ある女性のお話
夕暮れどき、電光板に厚生省のえらいさまが逮捕されたとか、
指名手配中の物騒な犯人が、やっと捕まったという
ニュースが流れていました。
電光板のニュースの文字を読みながら、
バス停で私はバスを待っていました。
同じくバスを待っていた見知らぬ老女が、
話しかけてきました。
「この世は魂の修行場、悪いことをすりゃ、
死んでもまた生まれてきて、修行のし直しをせにゃならん。
誰でも自分のまいた種は自分で刈らにゃならん。
なんでそれが分からんのでっしゃろなあ。
こんな人が多うなったら、これからの日本
どうなるんでしゃろなあ」
少し背中の曲がった、70歳はとうに過ぎていると思われる、
眼の澄んだおばあさんでした。
この言葉はどんな立派なお寺で聞く法話よりも、
強く私の胸に染みました。
「この世は魂の修行場」とか
「自分のまいた種は自分で刈らにゃあならん」と言っています。
長年生きてきた老女の知恵でもあり、
人生の教訓を言い当てた言葉でもありますね。