とりたてて何もない日々のらくがきノート

からだに関することや昭和の懐古、たまに俳句など

蚊取線香

2024-07-13 19:18:39 | 日記

(↑JR予讃線上り急行電車 川がだいぶ増水しています)

今では全く見かけなくなったが、ほんの子供の頃、夏には蚊帳を
吊っていた。また網戸などない時代であるが、暑い夜は窓も開け
放していたと思う。

それで、小1の夏休みに入ったか、入らないかぐらいのある日の夜、
すでに布団を敷いて寝始めた時、母親が蚊取線香をと言ったら、
父親がきつい口調で、点けなくてもいい、点けるなと言い、母親は
いや点けると反駁し、それを数回繰り返したあと、突然母親は
憤然として起ち上がり、私を自転車の荷台に乗せて自分の実家へ
(歩くと45分ほど)帰って行った。今から思うとたぶん、何週間か、
もしかすると何ヶ月も前からすでにケ○カをしていたんだと思う。

母親の実家に着いた時の様子とかは全く記憶がない。子供なんだから
何がどうなっているのか理解出来るわけもなく、ただ戸惑っているしか
なかったんだろうと思う。

住んでいた家は田舎ながら駅前商店街のすぐ近くだったが、母親の
実家は少し田園地帯というか、あたりに店など見当たらない場所で
自然に囲まれていた。そして自分の家では、毎日銭湯に行っていたのに、
実家には五右衛門風呂があった。簀の子を底に敷いて入ったりけっこう
湯が熱かったりを面白がっていたと思う。

そして、なぜかうまいことに実家の隣の隣ぐらいに同じクラスの男の子が
いて、夏休みではあるし裏山とかすぐ目の前だしで、虫取りとかとにかく
何でもして遊び回って、それなりに楽しく過ごしてしまったのである。
そうしている内に、ある時その男の子が、
「もうずっと、こっちにおるんか?」
と聞いてきた。そんな事言われても私にはわかるわけもなく、
きまりの悪い苦笑いでお茶を濁すしかなかったような覚えがある。

そんな夏休みの終わりごろだったか、風呂から上がって家のすぐ外に
出て何気なく空を見上げたら、それまで見たこともない、無数の星々が
夜空全面に輝いていて、その荘厳さというのか美しさに圧倒され、
驚きつつしばらく我を忘れて眺めていた記憶がある。これぞ満天の星と
いうのだろうけど、今でもその景色ははっきりと思い出すことが出来る。

そんな日々の後、とうとう実家の祖母が、何かに触ったとか触らない
とか言って、私に当たり出した。些細なことにも何かにつけ怒鳴りつける
のである。今考えるとわかるし、それもしょうがないとも思う。つまり
祖母は心を鬼にして、母親に見せつけるように、わざわざ私を執拗に
叱り飛ばしていたのに違いない。

こうして、母親の実家での夏休みは終わりを告げたが、親達や実家の
祖父母には悪いけれども、私自身は、がらりと違う環境の中、夜空の
星々も堪能出来たし、素晴らしく楽しい夏休みを過ごすことが出来た
小1の夏であったと考えた土曜日の夜である。