【土佐魂】 澤田誠志の ”人生キチキチ”

      ~馴れず焦らず怠らず人生戯れの如く~

◆teamキチキチ 第六回SP公演決定!!!

この公演は終了しました。 沢山のご来場、ありがとうございました!!!   

◆東京11(イレブン)情報!!

※当店、「東京11(イレブン)」では・・・ 【毎月11日】を”振る舞いカレーの日”として無料サービスしています。 是非どうぞ!!!

◆DVD「池田&澤田トークソングライブ2013」

※予約は、カテゴリー◆『2013 DVD&Tシャツ予約』からお入りください。   ×完売しました。

◆DVD「池田&澤田ライヴ2011」

※注文はカテゴリー◆DVD「池田&澤田ライヴ2011」からお入り下さい。   完売しました!!

◆DVD 「澤田&池田の夏ライブ2010」 

※注文はカテゴリー◆DVD「澤田&池田ライヴ」からお入りください!!   ×完売しました。

◆DVD teamキチキチ第五回公演「不協和音」

※注文はカテゴリー◆DVD「不協和音」からお入りください。  残り2枚。

◆DVD teamキチキチ 第四回公演  「TSUYA」

※ご注文はカテゴリー◆DVD「TSUYA」からお入り下さい。  ×完売しました。

◆DVD teamキチキチ第三回公演 「 BANK★PUNC」

※注文はカテゴリー◆DVD「BANK★PUNC」からお入りください!! △残りわずか!!

ちょっといい話

2015年08月20日 | ◆人生キチキチ

彼女には親がいなかった。

物心ついたときには施設にいた。
親が生きてるのか死んでるのかもわからない。
グレたりもせず、普通に育って普通に生きていた。

彼女には同じ施設に恋人がいた。

3つ年上で、幼い頃からずっと一緒に育ってきた恋人だった。
結婚の約束もした彼女の唯一の家族だった。


そんな彼女と彼がデートの帰りに事故にあった。

トラックに突っ込まれて、トラックの運転手と彼は即死。
彼女は右脚の腿から下と、右半身の感覚を失った。

その後の彼女は茫然自失だった。

何もやる気が起きなかった。

病院の中では死ぬことすら出来なかった。


彼女は死ぬ気でリハビリをした。
病院の中では死ねない。
死ぬためには動けるようにならなければならない。
文字通りの死ぬ気だった。

彼女の心はうしろに前向きだった。


血反吐を吐くようなリハビリの末、彼女はまた一人で生活できるようになった。
義足の扱いにも慣れた。
右腕も多少は動く。

その日突然、「今しかない!」と、思い立ち駅へ向かった。

死ぬなら電車にしよう!

電車なら確実に死ねる!

賠償を求められても、私には求める遺族なんていやしない!


お気に入りのワンピースで駅へ向かった。
彼が一番好きで、デートのたびにそれを着させられ、ヘビーローテーションしていたワンピースだ。
義足が目に触れることを嫌って事故以来一度も着ていなかったが・・・

彼に会うならこの服しかない!!




駅で入場用の切符を買おうとしていると、小銭を落としてしまった。

右半身の感覚の薄い彼女は、「しゃがみこむ」という動作が一番苦手だった。
仕方なしに拾おうとすると・・・

落とした100円玉をすっと拾う手があった。

年配の男性だった。

小さな声で「ありがとう」と呟くと、男性は言った。

   「3年ほど前に、○○駅で貴女と一緒にいた男性に助けて頂きました」 と。


何のことだかわからない彼女に、男性はふと目線をうしろにやった。

目線の先には、年配の女性が車椅子に乗って微笑んでいた。

   「あぁ、駅の階段で難儀していた夫婦を彼と一緒に手伝ったことがあったなぁ。」


いつも車で移動していたふたりが、珍しく電車に乗ったデートだった。
彼は優しかった。
いつでも、誰にでも優しかった。

彼女が彼を思い出していると、車椅子の女性が近付いてきて言った。



   「しんどいわねぇ・・・でも貴女には明日があるのよ!」


その瞬間、彼女は突然号泣した!

男性にしがみつくようにして・・・泣いた!!

彼がいなくなってから、一滴も流すことのなかった涙を絞り尽くした・・・!!

 

 


それから2年・・・

彼女は年配夫婦の養子に迎えられることになった。

   「これからは飛び込まれたらかなわないわね」


   「うちに請求がきちゃうからなぁ~」


夫婦はニヤニヤと彼女に言い、彼女は・・・

   「もうしないよ」

と、困ったように笑う。


   「老後の面倒みてもらわにゃな~」

と、父は言う。


   「その代わり、あたし達死んだら保険金がっつり貰えるよ!やったね!」

と、母は言う。


   「じゃあ保険金のためにがんばりますか」

と、彼女は私に微笑む。


施設から、子供の出来ないこの夫婦の家に養子に迎えられた私は

ハタチを過ぎてからできた素敵な姉がいる。

     両親にも姉にも長生きして欲しい!!



                             お わ り