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白石隆浩被告(29)

2020年09月30日 | ヒトゴロシ
白石被告、起訴内容認める 弁護側は承諾殺人主張―座間9遺体初公判・東京地裁支部
(2020年09月30日 JIJI.com)

神奈川県座間市のアパートで2017年10月、当時15~26歳の男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告(29)の裁判員裁判の初公判が30日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)であり、被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

     弁護側は、被害者側が殺害に同意していたとして、より刑の軽い承諾殺人罪にとどまると主張。被告は事件当時、精神障害で心神喪失か心神耗弱状態だったと述べ、責任能力を争う姿勢を示した。
 検察側は冒頭陳述で、白石被告は17年8月上旬ごろ、ツイッターで自殺願望を示した女性=当時(21)=と知り合ったが、「いずれ自分から離れる」と感じて殺害を決意したと指摘。殺害後に数十万円を得たことなどに味をしめて繰り返すことを決め、約2カ月間にさらに8人を殺したと主張した。
 また、殺害について被害者の承諾はなく、「被告の行為は単なる殺人」と強調。被告は一貫して目的にかなった行動を取っており、責任能力にも問題はないとした。
 弁護側は冒頭陳述で、被害者はSNS(インターネット交流サイト)上で自殺願望を示していたとし、「被告によって死が実現される可能性も分かって(被告の所に)来た」と主張した。
     公判は予備日を含め計24回を予定。被害者を三つのグループに分け、それぞれ中間論告・弁論が行われる。判決は12月15日。 




2020年6月から初公判直前の9月28日まで、毎日新聞は10回、白石隆浩被告(29)と立川拘置所(東京都立川市)で面会した。白石被告との主な一問一答は以下の通り
▽20年6月19日
◎白石被告は肩までかかる長髪。前回の6月16日の面会で白石被告が体調不良を訴え、中座していた。
記者 この間は具合悪そうでしたけど大丈夫でした? 
白石 ありがとうございます。あれ、運動した直後で熱中症になってたみたいで……。後半ほとんど覚えてないんですよ。 
記者 もう大丈夫ですか。 
白石 大丈夫です。 
記者 良かった。今日はいくつか質問があるんです。 
白石 ええ、なんでも。 
記者 (前日の)18日に公判前整理手続きがありましたよね。まだ弁護人には会えてないから内容は分かりませんよね? 
白石 そうです。公判前整理手続きに私は出ていないので。 
記者 でしたよね。もう日程が決まりそうだということもあって、確認したいんですけど、白石さんの弁護団は、殺人についてはいずれも被害者の同意があったということで同意殺人を主張する方針なんですよね。 
白石 同意殺人についてはそうです。 
記者 弁護人の主張方針は白石さんの考えと違いますよね? 
白石 はい。私は全て認めるつもりなので。証言台に立たされても変わりません。だから弁護人にもこの間、「私はそういうつもりはないけど(同意殺人で)やりますよね」と言ったら「すみません、やらせてもらいます」と。そう言われたら、こっちとしても「お好きにどうぞ」って感じですよね。 
記者 そろそろ裁判の期日が決まりそうですが、ここまでの道のりは長かったですか? 
白石 どうなんだろう。長いような、短いような。とにかく親族にこれ以上迷惑をかけたくないので、早く決めてくれとはずっと思ってました。早く簡潔に裁判とか終わらせてほしいんですよ。もう次のことを考えてますから。 
記者 普通は、死刑の可能性がある裁判を迎えることは怖いと思うのですが、白石さんはどう感じますか? 
白石 いや、裁判は怖くないですよ。極刑のことも記者さんにたくさん聞かれるんですけど、もうしょうがないですよね。振り幅が大きかったら怖くなるんでしょうけど、それもないから。 
記者 振り幅? 
白石 例えば、1人とか2人殺してね、懲役15年か、無期か死刑かっていう状況なら私も焦ったと思います。でも警察にも検察にも弁護士にも記者にも「やった」って言ってるんです。死刑は仕方ないですよ。落ち込んでいてもしょうがない。ポジティブに考えてるんです、次を。 
記者 次というと? 
白石 うーん、資産管理のこととかね、あと東京拘置所に移ったら映画が見られるんですよ。楽しみですね。「ジブリ」とかめっちゃ好きなんですよ。(注・居室では、拘置所が作成したリストから選んで映画などのビデオを視聴できる機会はある) 
記者 なるほど。突拍子もないことを聞きますけど、生まれ変わったらこうなりたいとか、こうしたいってありますか? 
白石 金持ちになりたい(笑い)。金持ちの子供に生まれて、働く必要のない生活がしたいです。ゲームをずっとしていたいから。 
記者 だいたいみんなそう思うでしょ。後悔とかはない? 
白石 あー……。そうですね。スーパー(での勤務を)続けとけば良かったなあって。 
記者 なぜですか? 
白石 私はベーカリー部門で働いていたんですけど、楽しかったんです。毎日パンの生地をこねて、焼いて。夢にも出てくるんです。焼き上がりの甘い匂いが好きでした。スーパーを続けていたら、普通に出会いもあって結婚して家庭を持って……普通の人生を送っていたと思う。 
記者 もし過去に戻れるなら何をしますか? 
白石 パン焼いてる自分に、辞めんなよって言うと思います。でも辞めて、そこからどんどん転落していくんです。訪問販売とか携帯電話会社の代理店とか職を転々として、最後に行き着いたのが(女性を風俗店などに派遣する)スカウトでした。 
記者 白石さんと話をしてきて、あなたはメリットとデメリットを比較できる人だと感じる。どうして殺人という極めてリスクの高い行動をとったのかが分からないんです。 
記者 白石さんと話をしてきて、あなたはメリットとデメリットを比較できる人だと感じる。どうして殺人という極めてリスクの高い行動をとったのかが分からないんです。 
白石 ああ。それは、まひしちゃってたんですよ。スカウトってね、毎日が犯罪なんです。路上で声をかけるのも犯罪だし、ソープを紹介するのも犯罪でしょ。もう、どうやったら捕まらないかということしか考えないんですよ。後悔といえば、高2の時に簿記1級を取っておけば、また人生が変わったかもしれません。落ちちゃったから。 
記者 夢には家族が出てきますか? 
白石 そうですね。でも被害者は出てこないんです。一度もない。ということは、幽霊とかがいないということだから、死後の世界ってないんじゃないかな。生まれ変わりの話に戻しますけど、転生するならトランプ(米大統領)の孫とかいいですね。なんでもし放題でしょ(笑い)。裁判もなあ、私は当初から全部争わないって言っていたんだから、思惑通りにいってれば、年内には終わってるはずなんですけどね。 
記者 確認ですけど、前に白石さんは遺体を損壊するのは作業だったと言っていた。快楽殺人じゃない。虫を殺すのも気持ち悪いし嫌という人多いですよ。そういう行為に耐性があるということは、やっている時に気づいたんですか? 
白石 そうです。普通の人はそういう行為をする時、抵抗を感じるみたいなんですけど、私にはありませんでした。快感なんてないから、神戸のサカキバラ(小学生連続殺傷事件を起こした少年)とは違うんです。必要に迫られて、そういうことができるんだと分かりました。 
記者 そろそろ時間なんでまた来ます。 


《座間9人殺害事件》白石隆浩被告、いまも止まらぬ性欲と「殺人を犯した理由」を語る
2020 9/14(月)

「スカウト時代の人間関係は、お金か、性欲かという感じでした。金にならない女ならレイプする。そんな感じで殺してしまった。スカウトにならなければ、人を殺していなかったんじゃないか」  筆者の問いに、新型コロナ対策でマスク姿の、白石隆浩被告(29)は迷うことなく、冒頭のようにアクリル板の向こう側から答えた。9人を殺害し、自宅に死体を遺棄。まるでサイコパスのような犯行だが、取材を通じて彼に特別変わった何かは感じられない。どこで価値観が狂ってしまったのだろうか?    ◇   ◇   ◇    神奈川県座間市のアパートで、男女9人を殺害したなどとして、強盗、強制性交等、強盗殺人、死体損壊・遺棄などで起訴されている白石被告の初公判が9月30日に迫った。Twitterなどでやりとりした女性8人(うち7人は自殺願望あり)と、女性の知人男性を殺害した疑いが持たれている。  筆者は7月28日午前、白石被告と立川拘置所で接見した。話をするのは3回目だが、9人を殺害したとは思えないほど普通の青年という印象が強く、猟奇性を感じられない。  秋葉原通り魔事件の加藤智大死刑囚のような強烈な負のコンプレックスもなければ、「やまゆり園」事件の植松聖死刑囚のような独断的な思想もない。複数を殺害する犯人にありがちな自己顕示欲も承認欲求も感じられない。  私は、白石が自分の人生をどのように思っているのかを知りたくなった。
子ども時代はおとなしく地味だった
 今回の接見は面会室「11」で午前9時5分からの約30分、行われた。  紺のTシャツ、緑の半ズボン。無造作に伸びた長髪に無精髭を生やしていた。おしゃれなロン毛ではなく仙人のようだ。感染対策で布マスクもしていた。面会室に入るなり「よろしくお願いします」と深く頭を下げる。  まずは子ども時代の話から聞くと、「興味ある人いますかねぇ?」などと言いながらも淡々と答えていく。 「小・中・高校と暗くて、おとなしい、地味な感じでした。勉強は可もなく、不可もなく。成績は、(評定は)2から4の間。得意科目は算数・数学と体育でした。動物は好きで、インコを飼っていました」  得意科目といっても評価は4どまり。  白石はこれまで家族のことを積極的に語ろうとはしなかった。家族について聞くと「普通」を繰り返す。

「父と母と妹の4人家族でした。母はとても優しく料理が上手な方でした。  親からの愛情という意味では恵まれたと思います。歯の矯正をしてくれましたし、視力矯正で病院に通わせてくれました。お母さんの料理も美味しかったです。妹とは幼いころは遊んでいましたが、だんだん疎遠になっていきました。思春期になると兄妹ってそんなものじゃないですか?」  習い事などはせず、中学になると母親から塾に行かされたという。 「地域の総合進学塾へ行っていました。母親に言われて、なんとなく通っていた感じですね。父親は、仕事中心でしたので、子育てに関わっていませんよ」  子どものときの白石も今と同様どちらかといえば受け身だ。自分から何かをしようとしたことはあるのだろうか。部活動について聞いても、 「小学校のときは陸上クラブ。中学にあがってからは1年のときは野球部、2年と3年のころは、陸上部。なかでも長距離をしていました」  特別熱心に何かをやっていた様子はない。
家族は1度も面会に来ていない
 高校は商業科を選択した。 「このころ父親と仲が悪く、早く自立したかったんです。ただ思春期的なやつで、些細なことでケンカしました。“早くお風呂に入れ”とか」  両親との間にも、強烈なエピソードはない。ごく普通の高校生といった印象だ。高校進学後は柔道部に所属する。 「格闘技が好きで、年末のK-1の番組はよく見ていました。アンディ・フグが好きでした。中学でも高校でもボクシング部がなかったので、(高校は)柔道部に入りました。でも、1年でやめました。バイトを始めたんです。相武台のホームセンターや、もう閉店していますが、座間のスーパーです。当時の時給は850円でしたが、部活よりも楽しかったんです」  格闘技が好きだというわりには執着せずバイト(カネ)を選ぶ。  高校を卒業後、白石被告はスーパーに就職する。 「横浜市戸塚区に住むことになり、給料の手取りは14万円だったと思います。このころパチンコやスロットにはまってしまい、お金が足りませんでした。『タウンワーク』を見ていたら、手取り20万円の仕事が書いてあり“いいな”と思った記憶があります」  その後、職場を転々とする。このころ両親は離婚し、母親と妹は家を出ていくことに。それ以来、ほぼ連絡はとっていないという。  さらに気になるのは、拘置所に収監後、1度も家族が面会に来ていないというところだ。手紙のやりとりもないという。白石はそのことについて何も思っていないというが、少しだけ家族は自分と関係ない、とかばっているように感じた。
人生の、どの時点に戻りたいと思うのか。質問すると、迷わず答えた。 「ひとつは、高校進学のとき。進学校に行って、大卒になっていれば、給料が変わったでしょう。高卒の給料と、大卒の給料が違うって知らなかったんです。知っていれば、大学に行ってました。  もうひとつは。高校卒業後、働いた『スーパー』を辞めなければよかったと思います。社会保険がものすごくしっかりしていて、充実していました。いま思えば、いい会社だなと思います」  白石被告は今、殺人を犯した当時の自分をどう思うのか。 「ちょっと考えが浅かった。人を1人殺して、報酬が50万円は安すぎますよね。性欲だけに走ってしまいました。警察に性犯罪は麻薬をしているような状態と言われましたが、まさしくそうでした」  白石は事件発覚8か月前、茨城県内の風俗店が売春をさせていることを知りながら女性を紹介したとして職業安定法違反容疑で逮捕され、懲役1年2か月(執行猶予3年)の有罪判決が言い渡されていた。  どうすれば殺人を犯さなかったのか。ズバリ聞くと、 「私が人生を間違った場所は(風俗の)スカウト(マン)をしたことです。あの経験がなければ人を殺すこともなかった。レイプがバレたら実刑くらっちゃうから殺すしかありませんでした」
拘置所に結婚を希望する女性が2人も訪れた
 高校時代からネット・ナンパを繰り返してきた白石被告。付き合った人はいるものの、恋愛感情を抱いたことはない。では、きちんと恋愛をしたことはないのだろうか。 「ありますよ。18歳のときと20歳のとき、22歳のときです。3回とも逆ナンパされたんです。うれしくて付き合いました。でも別れることになりますが、18のときは、デートに遅刻したことが原因。2人目、3人目は僕の浮気が原因でした」  恋愛をしたというわりには浮気をするという矛盾。  事件後、拘置所には結婚を希望する女性が2人も訪れたという。獄中結婚をするという情報も流れたが……。 「結婚ですか?(手で×印をつくり)ないですよ。結婚したいと言ってくる女性は信用できませんでした。話した内容が、週刊誌に流れ、記事になっていたからです」

座間事件後、類似の事件が起きている。’19年9月、Twitterで知り合った自殺願望のある女性(享年36)を、大学生(当時22)が殺害したとして懲役5年を言い渡された。被告人尋問を傍聴したが、大学生は「自殺願望者の力になりたかった」と話していた。 「(被告は)学校の先生になりたかったんですよね。うーん、なんで殺したんだろう。大学まで行ってもったいない」  また、今年7月、ALS患者の女性(享年51)が、安楽死を希望し、Twitterで知り合った医師(42)が殺害したという、嘱託殺人事件があった。京都地検は8月、起訴した。 「報酬が130万円ですよね? 医者だったのに、もったいない」  類似の事件の感想は、白石被告が起こした事件でも「報酬が50万」「安い」と言っていたが、価値観は、ほかの事件を見ても変わっていないようだ。報酬額で判断している。
外に出られたら女性と性行為をしたい
 最後に、「外に出られるとすれば、何をしたいのか?」を聞いてみた。 「女性と性行為をしたいですね。好みは、橋本環奈と深田恭子。  あんなに旺盛だった性欲が今は、ほとんどないんです。拘置所内で自慰行為は週1回する程度ですね。女性と会っていないからネタがないんですよ。女の人を触りたいですねぇ。レイプを思い出すこともないですし、あまりもう(勃起もしない)」  ヘラヘラした様子でそう答える。  好みの女性の話に及んだとき同席していた女性編集者に、「Kさんおきれいですよね」とネットナンパ師だった過去の面影を見せた。  白石被告は事件の背景となったスカウト時代から最後まで「お金と性」を欲していた。  裁判では起訴事実は認める方向のため、死刑を覚悟しているようだ。性への執着は強いが生に対しては投げやりに見える。それでも「外に出られるなら食べたいもの」の話には食いぎみで、 「ラーメン、辛いのが食べたいです。あとは焼き鳥! 寿司!」と前のめりに話した。  裁判では、まだ話していないことが明るみになるのだろうか。 取材・文/渋井哲也 

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