今年は、友人・知人・同級生を病気、事故等で多くの人を亡くし、人生の無常を感じた年となった。
まさに・・・
『無常の風は時を選ばず』だ。。。
が、そんな中・・・
こんないい話もあった。
ある日、「A」の会社に一本の電話が鳴った。
「お父さんがお亡くなりになりました」
「A」は、実の父の顔を写真では見た事はあったらしいが
実際には知らない。
抱かれた記憶も、一緒に遊んだ記憶もない。
4,5歳の時に離婚したのだ。
それからは、女手一つで「A」は育てられた。
父親の愛情に触れる事なく・・・
「A」は、中学を卒業すると、高校へは行かず専門学校に入学した。
母親を少しでも楽にしてあげたかったのだろう・・・
その後、「A」は東京に出てその才能を認められ、とんとん拍子に出世した。
その間、父親には勿論会ってもいなし会うつもりも毛頭なかった。
むしろ、その存在を消し去るが如く必死に働いたに違いない
「俺達を捨てた親だ! 絶対に許さない!!」
そんな「A」は今、自分のペースで我が道を歩いている。
少しずつ母親に恩返ししながら・・・
走り過ぎた若い頃の時間を取り戻すかの如く、ゆっくりと・・・自分の歩幅で・・・
そんな「A」の元に、一本の電話が鳴ったのだ。
「お父さんがお亡くなりになりました」
「なんで今頃・・・?」
「A」は悩んだ・・・
が、母親の了解のもと、「A」は亡くなった父親の元に行く事を決心した。
そして、父親の住む「T県」に向かった。
が、そこには再婚した父の子供二人がいた。
兄と妹・・・二人兄妹らしい。
その二人の兄妹は、父から「A」の事を色々と聞いていたらしい。
「A」の事を話し続ける兄妹二人・・・
その話を黙って聞いている「A」・・・
が、時折話しに食らいいつく「A」・・・
途切れた記憶を取り戻すかのように詳しく・しつこく・・・
そして、大体の話しを聞き終わった「A」が席を立とうとした時だ
妹が、何かのスクラップを奥の部屋から持ってきて「A」の前に差し出した。
「お父さん・・・ これを大事に大事に持っていたんですよ!!」
そのスクラップを開く「A」・・・
すると
そのスクラップの中には、彼の成長の記録がビッシリとファイルされていたのだ
それは、「A」が順調に仕事に恵まれ成長していく姿だった・・・
その後、「A」の仕事が変わっても、変わりなく「A」を陰から見守り続けていた父親の愛情が
そのスクラップにはしっかりと刻まれていたのだ
「A」は泣いた・・・
声を出して泣き崩れたらしい・・・。
「おやじ・・・・・」
「A」の止まっていた時間が回り始めた瞬間だった
皮肉にも、亡くなって初めて回り始めた父親との時間だったのだ。
が、しかし・・・
もしかしたら「A」のお父さんは、ず~っと「A」との時間を刻み続けていたのかもしれない・・・
「A」の幸せを遠くから願い・祈り、そしていつか会える日を心待ちにして・・・
・・・いや、そうに違いない
今「A」は、兄妹が4人になった喜びを大きく感じている。
この前、その妹と電話で話した俺。
妹は、兄ができた事をすっごくすっごく喜んでいた
そして、その場で「A」に俺が電話を代わると受話機からは・・・
「お兄ちゃんあのねぇ・・・・・お兄ちゃんねぇ・・・・・」
と、何やら嬉しそうにハシャいで話している声が大きく漏れてきた。
その光景を見た俺は・・・
・・・もう洪水の嵐だった
声にならない声で・・・
「良かったナ・・・良かったナ・・・・・」 (思い出しても涙が出る・・・)
「A」は、慣れない「妹」という言葉を使いながら、ある物を何回も何回も俺に自慢して見せてきた
「このバック・・・妹から貰ったんですよ・・・妹から!!」
年末の・・・・・
いや
今年最高のドラマのような感動を貰った俺だった
※会わせてくれた両方の親に感謝だぞ・・・「A」
ほいたら
(※長文・・・最後まで読んで頂き感謝です)