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福島県郡山市強姦事件 2002年9月

2019年01月30日 | 社会
福島県郡山市強姦事件

2002/09/02 フライデー

「間違いありません……」
起訴事実の認否について裁判長に問われ、服部英之は小さな声でそう答えた。少年法の改正以後、15歳以下としては全国で初めて刑事責任を公開の裁判で問われたこの少年。隠れるところもない法廷で肩をすぼめ、自分を少しでも目立たなくしようとしているように見えた──。
2002 年9月に起きた、福島県郡山市内のマンションに独りで暮らす女性(20)を狙った強盗・強姦・監禁事件。逮捕されたのは、中島順司被告(34・以下、年齢はすべて事件当時)と服部英之(15)、国分榮太郎(16)の3名だった。中島被告は翌月に起訴され、少年二人は少年法の規定に従い家裁へ送致された。当時それほど注目されなかったこの事件は、2002年12月になってにわかに注目される。少年が、二人とも家裁から検察へ逆送されたのだ。
増加する少年犯罪の対策として、改正少年法が'01年4月に施行された。成人と同様に刑事罰を問える年齢を、16歳以上から14歳以上にまで引き下げたのだ。だが、ホームレス暴行死事件(東京・'02年1月)や児童施設職員殺人事件(愛知県・'02年10月)など、少年による凶悪犯罪が続いたにもかかわらず、15歳以下の少年が検察へ逆送され、刑事罰を問われることは一度もなかった。つまり、服部英之は、15歳以下としては全国で初めて逆送されたのである。
逆送され、刑事告訴された少年たちの初公判は、2003年1月31日に福島地裁郡山支部で開かれた。116名の傍聴希望者が集まり、19席しかない傍聴席はすぐに埋まってしまった。そして午後2時に開廷。
「これが、子供のやることなのか──」
検察官が早口で読み上げる冒頭陳述書には、凶悪な犯行の様子が記されていた。
「可愛いコが独り暮らしをしている」(以下、3被告の発言はすべて冒頭陳述書朗読より)
そんな何気ない一言が、事件の“入り口”だった。当時、中島被告を含め3人は同県いわき市内の会社で読売新聞の拡張員として働いていた。中島被告からその話を聞いた国分榮太郎は自分も拡張員としてその女性の部屋へ赴おもむき、「アレは可愛い。強姦してでも性交したい」と思うようになったという。
国分榮太郎と服部英之は中学校のサッカー部の先輩後輩という関係で、二人とも高校へは進学していたが、次第に不登校になって、夜出歩くようになり、ついには二人とも家出してしまった。新聞拡張員の仕事は寮が用意されていたため、家賃を払う必要はなかったが、給料は完全歩合制だった。成績の悪い3人はカネに困っていたという。そんなとき、中島被告が二人に、強盗をしようと持ちかけた。
「この前のあのコがいい。あのコを犯してみたい」(国分)
強盗と強姦。凶悪な欲望を女性に向けた少年たち。中島被告が宅配便の配達員を装って扉を開けさせ、AとBが室内へ押し入って女性をテープで縛りつける、お互いを偽名で呼び合うなど、大人顔負けの犯罪計画を立てたのだった。
「警察に言ったら、殺す」

「宅配便です」
2002 年9月2日の午後6時30分ごろ、ドアを開けた女性を、中島被告は一気に押さえ込んだ。その後、少年たちも侵入し、悲鳴をあげる女性を縛りつけた。目的はあくまでカネだった中島被告は、女性の財布からカードを抜き取り、キャッシングができるかどうか確認するために外出する。
「こいつ、やってもいいっすか」(国分榮太郎)
強盗よりも強姦が目的だった少年たちは、無慈悲な言葉を吐いた。嫌がる女性を二人は怒鳴りつけ、「うるせぇ! 俺らを誰だと思ってんだ!」と脅迫したのだ。

「女性は、“地獄”を見た」
事件後、女性を診察した警察医はそう証言している。まさに地獄だった。国分榮太郎は下半身を出したまま仰向けになり、女性に「上を跨またいで腰を下ろせ!」と命令。室内にあった包丁を服部英之に持ってこさせ脅迫し、強姦を始める。さらに部屋にインスタントカメラがあるのを見つけ、写真を撮って、女性が後で訴えられないようにした。続いて服部英之も、恐怖で抵抗することもできない女性を犯した。その後、浴室やロフトベッドで約22時間もの間、およそ10 回に亘わたって代わる代わる女性を陵辱りょうじょくしたのだ。
「警察に言ったらわかってんだろうな。殺すからな……」
中島被告もカネを手に入れた後、強姦。醜悪な欲望を満たした3人は、翌日の9月3日の午後4時ごろに女性の部屋から去る。女性は下着姿で縛られ、階段を外したロフトに監禁されたままだった。
「事件の後、男の人が怖くなりました。夜は睡眠薬を飲まないと寝ることもできません。家から出ることが怖いし、一人で歩くのも怖い。道で男性とすれ違うだけで、震えてしまうんです……」
被害者の悲痛な思いを、公判で、検察官が読み上げた。その際も、少年二人はじっと前を見て無表情のままだった。検察官が読み上げた罪状は、住居侵入・強盗・強姦・監禁・窃盗・詐欺。これほどの犯罪を犯した少年たちの素顔とは──。
少年たちの家庭は、どちらも閑静な住宅地の中に建つ一戸建てにある。近隣住民は「国分榮太郎くんは大人しくていい子だった。近所でトラブルはなかった」という。だが、中学時代の同級生はいう。
「親に甘やかされていましたよ。国分榮太郎の家は会社の社長さんなんで、遊びに行ったとき、『アイス買ってきな』と、1万円を国分榮太郎に渡していたのを覚えています。高校に入ったころから、学外の悪いやつらと付き合うようになって。あんまり姿を見なくなりました」
公判終了後、国分榮太郎の実家を訪ねてみた。出かけるところだった父親に声をかけると、記者をにらみつけてこう言い放った。
「何も騒ぐことではないでしょう。“未成年”なのに……」
それ以上は質問に答えず、自宅へ戻ってしまった。服部英之の実家にいたっては、玄関のドア越しに「取材はお断りします」と女性が答えるのみだった。この親たちは、わが子の残虐・非道な犯罪を、真摯(しんし)に受け止める気があるのだろうか。
「私はこの事件で一生消えない傷が心に残りました。なのに、犯人たちは何年かすると社会に出てくるかと思うと、悔しくてしかたがありません……」
少年たちに地獄を味わわされた被害者の訴えが、少年や親たちに届いているとはとても思えない──。


2002/12/16 東京新聞
15歳少年 初の逆送 ―福島の強盗強姦事件

 今年九月、福島県で起きた強盗強姦事件は発生時、ほとんど報道もされなかった。だが逮捕された十五歳少年の扱いをめぐり歴史的判断が下された。「刑事処分が相当」と検察へ逆送致されたのだ。昨年四月の少年法改正で、刑事罰の対象年齢が十六歳から十四歳に引き下げられ初適用となった。中学生らのホームレス集団暴行致死事件など衝撃的事件が目立つなか、なぜこの事件が「第一号」に-。 (中山洋子)

 この少年は十三日、強盗強姦などの罪で起訴された。今後は公開の法廷で、大人と同様に裁かれることになる。「刑事処分」に値すると判断された“犯罪”はどんなものか。

 事件は今年九月、福島県郡山市で起こった。少年には二人の共犯者がいる。十六歳の少年と、同県いわき市の元新聞拡張員中島順司被告(34)=強盗強姦罪などで起訴済み=だ。少年は中学校を卒業後、新聞拡張員として中島被告らと同じ会社に所属して働いていた。

 起訴状などによると、少年らは九月二日午後六時半ごろ、宅配便業者を装い、女性のアパートに侵入して、粘着テープで目と口をふさぎ、手を後ろで縛り、代わる代わる乱暴した。翌三日午後四時まで監禁し、女性に指示して、母親に現金を振り込むよう電話をさせ、女性から奪ったキャッシュカードで、約十六万円を引き出した。
 また、クレジットカードで新幹線の指定席券、計二十六万六千四百円分を購入し、換金した。

 狙われたのは以前、中島被告が新聞の勧誘に訪れたことがある女性だった。十六歳の少年も勧誘と称して女性宅を訪れている。

 事件前日、金に窮した中島被告が少年らを呼び出し「オートバイを盗もう」と持ちかけた。その席で、十六歳の少年が「(女性が)かわいかった。レイプしたい」と口にした。翌二日、バイク盗をするために郡山市内へ向かう電車内で、中島被告が、予定を変更して女性を襲うことを提案、三人は女性宅に向かった。

 事件後、女性を診断した警察医は「この女性は地獄を見た、と思った。強姦の被害者を多く診たが、ここまでひどい(被害に遭った)人は見たことがない」と証言している。

 少年審判に回った十五、十六歳の二人について福島家裁郡山支部の鈴木桂子裁判官は今月四日、検察庁に逆送する決定を下した。

 決定理由で「少年らは、事前に謀議の上、計画的に本件非行を行っている。執ようで非道きわまりない」と断じた。特に「被害者の受けた心の傷が生涯いやされることのない深刻なものであることは誰の目にも明らかであり、少年に対しては厳しい処分を望んでいる」と、厳しい被害者感情に言及している。

 十五歳少年の関与についても「中核的な役割を果たしているのは成人共犯者であるものの、被害者方に侵入後、被害者に直接犯行を加えたのは、むしろ少年の方であって、少年の行為により被害者が心身ともに大きな傷を負うに至っていることを考えれば、責任は重大」とした。

 確かに強姦罪を犯すような少年を「子ども」扱いするのは理不尽だ。だが、そもそも福島地検は「刑事処分相当」の意見を付けないで二少年を家裁に送っている。少年審判でも検察官は立ち会っていない。性犯罪事件でもあり、地元紙なども被害者に配慮してベタ記事で小さく扱った。
 この事件が、十六歳未満の少年の初の「逆送」になるとは、検察もほとんど想定していなかったようだ。少年が戻されて、検察側からは驚きとともに「及び腰だった」という自戒の念も聞かれたほどだ。

 これと対照的なのが、今年一月に東京都東村山市でホームレスに集団暴行を加えて死なせた中学生らや、十月に愛知県春日井市の児童自立支援施設「愛知学園」の職員を殺害した中学生らの事件だ。両事件には発生当初から、十六歳未満で初の逆送になるのではないかと、家裁の判断に注目が集まっていた。検察側も「刑事処分が相当」の意見を付した。だが、いずれも保護処分にとどまっている

「結果の重さと処分は別問題」

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