治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

情けは人のためならず 生まれて初めての交通事故ご報告 その3

2024-12-01 11:16:58 | 日記
事故翌日の朝、目覚めてみると脳がこう話しかけてきました。
「おはようございます。ぐっすり眠れましたね。膝の可動域がマシになって、自然に寝返り打てたのが勝因ですね。さて、立ち上がりましょう。昨日より右脚は回復していますよ。ただ、まだ軸足としては当てにしないでください」

そしてすっくと立ち上がると、夫が「おや」という顔をしました。昨日との違いを感じ取ったようです。つまり、まだ歩けないけど、回復しているのは見て取ったのですね。これ以降、病院行くかとは言わなくなりました。

私は昨日のやりとりから、車いすになるものが家の中にないか考えておりました。そして思いつきました。仕事部屋で使っているアーロンチェアー。あれはまさに車いすではないか。夫に頼んで、動線を確保してもらいました。具体的に言うと、室内保管していたロードバイクはしばらくリビングに避難。そうすると、アーロンチェアーで寝室から仕事場に出勤できるようになりました。

これでトイレに行くのも楽になったし、歯磨きもできるし、日中この椅子の上で着替えと清拭も行いました。いいものを発見しました。

起きたけど相変わらず食欲はなかったので、本能に従って食べずに歯を磨いたら寝床に戻ります。昨日と違うのは、ベッドに横になったとたんに右脚をイルカに自然に乗っけられるところです。これも回復のしるし。最初はイルカの上に右脚の態勢で眠り、今度は右を下にして眠りました。右を下にするとたぶんラクチン、というのは黄色本こと『自閉っ子の心身をラクにしよう!』から借りてきた知恵です。

そして私は、「養生する」という意味に気づきました。養生する養生すると皆さんおっしゃいますが、本当にどういうことか具体的に考えたことがありませんでした。自分にはそういう機会がなかったので。社会人になって以来、ほぼ病欠も取らず突っ走ってきたものですから。

私がそのときに理解した「養生する」というのはとても具体的に、「ラクチンな姿勢で休む」ということでした。私でいうならば右脚イルカ態勢もしくは右を下にした横寝態勢。その態勢で身体をあっためる。そうすると患部がどんどん治っていくのがわかるのです。そして思いました。発達援助の前には養生があるのだろう。苦しみを持っているお子たちをラクにしなきゃいけない段階が。そのときに犬の曲芸とかトランポリン30回とか言われてもやる気はそりゃあ出ないだろう。ところがここで必死になって、色々情報を仕入れ、あれもこれもやらせたいやってくれないキーっとなっている親御さんも多い。ある段階では、その子がラクをすることこそ発達援助の入り口かもしれないのに。まずはラクな姿勢で休む。それから訓練。私は今日、それを身をもって学んだ。まさに身をもって。

そして病院なんて行かないに限る。病院に行くとしたら、たとえば今日動くとして、車待って、手続きして、ぎちぎちの待合室で口枷したジジババに混ざって長い時間待って、やっと医者に会って、レントゲンに回され~みたいなうんざりした時間の使い方をしなければならない。その間横になって休むこともできない。たかが風邪くらいで病院に行く人のことを私は心から不思議に思っていたけど、それはあんな待合室に行くより家で寝ていた方が治りが早いのは目に見えているから。そして打撲も同じなんである。狭い椅子に座ってわざわざ待合室の不快な長時間を耐え忍ぶより、今ここでラクチンにお布団に寝ていた方がいい。眠くなったら眠る。起きたくなったら紙の本とか電子書籍とか読んだり、音楽きいたりする。枕元には水筒。トイレに行きたくなったらアーロンチェアー。そのとき身体が欲するままに動くのが一番の養生。

飽きないのかって? 飽きますわ。やがて飽きます。そういうときはアーロンチェアーでキッチンに移動して、左右につかまりながら「左右の足を交互に前に出す」という私がハイハイからタッチして以来ずっとやってきた動作を思い出していました。休みたいときに休む。動きたいときは動く。そんなこと入院生活で可能でしょうか。何もかも管理された生活でしょう、入院生活って。したことないから知らんけど。そんな生活だと余計に治癒は長引くのではないかな?

こうやって養生と自主トレを繰り返しているうちに、十五時半ころ夫が帰ってきました。おそらく気を使ったのでしょうけど、会議を二本リモートにしてくれたようです。後問題は、母。明日のお祝いは中止。それを伝えないといけないと同時に事故のことを伝えないといけません。きっとものすごい大騒ぎになるでしょう。それを思うとうんざりします。午前中は電話する気がせず、午後になって何度かしたのですがいません。ただ、明日のお誕生日に知らせるのはくらなんでもかわいそうなので、今日中に伝えておく必要があります。

そこで私は、夫が二本目の会議に入ったころ、もう一度電話をしました。今度はつかまりました。明日は中止を告げました。なんでかを告げました。

そしてそれから大騒ぎになりました。

続く

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