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トム・ヴァーレイン死亡73歳  Tom Verlaine

2023年01月30日 | 音楽
トム・ヴァーレイン(またはトム・ヴァーライン)
Tom Verlaine
本名: トーマス・ミラー(Thomas Miller)
1949年12月13日 - 2023年1月28日




パティ・スミスの娘であるジェシー・パリス・スミスは、ヴァーレインが「短い闘病生活」を経て死亡したことをローリングストーン誌に認めた。「彼はニューヨークで、親しい友人たちに囲まれながら安らかに息を引き取りました。彼のビジョンと想像力は惜しまれることになるでしょう」とスミスは綴っている。

また、パティ・スミスはInstagramに彼女とヴァーレインの写真を掲載し、「これは、すべてが可能と思えた瞬間/さよならトム、オメガの彼方へ」と追悼文を寄せている。














追悼トム・ヴァーレイン 
テレヴィジョンを率いたNYパンク先駆者の軌跡
DANIEL KREPS |2023/01/30 06:

トーマス・ミラーとして生まれたヴァーレイン(この苗字はフランスの詩人、ポール・ヴァーレインに由来)はパンクのアイコン、リチャード・ヘルと高校の同級生だった。パンクの黎明期にマンハッタンのローワーイーストサイドにやってきたヴァーレインとヘルは、短命に終わった前進バンドのネオン・ボーイズを経て、1973年にギタリストのリチャード・ロイドと共同でテレビジョンを結成する。

ヴァーレインとテレヴィジョンは、CBGBやマクシズ・カンザス・シティといった伝説的ライブハウスで、トップ・アクトとしてそのサウンドに磨きをかけた。パティ・スミス(かつてヴァーレインのギター・サウンドを「1000羽の青い鳥の鳴き声」と喩えた)は初期テレヴィジョンが1974年に開催したライブを観客として目撃しており、翌年にパティ・スミス・グループとしてCBGBデビューを飾った際にはテレヴィジョンと共演している。

ヘルはまもなくテレヴィジョンを脱退し、ハートブレイカーズを結成。ヴァーレインとロイドのコンビは、パンクのリフとジャズのインタープレイを融合させたギター・サウンドを展開した。1975年にシングル「Little Johnny Jewel」でレコードデビューしたあと、バンドの代表作にして、パンク時代の最高傑作のひとつである『Marquee Moon』を発表した(ローリングストーン誌は当時のレビューで、ブロンディやラモーンズといったCBGBのバンドが1977年にリリースした一連の作品のなかでも「最も面白く、大胆で、なおかつ不穏」であると評している)。

さらに、ローリングストーン紙は「歴代最高のアルバム500選」の第107位に『Marquee Moon』を選出。「パンク黎明期のニューヨークにテレヴィジョンが現れたとき、彼らはヴェルヴェット・アンダーグラウンドのノワールな呻き声、聡明なアートロック、クイックシルバー・メッセンジャー・サービスによるギター彫刻などを取り込み、不調和で舞い上がるようなジャンルのアマルガム(混合物)を演奏した」と同作を評し、さらにこう続けている。

「ラモーンズのデビュー作が残忍なまでにシンプルであったのに対し、『Marquee Moon』はその叙情的な野心に満ちたサウンドで、いまも驚きを与えてくれる。『Friction』と『Venus』、そして強大なタイトルトラックは、ギザギザで切迫感がありながら、同時に美しくもある。パンクの資質としては、トム・ヴァーレインの声とソングライティングにおける謎めいた興奮と息の詰まるような実存主義を忘れてはならない。 

テレヴィジョンは1978年、2ndアルバム『Adventure』をリリースしたのち解散。その後、ヴァーレインはソロ活動に乗り出すことになった。パティ・スミスが記しているように、ヴァーレインは彼のアルバムで「無骨なリリシズムと鋭くて叙情的な傍白、ずる賢いウィット、それぞれの弦を揺らしてその真の感情を引き出す能力」を披露している。ヴァーレイン、ロイド、ベーシストのフレッド・スミス、ドラマーのビリー・フィッカの4人は、1992年に発表されたアルバム『Television』で再結成した。

※編注:1992年にテレヴィジョンは初来日公演を開催。2001年に再々結成し、2002年にフジロック出演。2007年のリチャード・ロイド脱退後は、ヴァーレインのソロに参加していたジミー・リップを後任ギタリストに迎えて活動継続。2013年、2014年、2016年にも来日公演を行った。 

1979年、ヴァーレインはセルフタイトルのソロアルバム(邦題:醒めた炎)をリリース。同作の収録曲「Kingdom Come」は、デヴィッド・ボウイが翌年に発表した『Scary Monsters』にてカバーされている。ヴァーレインはポストパンクの探求を続けながら、インスト作品、サイレント映画のスコア、パティ・スミスやCBGBの住人たちとのコラボレーションまで手がけ、長きにわたりリリースを続けた。 

ローリングストーン誌による1988年のインタビューで、U2のエッジはヴァーレインを大きな影響を受けた人物として挙げ、「僕がヴァーレインから影響を受けたのは、彼のスタイルというよりも、他の誰もやったことのないことをやったという事実に対してだと思う。僕はそこが好きだったし、実に価値のあることだと思ったんだ」と述べている。

From Rolling Stone US. 





 1970年代のニューヨーク・パンクロック創成期にカリスマ的存在として多くのミュージシャンに影響を与えたバンド、テレヴィジョンのギタリスト兼ボーカリストでフロントマンのトム・ヴァーレインさんが28日(日本時間29日)に米ニューヨーク市内で亡くなった。73歳だった。死因などは明らかにされていない。ニューヨーク・タイムズが報じた。  

ヴァーレインさんは72年からネオン・ボーイズで音楽活動を開始。同年にテレビジョンを結成し、77年の1stアルバム「マーキー・ムーン」でデビュー。文学的な歌詞と官能的な独特のギターで、評論家やミュージシャンから大絶賛された。ヴァーレインさんはカリスマ的存在となり、同アルバムは現在でもニューヨークパンク史上最高の名盤との評価を受けている。    78年に「アドヴェンチャー」を発表した後に「満月の夜にバンドの解散を決めた」との名言を残して解散。以降はソロ活動を続けていた。

故デビッド・ボウイさん、パティ・スミス、ソニック・ユースら大物ミュージシャンとも交流が深く、ボウイさんはヴァーレインさんのソロ1stアルバムに収録された「キングダム・カム」をカバーしている。    
多くのミュージシャンが訃報に際して追悼の言葉を送っており、人気ポスト・パンクバンド、モグワイのフロントマンであるスチュアート・ブレイスウェイトはツイッターで「私たちの文化における彼の役割と、エレクトリック・ギターでの真っすぐな素晴らしさは完全に伝説的でした。(表題曲の)『マーキー・ムーン』に匹敵する10分間の音楽を挙げてください。できません。それは完璧だ。安らかに眠ってください」と哀悼の意を表している。 



「フリー・ジャズも僕の音楽も、インプロヴィゼイションが重要なんだ。僕の音楽の即興は特定のスケールに基づいて演奏してることが多いけど、フリー・ジャズでは音符という概念を捨てていることも多い。ものによっては、モードやスケールに基づいたフリー・ジャズもあるけどね。そういう意味で共通点はあるかな」

◎あなたのインスト作品は、インプロヴィゼイションからのものが多いんですか。

「そう。でも全ての作曲行為は、インプロから生まれるものなんだ。頭の中で聞こえた音を楽譜として書くことも、瞬時に演奏することも、それは同じことだ。ベートーヴェンやモーツァルトのような作曲家は、ピアノでインプロしてから、それを楽譜として書き留めた。インプロヴィゼイションという行為は誤解されてるんだよ。音楽の世界では作曲家とインプロヴァイザーを区別されることが多いけれど、インプロヴァイザーというのは演奏した音符を楽譜に書いてないだけなんだ。インプロヴァイザーのなかには、構築された演奏をする人もいれば、反復を取り入れる人もいる」

◎つまりあなたにとって、インプロヴィゼイションは素早いプロセスで行われる作曲である、と。

「そう、楽譜に書いてないだけでね。インプロから生まれた僕のインスト曲では、10分以上も演奏することがあって、その中からベストの3分間を使ったりする。時には最初の3分間が一番良かったり、演奏し始めて1分間経過してからいい演奏になることもある。エディットをして曲を作り上げるんだ」






  • 醒めた炎 - Tom Verlaine (1979年)
  • 夢時間 - Dreamtime (1981年)
  • ワーズ・フロム・ザ・フロント - Words from the Front (1982年)
  • カヴァー - Cover (1984年)
  • フラッシュ・ライト - Flash Light (1987年)
  • ザ・ワンダー - The Wonder (1990年)
  • ワーム・アンド・クール - Warm and Cool (1992年)…3ピースバンドによるインストアルバム。
  • ザ・ミラーズ・テイル - ア・トム・ヴァーレイン・アンソロジー - The Miller's Tale - A Tom Verlaine Anthology (1996年)…二枚組アルバム。1枚目は1982年のロンドンライヴ、2枚目はテレヴィジョン時代も含めたベストアルバムとなっている。
  • ソングス・アンド・アザー・シングス - Songs and Other Things (2006年)…オリジナルアルバムとしては16年ぶり、7作目となる作品。
  • アラウンド - Around (2006年)…『ソングス・アンド・アザー・シングス』と同時発売されたインストアルバム。
 
 
 
 

 

 

 
 

 

 

 

 


 

 
 
 

 

 
 
 
 

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