うわさの18禁部屋に関しては、これはもう各人で感じるしかないので、
ここではノーコメントで(書店にいくとアートコーナーで普通に見ることができます)。
こういう不謹慎系作品=古くは「アンダルシアの犬」他、やキリスト教の拷問図、
また映画の残虐表現などを観るといつも思う、
人間というシステムのバグのような、楽園の蛇のようななにか。
それは個人的な体験なのか、集合的無意識なのか、ぬわんて~~。
村上隆氏、山口晃氏、松井冬子さん、スプツニ子さん他と同じ
サブカル系の毒のにおいは、日本の同時代作家の特性ともいえそうですが、
会田氏は若干中学生的不良な不器用さというか、
シャイなあまり常軌を逸してるというか、
真面目さがかなり不思議なねじれ具合なのかな、と感じました。
今回、同行者のおかげで、いろいろ発見もあって、
それも面白く観れたポイントかも。
この手の作品展は、やはりわいわいつっこみながら観るのが吉ですね。
ひさうちみちお、スネークマンショー、「ムカデ人間」などの名前を出しつつ
観賞しました♪
(サラリーマンの「灰色の山」の中にウォーリーを発見してくれてありがとう。
作品評価すら変る一大発見であった!)
そうそう、帰りの電車の中でも「荒川修作が好き、と書かれてた」
(もうね、細かい字読めませんから!・・・ギョエン構想、頑張って読んだけど;)
という情報を教えてもらって、なんかすごく納得であった。
言霊寄りの記号アートでもあるのですね。
なんか、まだ消化不良ながら、
こういう気持ちにさせてくれる現代アートの展示会は、
やっぱり面白い♪と感じてしまうのでした。。。
それにしても森美術館、「イ・ブル展」、「小谷元彦 幽体の知覚」と
現時点で私的にはハズレなしです。
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※(公式サイト注意書き)本展には、性的表現を含む刺激の強い作品が含まれています。いずれも現代社会の多様な側面を反映したものですが、このような傾向の作品を不快に感じる方は、入場に際して事前にご了承いただきますようお願い致します。なお、とくに刺激が強いと思われる作品は、18歳未満の方の入場をご遠慮いただいている特定のギャラリーに展示されています。
会田誠:天才でごめんなさい 森美術館公式サイト
参考:
弐代目・青い日記帳
会田誠が語る「アート」の未来(会場風景)
追記:自分コメントより(ぐるぐる反芻の断片より)
「ちょっとわき道それますが、
実は私は「ミイラ」というものがとてつもなく苦手で、
それが芸術的・歴史的・文化的価値があるといくらいわれても、
大英博物館やツタンカーメン展には一生行けないだろう、という有り様なのですが(汗)、
アートは実に奥が深い。。。
現代アートはデュシャン以来のいったもん勝ち・やったもん勝ち要素も大ですね。
アートの定義って、個人的な体験と集合的無意識のはざまで揺れてるような。
宗教画にまま見るとてつもない残酷表現は、戒めだけでなく、
特殊な脳内ホルモンを引き出してるのではないだろうか、とか考えちゃうのですが、
サブカルが引き出す脳内ホルモンが気になるところです(文化の奥底に通じてそうな。。。)
きっとコミケなどの定枠内で、見世物小屋を覗く感覚くらいがほどよいのでしょうが、
これが美術館という装置にはまると毒が出ますね。
私の場合、腑に落とそうとしてしまうので、なんか観賞後の反芻がやたら長い気がします;;」
「ありとあらゆる好奇心も帰着点が「一人の行為」なところもあって、
だからこその特攻隊のような表現(あ。これ西原理恵子先生にも感じます~)。
それをこんなにさらけ出してしまって、この先、彼の一人性はどこにいくのかな、
とかお節介考えてしまいます。
ギョエン構想がそのヒントだったらいいなぁ。。。(あの作品?が一番好きです・笑)」
「サブカルが入ることで、かえって自己主張感が薄らぐのは最近のアーティストに共通なのかも?」
「現代アートって何?という問い掛かけはプログレって何?と同じなのですが、
ある種の「装置」なのかなぁ、という気がひしひしとしています。
観賞ではなく同時体験。
だからこそ傷も深いし、感情もゆさぶられるのかな、と。
いいかえれば、そういうのがよき現代アート?
(よいか悪いかにも意味はあるようでない、ので便宜上)。」
「エロとエロスは永遠の楽園喪失課題で、
「文字に欲情できるのか実験」が成立するなら、
とんでもないところにとんでもないエロがまみれてるのかもです。うーむ。
基本エロスは人間の生命活動に組み込まれてるんで、いかんともしがたい。
あとは暴力性とか残酷さとか。希釈度の違いなんじゃないかとか、
網のかかり方の違いなんじゃないかとか、思うわけです。
が、キモいものはキモい。
なんでそれが出てくるのか、アウシュビッツはなんで作れたのか。
人間の闇は深いです・・・
あああ、またぐるぐるしてきましたわ。
(私はやっぱり本人許可のないミイラ開示はありえない、と思うわけです。死体冒涜)」
「ちょっとそういう自分のタブー、他者のタブー、社会のタブー、
そしてタブー破りみたいなことの仕組みとか、ついつい考えてしまう企画展でした。」
「いろいろありそうです、美術界、文壇、その他の権力ヒエラルキー。
そこをカサコソ進むのはけっこう知恵がいりそう。
あの天才の10箇条(でしたか?)はカサコソに近いのかも?とも思います。」
「大半の絵作品は、あっと驚く筆致というか技術力です。
そこにあっと驚く発想が加わって、天才を構成してるのかな、と。
ただ、あっと言わせたいマインドの暴走(?)が
モラルをぐわ~~~んと超えてしまうようですにゃ
(インタビューが本音だとしたら、変なサービス精神もあるような気がします)。
が、それがアートだ、といえばそうなのかも。」
えへへ、ぐるぐる考えるの楽しいです。
ちなみに今会田twitter作品、炎上気味ですが
その動向まで含めてインスタレーションを見るようで、
ハプニング仕掛けられたかな?と疑っております。
あ~~~、なんて楽しい♪