家族を銃殺。14歳少年は…金正恩式「コロナ対策」違反で
新型コロナウイルスの拡散防止のため国家非常防疫体制が敷かれている北朝鮮で、脱北を試みて失敗した家族が銃殺される悲劇が起きたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が22日付で伝えている。
金正恩党委員長は、防疫ルールの違反者は「軍法で対処せよ」との指示を下したと伝えらえており、これまでにも自宅隔離を守らなかったり、国境封鎖を破り密かに中国へ行ってきた人々が処刑されている。
両江道(リャンガンド)の住民がRFAに語ったところでは、「今月初め、道保衛部(秘密警察)に勤務する知人の話では、脱北を試みたのは50代の夫婦と14歳の少年の3人で、夫婦は先に脱北して韓国へ行った妻の弟の息子を連れて脱出しようとしたところを捕まった」のだという。つまり3人は、伯父と伯母、甥の関係である。
「彼ら(夫婦)は保衛部の拷問に耐えられず、弟からの連絡を受け、甥を連れて脱出しようとしたと自白してしまった。コロナ対策で国境警備が厳しくなっている時期に脱出を試みることが命がけであるうえ、国家非常防疫体制の期間中に脱北を試みる者には反逆罪を適用せよとの最高首脳部の指示もある。さらに、目的地が韓国だったということになれば、銃殺刑を免れるのは難しかっただろう」(住民)
北朝鮮では脱北がバレて当局に拘束された場合でも、出稼ぎ目的で中国に行ってきただけのケースと、韓国に行こうとしたり中国でキリスト教関係者と接触したりしたケースとでは、罰の重さが異なるのだ。日本の基準で言えば、いずれにせよとんでもない人権蹂躙には違いないのだが。
少年については、未成年であるとの理由でどうにか処刑は免れたとのことだが、夫婦は恐らく裁判すら経ず、即決で銃殺刑にされてしまったようだ。
前出とは別の住民はRFAに対し、この件について次のように語っている。
「弟が脱北した後、夫婦は代わりに少年の面倒を見ていたのだが、コロナのせいで商売が出来なくなり、生活苦に耐えられず韓国行を決めた。ただ生き延びる道を求め、甥を連れて脱北を試みた夫婦は、鴨緑江に足を踏み入れることもできず銃殺された。この話を聞いた住民たちは、食べていくために脱北したことが、どうして銃殺されるほどの重罪になるのかと、当局のすることはとうてい理解できないとの反応を示している」
(2020.5.27 デイリーNKジャパン)
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