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フェンダー・カスタム・ショップ (Fender Custom Shop)

2023年06月15日 | 音楽

 フェンダー社のカスタムオーダーメイドのギター設計製造部門。1987年に設立された。 主にカスタム・ショップ・ビルダーの手によってヴィンテージギターやベースなどを完全再現した製品や、長年使用している楽器のコンディションまで再現する処理の Relic などによって、楽器本体の構造やスペック以外にもディティールに拘った処理をデザインとして採り入れた製品など数多く設計製造している。 

当初フェンダー社内やカスタム・ギター・ショップのディーラー・ネットワークにおいて、カスタマーからの特別注文に応えた特別仕様の彫刻やカラーリングなどが施された「アート・ギター」と呼称される種類の製品が製造されていた。
1970年代後半に日本において海賊版ビンテージ・レプリカ・ギターが出回り、国内の複数のギターメーカーがフェンダー社、ギブソン社のビンテージギターを詳細にコピーした商品を発表、ヘッドのデカール以外見分けが付かないほどのギターを販売、当時のラインナップに魅力的なモデルがなく、商品の品質も低下して業績不振に苦しむフェンダー社の経営をさらに圧迫していた。
これら日本製ビンテージ・レプリカブームに始めは静観を決めていた本家フェンダー社であったが1982年に社運をかけたシリーズとして富士弦楽器の技術支援スタッフと共同で自社の旧製品を復刻したビンテージシリーズを発表、ビジネスとしても成功をおさめる。
それらごく初期に製作されたビンテージシリーズモデルはフラートン工場('85年より工場がコロナに移転)にて後のカスタム・ショップのスタッフにより製作されており、既にレギュラーモデルとなった現行のリイシューシリーズとは別格の扱いを受けている。
1985年にビル・シュルツが最高経営責任者に就任、ビンテージシリーズのスタッフを集めて社内に別の組織として1987年に設立されたのが「フェンダー・カスタム・ショップ」の始まりとなる。
基本的にはフェンダー社最新モデルの仕様における延長線上ではなく、初期フェンダー社のギターとベースが設計製造された時代まで遡った解釈で、当時のモデル群を、使用木材・使用パーツなど楽器の仕様全てに渡って同じスペックで再現し、塗装や使用感などのファクターも再現するなど、初期のビンテージシリーズのコンセプトをさらに押し進め、時代を超えて使用または保存されてきた楽器と寸分も違わぬ製品として設計製造している。
特に1965年のCBSによる買収以前のモデルを中心としたラインナップが揃えられていて、「カスタム・アーティスト」というシリーズでは、フェンダー社の楽器を使用している高名なギタリストやベーシストが使用している楽器そのものを楽器スペック以外にも傷やサビ、塗装の状態などの全てを忠実に再現した芸術的モデルを製造していて、こちらのシリーズは非常に高額ながらもすぐに完売されてしまうなど、根強い人気を誇っている。カスタム・アーティスト以外のモデルでは、特定の製造年を定めたギターまたはベースの楽器仕様を全てを再現していて、製造方法も当時のハンド・メイド状態とほぼ同じで、CBS移行後の大量生産スタイルとは明らかに異なっている手間の掛かった製造方法を採っている。特に有名なミュージシャンが使用しているギターやベースなどのカスタム・アーティスト製品群は世界限定生産などのためコレクターズ・アイテムになる状況で、発売から数時間で完売するケースもある。
製造の際にはシリーズ毎に製作に関わるカスタム・ギター・ビルダーの人数等が違っていて、標準的なシリーズの場合には複数のビルダーが楽器の製造パート毎に分担したグループ作業になっているが、特別なシリーズの場合にはマスター・ギター・ビルダー独りで全ての工作作業を完結させ、その場合にはビルダーの名前を冠したモデル名として発売されている。マスター・ビルダー・モデルの場合には通常のカスタム・ショップ製品2倍から3倍の値段が付いているが、たった1人のマスター・ギター・ビルダーが全作業をハンド・メイドでこなしている製品となっているため、フェンダー社のヴィンテージ・モデルと同等の受け入れられ方をしている。

エイジング加工
フェンダー・カスタム・ショップはわざと汚したり傷をつけるエイジング加工という塗装が好んで使われている。発売されている機種の中には「NOS」と「CC」と「Relic」がある。「NOS」は「New Old Stock」の略で当時の楽器をタイムマシンを使って現代に持ち込んだ、全くの新品状態というコンセプトで作成されたものでエージング処理はされていない。「CC」と「Relic」はエージング処理がされており、「CC」は「Closet Classic」の略で楽器を新品状態から長期間ハードケースなどへ入れたまま保存してきたディティールを再現するための加工方法で、ボディ各所への傷や腐食などはあまり起きていないが、塗装色の減衰や金属パーツとプラスティック・パーツなどへの経年変化などは新品状態より退行した状況を再現するための手法になっている。そして、「Relic」の方は、NOSやCCの場合とはコンセプトが異なり、長期間使用している内に楽器に対して起こる使用感としての変化を特殊処理で再現したエイジング加工処理で、ネック、ボディに対する傷や塗装の剥がれ、塗装色の減退、金属パーツへのサビなどの腐食現象、プラスティック・パーツの変形や割れなどの経年変化を特殊技術で再現するための加工方法で製造された仕様と登録商標名になっている。


FENDER CUSTOM SHOPで製作される楽器は比類なき最高峰の存在。 プレイした瞬間に感動が走る、これまでにないような極上の音楽体験がそこにはあります。それは、フェンダーが培ったギター製作における長い歴史、カリフォルニアの自由で開放的なスピリット、そしてビルダーの全身全霊を以て製作されています。

FENDER CUSTOM SHOPは世界的に名高い優れたビルダー達のホームです。毎日絶えることなく製作に従事し、工具の音が飛び交う創造の場は羨望の意を込めてドリームファクトリーとも呼ばれています。FENDER CUSTOM SHOPのビルダーは日々ギター製作にすべてを捧げています。彼らはクラフトマンであり、アーティストでもあり、音楽ファンの一員で、時には発明家とも言えるでしょう。そんな彼らが作り上げるギター、ベースだからこそ最高峰となり得るのです。この上ない情熱、膨大な製作経験から得た知識と磨き抜かれた匠の技、それらを余すことなく作品に注ぎ込む、特別なファクトリー。その卓越した創造性から製作される至高の逸品をご堪能ください。

 

 

 

 
 

 

 

 

 
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