すそ洗い 

R60
2006年5月からの記録
ナニをしているのかよくワカラナイ

新型肺炎 2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)、通称“武漢肺炎”

2020年01月23日 | 社会


2019年12月以降に、中華人民共和国湖北省武漢市江漢区の華南海鮮市場(中国語: 华南海鲜市场)を中心に発生したコロナウイルスによる肺炎の流行事態である。   
2019年12月30日に中国のインターネット上で現地の保健機関が作成した「原因不明の肺炎」に関する公文書が出回っていたため、多くの人が関心を寄せた。2020年1月7日、原因は新種のコロナウイルスであるとして特定され、1月9日に最初の死者が出た。1月13日、初めての中国域外の陽性事案がタイで確認された。 
2020年1月20日、中国国家衛生健康委員会専門家グループ長、感染症専門家・鍾南山は院内感染により医療関係者にも感染者が出たので、人から人への感染の可能性が高いと警告し、武漢になるべく行かないように呼びかけた。また、1月24日から始まる旧正月の連休に伴う大規模な人の移動が予想されるため、保健機関は警戒している。


新型肺炎、死者17人に 中国当局「変異・拡散リスク」     

中国湖北省武漢市から新型コロナウイルスによる肺炎の死者数は22日までに死者数が17人、患者数は543人に達した。中国政府で保健衛生を担当する国家衛生健康委員会の李斌副主任は同日、「ウイルスは変異する可能性があり、さらに拡散するリスクがある」との見方を示した。ここ数日で感染者数が急速に増えており、警戒感が強まっている。

同委によると、湖北省を中心に広東省、北京市、上海市など13の省と直轄市で感染を確認した。患者数が急増している理由に診断方法などの改善を挙げた。情報を隠しているとの見方については、同席した幹部が「我々は情報公開を非常に重視している」と反論した。新型肺炎の問題が起きてから、同委の幹部が記者会見を開いたのは初めて。
新型肺炎の原因について、李副主任と同席した専門家は野生動物の可能性を指摘した。発症者の多くが武漢市中心部にある海鮮市場に出入りし、同市場で野生動物が取引されていることから、武漢市で野生動物の取引を厳しく禁じたことも明らかにした。

当局は新型肺炎をコレラなど「甲類」の感染症に次いで危険度の高い「乙類」に分類した。ただ、毒性の程度について、コロナウイルスが原因の重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)などとの比較については明言を避けた。
中国は24日から1週間の旧正月休暇を迎え、その前後を含めて中国では帰省や旅行などで延べ30億人が移動する見通し。新型肺炎の感染の拡大を抑えるため、「原則的には、ほかの地域の人は武漢に行かず、武漢の人もほかの地域に出かけないようにしてほしい」と呼びかけた。
武漢市政府は同市からほかの地域への団体旅行をとりやめるよう指導している。中国メディアによると、四川省政府はバス会社に武漢市との長距離バスの運行を原則停止するように通達を出した。2月に武漢市で開催する予定だったボクシングの東京五輪アジア・オセアニア予選も中止が決まった。
             
(2020/1/22 日本経済新聞)



新型肺炎が感染拡大、やはり隠蔽していた中国政府

1月25日の春節を挟むおよそ40日間、中国では約30億人が国内のみならず世界中を大移動する。人呼んで民族大移動。従来なら各国は威勢よく金を落としてくれる中国人旅行客を大歓迎するのだが、今年はできれば来てほしくない、特に湖北省武漢からは、と思っていることだろう。
理由はもちろん、例の武漢発の新型コロナウイルス。世界保健機関(WHO)が呼ぶところの2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)、通称“武漢肺炎”だ。
往時の広東省発のSARS(重症急性呼吸器症候群)に比べれば中国当局の初期対応はかなり良い、という声も聞かれれるが、本当にそうだろうか。よくよく調べてみると、多くの人たちが想像するより手ごわいウイルスかもしれない。
昨年(2019年)12月8日、武漢で原因不明の肺炎患者が最初に報告された。このときは公表されなかったが、12月30日、内部報告の公文書「原因不明の肺炎救援工作をよくすることに関する緊急通知」がネットに流出したことで、武漢で原因不明の肺炎が広がっていることが国内で噂になった。この段階では、感染源地とされる華南海鮮城(市場)はまだ閉鎖されておらず、多くの人たちが年末の買い物に訪れていた。長江日報の記者は問題の市場を訪れ、「市場の秩序は保たれ、多くの人が買い物をしている」と報じて、噂を否定した。
だがその翌日、中国メディア・第一財経が、ネット流出した文書が本物であること、12月8日に最初の患者の報告が行われていること、感染者が市内の華南海鮮市場の出店者であることなどを報じた。この報道によって“武漢肺炎”の発生が広く知られることになった。
華南海鮮市場が正式に封鎖されたのは年明けの1月1日である。このときすでに感染者は27人に広がり、うち重篤症状は7人にのぼっていた。一方、ネットで武漢肺炎の噂について情報を流したネットユーザー8人が、「肺炎について事実でない情報を流した」として警察に身柄拘束されていた。
最初の例の発症から、市場の消毒など本格的な感染防止対策に入るまでおよそ3週間かかっている。政府の対策は決して早いとはいえないが、原因不明の感染症が発生したことを隠蔽したまま春節を迎えた2002~2003年のSARSよりはよっぽどましだと人々は思った。SARSで懲りているだろうから、さすがの政府ももう隠蔽はしまい、と。だが、その後、あれよあれよという間に感染者は増え続け、タイや日本にも感染者が出た。
ネットでは、匿名の微博アカウントによって、武漢同済医院には廊下にまで肺炎患者が寝かされている、といった怪情報が1月16日に流れ、ネットユーザーたちを震撼させた。
このアカウントによれば、自分の父親が肺炎症状を訴えて新華医院で受診後、ウイルス性肺炎と診断されて同済医院に転送された。だが、同済医院は廊下も病室も肺炎患者だらけで、収容できないので自宅療養してくれと言われて返されたという。父親は家に戻ると肺炎症状から呼吸困難に陥り、武漢肺炎の隔離病院に指定されている金銀潭医院に救急車で搬送された。その後、母親と自分にも同様の肺炎症状があらわれた。金銀潭医院に連絡しても、外来診療科がないので対応できないと断られ、心細くなって仕方なく微博に書き込んだ、という。このアカウントは間もなく削除され、多くのネットユーザーたちは「やはり情報隠蔽があるのではないか」と疑心暗鬼になっていた。
人から人への感染の可能性は、国外の専門家が指摘し始めていたが、武漢市当局は「証拠はない」と突っぱね、1月19日にようやく「人から人への感染の可能性を排除できない」と表現を改めたのだった。
こうした状況に対し、習近平は1月20日になって国務院聯合防止聯合コントロールメカニズムを招集して、武漢コロナウイルス肺炎感染の拡大防止徹底を指示、情報隠蔽に対しては厳罰に処す、と発表した。これに合わせて中国メディアも「感染の隠蔽は千古の罪にあたる」と報道。すると広東、上海、北京で、続々と感染者確認の情報があがってきた。普通に考えれば、すでに感染の広がりは地方当局レベルでは確認されていたはずである。だが、それをずっと公表してこなかった。これを隠蔽と言わずして、何と言おう。
1月22日現在の情報をまとめておくと、国務院の同日の記者会見によれば、武漢肺炎の感染者は湖北、北京、上海、広州、四川、天津、重慶、浙江、河南、山東、雲南、湖南など国内13の省、市、区で累計440人、うち9人が死亡、疑似感染46人。夜になって感染者は26の省、区、市で473人(マカオ1人、香港1人含む)、疑似感染182人に更新された。 死者も湖北省衛生当局は17人に更新。また米国疾病コントロール予防センター(CDC)は22日、最近中国旅行をして帰国した米国居住者に感染が確認されたと発表した。これで海外感染者は、タイ4人、韓国1人、日本1人、台湾1人と合わせて8人になった。
BBCが1月18日に、すでに1700人以上が感染している可能性があると報道しており、感染者数は今後も増えていくとみられる。2002~2003年春に蔓延したSARSが最終的に8098人に感染、774人が死亡したことと比べると、感染力はSARS以上といっても過言ではない。今のところ死亡率がSARSより低いことが救いだが、感染が効果的に封じ込められなければ変異して毒性が強くなるかもしれない。
ちなみに現時点で1700人以上というのは、英国政府やWHOの感染症対策などのコンサルティングも行っているロンドン帝国理工学院MRCグローバル感染症分析センターの専門家が統計学的に予測した数字である。武漢から海外に出る旅行者は1日平均のべ3301人、武漢国際空港がある地域の人口流動量は1900万人、感染から発症確認まで平均10日前後、潜伏5~6日、発症後の検査、確認にかかる時間を4~5日、タイ、日本の発症確認例は発症後3日、および7日で病院隔離が完了、といったデータをもとに算出したという。
潜伏期間がSARSよりも長いことや、症状が軽く済んで武漢肺炎と気づかないまま治癒するケースもあることが感染拡大スピードに影響しているのではないか、とも指摘されている。そうなってくると、実はSARSよりも封じ込めが厄介なウイルスといえるだろう。
香港のネットニュースによれば、医療従事者の感染も出ているようだ。武漢肺炎専門家チーム(代表、鐘南山)のメンバーとして12月31日に武漢の現場入りした北京大学第一医院主任の王広発医師が1月21日までに感染したことが確認されている。
専門家チームの代表であり、2003年のSARS発生のときに当局の隠蔽を告発し、対策の陣頭指揮もとったことで知られる中国主席感染症専門家、鐘南山はこの状況を受けて、武漢肺炎は「人から人にも感染し、目下、医師、看護師ら医療従事者14人が感染している」と証言している。
武漢両間医院の1人の脳外科医から14人の医師・看護師への感染も確認されており、医療従事者の感染者数は1月22日の段階で20人に増えた。院内感染は本来絶対起きてはならない事態であり、SARSの経験が生かされていなかった、と言える事態だ。
チームメンバーの香港大学微生物学感染症学講座の袁国勇教授は1月20日、武漢肺炎について、「いま感染第一波、第二波が出現しているが、目の前の第三波が食い止められないなければ、2003年のSARSの再演となる」と強く警告。
第一波とは感染源地とみられる華南海鮮市場関係者の発症に限定されていた時期、第二派とは市場周辺地域から武漢市への感染の広がり、そして第三派は感染源地とはまったく関係のないところで感染が広がる状況を指す。すでに第三波が始まりかけているわけで、これを食い止めなければ、どっと感染が拡大する危険がある。武漢から遠く離れた深圳の発症が報告されたのは1月3日。それが19日まで確認されていなかったのは、単に技術的な問題ではなく、やはり情報が隠蔽されていたから、といえる。
ちなみに今回の新型コロナウイルスの宿主は、鐘南山によれば、タケネズミが疑われている。ネズミ年に、ネズミから始まる疫病が中国で起きるなんて、そんな語呂合わせは面白くもなんともない。タケネズミは中国の四川や広東、広西チワン族自治区でも養殖され1匹100元前後で売られている。だとすると発生源が武漢の市場だけにとどまらない可能性も考慮せねばならない
SARSが発生した2002年暮れから2003年春、私は北京特派員で、防護スーツを着て病院内の取材に行った。あの頃の情報隠蔽、目に見えないウイルス感染の取材は、余震の続く震災現場の取材やフィリピンのテロ組織アブ・サヤフ支配地域の潜入取材とはちょっと異質の恐怖感があった。情報がない、敵が目に見えないというのはかくも不安なのかと思い知った経験だった。
あのとき、未知の感染症の恐ろしさを中国当局もメディアもいやというほど経験したはずだというのに、15年も経てば忘れるのだろうか。
習近平政権になってから、反腐敗キャンペーンによって習近平に従順でない官僚、公務員への粛正が加速していることから、ここ数年、官僚、公務員がネガティブな情報に「気づかないフリ」をするサボタージュの傾向が顕著だといわれている。今回の感染症情報も、習近平は「隠蔽したら厳罰に処す」と、懲罰をちらつかせて情報を上げさせているが、結局のところ懲罰や命令がなければ、彼らは自主的には動かないということかもしれない。
こうした官僚体質や、政治家の保身、権力闘争による隠蔽を暴き、公民の知る権利を守るのはメディアの役割だが、中国のメディアそのものが、党の宣伝機関であることを第一任務に負わされている官僚機構だ。このため、党にとってマイナスかもしれない情報を探ったり公表したりすることはできない。しかも習近平政権になってメディア統制は各段に厳しくなっている。結局、官僚システムの問題に加えてメディアの機能不全が、中国のリスクの本質だといえる。

(2020.1.23.JBpress)

 
 
 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 闇塗怪談 | トップ | 白鳥のジュン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会」カテゴリの最新記事