SMILEY SMILE

たましいを、
下げないように…

辻口さんは何処へゆくのか?

2005-03-24 18:09:10 | 
モンサンクレール Mont St. Clair

自由が丘ロール屋

ル・ショコラ・ドゥ・アッシュ LE CHOCOLAT DE H

和楽紅屋

マリアージュ・ドゥ・ファリーヌ Mariage de Farine

コンフィチュール・アッシュ Confiture H


これら6店舗は日本が誇るパティシエ、辻口博啓さんのお店。

しかも、6店すべて違うコンセプトのお店。

モンサンクレールは、ケーキメインでパンやチョコも扱う。

ロール屋は文字通りロールケーキ専門店。

LE CHOCOLAT DE Hはチョコレート専門店。

紅屋は、和素材を活かしたラスク屋さん。

Mariage de Farine はパン屋さん。ケーキもある♪

Confiture H は、ジャム専門店。

という徹底した専門店政策(?)

90年代後半からのスイーツのトレンドの中心人物である辻口さん。

モンサンクレールがオープンした当初、私は自由が丘で働いていて、

足繁く通ったものでした。

今では他の追随を許さない日本の、世界のツジグチになりつつありま

す。

今後は、パリやニューヨークへの進出を目論んでいるのでしょう。

なんて野心家なんだろう・・・。

マスコミに持て囃されれば持て囃されるほど、他の同業者からは妬ま

れる。あまり同業者には好かれていないようです。出る杭は・・・。

孤高という言葉を使うのは、好きではないけれど、彼は、

孤高のパティシエなんでしょうね。

石川県七尾市の小さな和菓子屋の息子が、世界一を決めるコンクール

で頂点に立ち、独立。日本を制覇し世界に挑む。そして名実とも世界

一のパティシエになる・・・。

このサクセスストーリーはまだまだ続きがあります。

私は、どきどきしながら辻口さんを見守っている。

辻口さんは次、何をやってくれるんだろう?

以下は最近オープンしたConfiture H のコンセプトです。


「世界のフルーツを一つの小さな瓶に詰め込み一つの心を表現する。

(略)心と心のつながりは、人類の繁栄の証。フルーツのもつ香り、
 
 ・食感を最大限に引き出し、それをひとすくいのスプーンで表現

 します。素材の持つ特色を組み合わせることにより、お互いが共鳴

 し、新しい味覚が生み出されます。」






恍惚と不安

2005-03-24 03:29:56 | 太宰
―ああ、主よ、われ如何にしてけん?あわれ、見そなわせ、わが主、
われいま不思議なるよろこびの涙に濡れてあり、
御身が声は同時にわれをよろこばせ、われを苦します、
その喜びも苦しみも同じくわれに嬉しきかな。

われ笑ひ、われ泣く、盾に立ちて
運ばれ行く青白の天使の姿ある戦場へ
征けと鳴る喇叭を聞くと似たるかな、
その音ほがらかにわれを導く男男しかる心へと。

撰ばれて在ることの恍惚と不安と双つわれにあり、
われにその値なし、されどわれまた御身が寛容を知れり、
ああ!こは何たる努力ぞ!されどまた何たる熱意ぞ!

見そなわせ、われここにあり、御身が声われに現せし望に眼くらみつつ
なお然も心つつましき祈にみちて
おののきて、呼吸(いき)したり……

堀口大学訳『ヴエルレエヌ詩抄』「智慧」の「巻の二」の「その八」


もとはと言えばヴェルレーヌの信仰者として神に選ばれた者としての

<恍惚と不安>なのですが、太宰さんは芸術家、作家としての恍惚と

不安として処女作『晩年』の巻頭「葉」のエピグラフにこの言葉を挙

げました。

なんてナルシスティックなんだろう、と思うけれども、誰にだってある

思いではありませんか?

人間として生きていることの恍惚、そして不安。

恍惚だけでは、きっと葬られてしまう。

不安だけでは、早々に世から辞することになりそうです。

危ういバランスの上で、私たちは綱渡りをしているのでしょうか。



だめだこりゃ

2005-03-24 02:02:07 | 太宰
路を歩けば、曰く、「惚れざるはなし。」みんなのやさしさ、

みんなの苦しさ、みんなのわびしさ、ことごとく感取できて、

私の辞書には、「他人」の文字がない有様。誰でも、よい。あなたと

ならば、いつでも死にます。ああ、この、だらしない恋情の氾濫。

いつたい、私は、何者だ。「センチメンタリスト。」をかしくもない。


~太宰治「思案の敗北」昭和十二年


確か、だいぶ前にもこの言葉、取り上げて記事にしたと思う。

相変わらずだらしない恋情に溺れている私は、「他人」の文字がない

様子。

どんな関係を夢みているのだろう。

濃密な、母子の一体感を憧れているのだろう。それ以外の関係という

のがまだ呑みこめないようだ。愛だ恋だもわからない。淋しさと不安

だけがある。

桃源郷の夢をみる。
(なんて思っているから、救われないんだ。)

なんて、これじゃァ、いつまで経ってもダメだ。
(自虐は醜いネ)







2005-03-24 00:38:28 | 
変に生々しい夢だった。

魚が道に敷き詰められていた。

精巧なサンプルの如き魚は、まるで先程まで生きていたかのように、

いや、もしかしたらあれは生きていて動けなかっただけなのかもしれ

ない。

・・・そう、そうだ、あのとき時間が止まっていたのだ。跳ねた魚が

口を開け、身をよじらせ宙に浮いていたのだ。

それらは、キズひとつなく、てらてらと光っていた。

そのなかを、ぼくは歩かなければならなかった。

魚たちを踏みつぶしながら。

不思議なことに匂いは全くない。

ただ、踏みつぶす足の感覚だけは、生々しく覚えている。

どうしても歩かねばならなかった。

歩みを進めるたびに、魚たちの悲鳴が聞こえるようだった。

足元を見ずに、ただ歩く。

何故歩かなければならないたんだろう。

先に何があるのかは、わからない。

「Klage」~Rainer Maria Rilke

2005-03-23 15:45:51 | 
誰に向ってお前は嘆こうとしているのか 心よ? ますます見すてられて

お前の道は 不可解な人々の間をぬって もがきながら

進んでゆく だがしかし それもおそらくは空しいのだ

なぜなら お前の道は 方向を

未来の方向へを保っているからだ

失われた未来への

以前 お前は嘆いたのだろうか? あれはいったい何だったのだろう?あれは?

歓呼(よろこび)の木から落ちた一顆(ひとつぶ)の実 まだ熟れていない実だった

けれども いま 歓呼の木は折れる

私のゆるやかに伸びていた歓呼の木が 風のなかで

いま折れる

私の眼には見えない風景のなかの

いちばん美しい木が。私の眼に見えない

天使たちに分からせていたあの一本の木が


~リルケ 「嘆き」 富士川英郎訳 


1975年6月9日(雨)

2005-03-23 03:20:35 | 
雨の中を歩くのが好き

勿論、傘などささずに

どしゃ降りでもいいし

霧のような雨もまたいい

夜でも、早朝なんてのも、夕方なんて・・・

次第に濡れてゆく身体

重くなる服

髪から水が滴る

奇妙な薄笑いを浮かべて歩く

春の雨に濡れながら

きっと、いや絶対に昭和50年の6月9日は雨だったに違いない

と確信した

でなければ、おかしい

確かにあのとき、

雨の音が子守唄だったんだ

我は、雨の子






この階段を・・・

2005-03-23 02:56:06 | 
登ると、多摩川の河川敷が広がっている。

時々、ねこさんがうろついている。

雨だと、ひきがえるくんが階段を登ろうと必死になっていたりする。

ここからの眺めは、いい。

多摩川百景のひとつだった気がする。

百景などといわず十景に入れて欲しいところだ。

この階段を登って、

広い多摩川の河川敷を見渡すと、

「ああ、帰ってきたんだなぁ」と思う。




検印

2005-03-23 02:47:24 | 太宰
昭和三十五年発行の筑摩書房版 太宰治全集第二巻を三鷹の古

本屋で見つけた。300円也。安い・・・。しかも検印が・・・。

検印の価値というのはないらしいけれど、なんだかこの太宰印にはドキ

ドキしてしまった。

たらいまわし・本のTB企画「第11回 『旅』の文学!」

2005-03-22 14:36:26 | 
文句なく、太宰の『津軽』!!

太宰の生家、斜陽館が閉まる1ヵ月前?にひとりで行った津軽行。

忘れやしない。

勿論、『津軽』も同伴。

ベタやなぁ。あのとき21だったんでしょうか。

まぁ、いいんです。

結局行ったのは、弘前、五所川原、千畳敷、金木周辺だけだったので

すが。

忘れられない経験でした。

旅・・・

非日常・・・

麻痺した自分のココロを溶かすために

異空間に自分を置く、置いてみる

化学変化、実験結果・・・

あの淋しさと寒さは私にとって初めてのものだった。

竜飛や蟹田・小泊・岩木山にも訪れてみたいものだなぁ。

いつか・・・


Narziss

2005-03-22 14:12:41 | 
ナルシスが死んだ その美しい姿からは絶え間なく

まるでヘリオトロープの香りのように濃密な

彼の本質に近いものが立ち上っていた

けれども彼の運命(さだめ)は 自分を見つめることだった



彼は愛した 自分から出て また自分のなかへ帰ってきたものを

そしてもはやあからさまな風のなかにまじってはいなかった

うっとりして さまざまな姿の圏を閉じ

自分を放棄しながら 彼はもはや存在することができなかった


~Rainer Maria Rilke(富士川英郎訳)


ヘリオトロープは
学名: Heliotropium arborescens  
和名:ニオイムラサキ キダチルリソウ(木立瑠璃草) 
性状:常緑小低木(非耐寒性)
茎頂に濃紫色の小さな花が多数集まって咲き、甘い香りがする。香料作物としても栽培する多年草。
花期:春 香水で有名。

【花言葉】 献身的な愛

ということです。



献身とは?

ナルシスとは?

ぱらぱらとめくって出会ったリルケの詩にはいつもドキリとする。