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安部公房の未発表作発見 題名「天使」22歳で執筆か

2012年11月07日 | 書籍

安部公房の未発表作発見 題名「天使」22歳で執筆か

「砂の女」「箱男」などの小説で知られる作家、安部公房さん(1924~93年)の最初期の未発表短編が見つかったことが6日、分かった。
22歳だった終戦後の46年に、旧満州(中国東北部)からの引き揚げ船の中で書いたとみられる。7日発売の「新潮」12月号に掲載される。

新潮 2012年 12月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
新潮社


新潮|新潮社

新潮社によると、題名は「天使」。
精神障害のある男が病院を抜け出し、通行人や自分を天使だと思い込みながらさまよい歩く様子を描く。
安部作品に一貫していた現実世界の虚構性というテーマが既に表れている。

糸で閉じたA5判のノート19枚に書かれ、安部さんの母の実家を継いだ実弟の札幌市の自宅で見つかった。
長女の安部ねりさんらが本人の青年時代の筆跡だと確認した。一定した筆勢から、清書した原稿と思われる。

同誌に併せて掲載される文芸評論家、加藤弘一さんの解説によると、
安部さんは46年、東大医学部の後輩に宛てた手紙に「船の中から、『天使の国』と言ふ短編を書き始めてゐる」と書いていたが、実物は見つかっていなかった。
これまで発見されている中では、3番目に古い作品という。

安部さんは幼少期から終戦までの大部分を旧満州で過ごした。
51年に「壁―S・カルマ氏の犯罪」で芥川賞を受賞。
不条理な世界を通して現代人が抱える不安や違和感を描き、大江健三郎さんらと並ぶ戦後の日本文学の旗手として知られた。〔共同〕

(2012/11/7 4:00 日本経済新聞)


1947年頃の安部公房

引き揚げ船内でつづった“皮肉屋”の萌芽

「砂の女」などで知られる小説家で劇作家の安部公房が終戦直後の昭和21年秋、22歳で書いた未発表の短編小説が見つかったことが6日、分かった。
北海道に住む安部の実弟、井村春光さんが自宅に保管していた。7日発売の文芸誌「新潮」12月号に全文が掲載される。

短編は「天使」という題で、A5判ノート19枚に黒インクで書かれていた。
旧満州から日本への引き揚げ船内という過酷な環境下で執筆されたとみられ、安部の3作目の小説になる。
左右の行を空け、横書きノートに縦書きしていくスタイルは初期の自筆原稿と同じで、安部の長女、安部ねりさん(58)が安部の青年期の筆跡であると確認した。
保管していた井村さんは文学への関心が強く、安部が発表前の作品をよく見せていたという。

「天使」は、監禁されていた病棟を抜け出した「私」が主人公。通行人や看護人ら外界のすべてが天使に見え、
自らをも天使と認識していく主人公の奇妙な一日が滑稽に描かれ、昭和26年の芥川賞受賞作「壁-S・カルマ氏の犯罪」にも通じる世界観が示されている。

文芸評論家、加藤弘一さんの話「完成した作品は存在しない、と考えられていた終戦直後の空白期を埋める貴重な発見だ。
初期2作は人間愛が前面に出ていたが、『天使』ではシニカルな面が強く押し出されており、皮肉屋でこわもてな後年の萌芽(ほうが)がすでに見てとれる」

■あべ・こうぼう 1924~93年。東京生まれ。本名・公房(きみふさ)。
東大医学部卒。昭和37年発表の「砂の女」は仏で最優秀外国文学賞を受けた。海外での評価も高く、ノーベル文学賞の有力候補と目された。

(msn産経ニュース)

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