PICマイコンに電源をつなぐ回路
PICマイコンを動作させるために、電源をつなぐ必要があります。電源は、PICマイコンの1番ピン(VDD)にプラス、
8番ピン(VSS)にマイナスをつなげればよいので、
実体配線図としては以下のようになります。
電源の接続はこれでとりあえずOKです。今回の入門で作成する発光ダイオード1個を点滅させる回路であれば、
特にこれで問題ありません。
ただ将来、規模の大きい回路を作成するようになると、この接続では問題が出るケースがあります。今回はその問題と対策について説明します。また、この対策はPICマイコンに限らず、いろいろな場面で使用されていますので、是非覚えておきたい項目です。ということで、この入門で作成する回路にもこの対策を入れることにします。今回作成する回路では効果はあまりありませんが、対策の仕方も重要なポイントがありますので、実装することにより確認しておきます。
問題とは?
唐突ですが、こんな経験はないでしょうか。
暑い日にエアコンと照明をつけていると冷房運転が始まるときに一瞬照明が暗くなったり、タワー型のPCの電源を入れるときに机の上の照明が一瞬暗くなったり、という経験はないでしょうか。これは、エアコンの冷房運転開始時やPCの電源ON時、突入電流と呼ばれる大きな電流がエアコンやPCに、ほんの一瞬流れることによる影響です。
エアコンの冷房運転開始時など、ある電気製品にほんの一瞬だけ大きな電流が流れると、その部屋(あるいはその家)への電力の供給が追いつかず(実際には大電流が流れることにより電線上で電圧降下がおきて)、他の電気製品の電圧が一瞬だけ下がり、それにより照明が一瞬暗くなる、という現象が発生します。
実は、PICマイコンの回路でも、同じようなことが発生することがあります。
まず、PICマイコンにいろいろな回路が接続されているとき、ある動作のときに大きな電流が流れることがあります。例えば、発光ダイオードを何個も接続されていて、それらが一斉に点灯する、というような場合です。このとき、電源からの電力の供給が追いつかず、一瞬PICマイコンの電源供給が少なくなる(電圧が低下する)、という現象が発生することがあります。
先ほどの照明の例では一瞬暗くなるだけですので、ちょっと「あれっ?」って思っておしまい、という感じです。でもPICマイコンの場合、この現象により動作が不安定になることがあります。例えばPICマイコンでモータ制御などをしている場合、モーターが予期できない動きをして危険な状況になることもありますので、この現象は極力避ける必要があります。
このような問題を避けるためにこれから対策を行います。
対策方法は?
この問題は、電力供給が一瞬追いつかなくなることが原因なので、例えば、いつでももっと大きな電流を供給できるように電源を強化することが考えられます。ただ、電源を強化すると、例えば電池の数を多くしたりとか結構お金がかかりそうですよね。また、電源を強化しても、電源とPICマイコンを接続する電線にある程度長さがあり、これもこの問題の原因となっていますので、根本的な解決にはなりません。そこで、電池からPICマイコンまで接続している電線の距離を超短くすることも考えられます。ただこの場合、PICマイコンが複数あったり、物理的にうまくつなげないこともあるのでいい解決策にはならないですよね。
そこでこのような不都合なく、問題を解決するために、PICマイコンのVDD/VSSピンのすぐそばに、一瞬電力が足りなくなったらサッと電力を供給してあげる部品を接続する、という方法がとられています。
対策に使用する電子部品
対策に使用する電子部品とは、「コンデンサ」という部品です。コンデンサにはいろいろな種類や役割があり、詳しく説明するとかなり難しい内容になってしまいますので、性質だけ説明しておきますね。これ以外にもいろいろな性質がありますが、この入門で必要な性質は以下の2点です。
ちょっとだけ、電気をためておくことができる
電気的ノイズの影響を緩和することができる
先ほどの問題を解決できるポイントは、「ちょっとだけ、電気をためておくことができる」という点です。PICマイコンが一瞬だけ電力不足になったら、電源から電力が十分供給されるまでのその一瞬だけ、ためておいた電気をすぐそばから供給してあげる、という動作をします。一瞬の出来事なので、その一瞬の対応ができれぱよいわけです。
また、電気的なノイズの影響を完全に除去とまではいきませんが、緩和することもできます。この仕組みについてはかなり難しい内容となりますので、こういう性質がある、とだけにしておきます。
次に、コンデンサについて説明します。今回使用するコンデンサは以下のようなものです。コンデンサは非常に多くの種類がありますので、コンデンサはこの形状、と思い込まないようにしてくださいね。
また、コンデンサは接続の向き(極性)があるものもないものもあります。このコンデンサは接続向きはありません(極性がない)。
電子回路記号は以下になります。
コンデンサには多くの種類がありますので、それに対応して電子回路記号も他に種類があります。今回使用するコンデンサはこの記号になります。
先ほど説明した、一瞬電力の供給が追いつかなくなることを避けるために、PICマイコンのVDDとVSSピンの間にこのコンデンサを接続します。この問題の原因のひとつに、電源とPICマイコンを接続する電線にある程度長さがあることもあります。そこで、このコンデンサは物理的にPICマイコンのすぐそばに接続する必要があります。
ところで、以前説明した抵抗は値がありました。コンデンサにも値があります。コンデンサの場合は容量といって、ファラッド(F)という単位を使います。数が大きい方がより多くの電気をためることができます。今回使用するコンデンサの容量は 0.1マイクロファラッド です。なお、この入門ではコンデンサはこの1種類しか使用しませんので、値の読み方については説明を省略します。(抵抗ではカラーコードで数字を表現して、その数字から実際の値を導きましたが、コンデンサの場合は数字が書いてあり、ほぼ抵抗と同じように実際の値を導きます)
電力が足りなくなったら電気を供給するのだから、容量は大きければ大きいほどいいのでは? と思われた方もいらっしゃるかもしれません。確かに電力供給の観点からするとその通りです。ただ先ほど説明したように、このコンデンサはノイズを低減する役割も担います。ノイズを低減する場合、容量が大きいとその効果がなくなってきますので、電力供給の観点、ノイズ低減の観点両方からちょうどいいところが0.1μFぐらい、ということでこの値が選ばれています。
なお、このコンデンサのことを「バイパスコンデンサ」略して「パスコン」と呼びます。
対策を入れた実体配線図
実体配線図は以下のようになります。PICマイコンのVDDとVSSのすぐそばに接続するのがポイントです。
対策を入れた回路図
実弟配線図ができましたので、今までの電子回路記号を使用して回路図にしてみます。
いくつか補足する必要がありますので説明します。
まず、コンデンサの単位はマイクロファラッドで、記号で書くと、「μF」となります。コンデンサの単位はFと決まっていますので、Fは通常記載しません。また「μ」ですが、半角英数字では入力できないため、「μ」の代わりに、アルファベットの中で一番にている “u” (小文字のユー)を使用します。先ほど作成した回路図を書き直すと、
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回胴式遊戯機技術研究会はパチスロの入出力信号を調べて、オシロスコープで波形をみて、その通りの疑似信号を出力するマイコンプログラムを作成して、回路にのせて、パチスロのメダル不要回路を作成して、卒業の技術講習を開講しています。
この機会に、パチスロの基礎から学んで、アミューズメント仕様パチスロの技術を身につけてみませんか?
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ご不明の点はご遠慮なくお尋ね下さい。存じ上げていることは丁寧にご案内させていただきます。
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