自動車整備士のつぶやき・・・

車の整備や使い方など、自動車整備士としてもただの車好きとしても、いろいろと綴ります・・・

スパークプラグの話

2018-04-13 12:45:21 | 日記
今回はスパークプラグについてです。
ガソリン車には必ず付いている部品。エンジン回転の適切な時に火花を散らし、ガソリンと空気の混合気に着火させる大切な部品です。
皆さんはこれの交換時期をご存知でしょうか。車の取説の後ろの方のページ、「メンテナンス」等の項目に書いてあります。
スパークプラグには、普通、白金、イリジウムなどの種類があり、更に長寿命タイプもあります。
それぞれで寿命も違うし、更に軽自動車、普通乗用車、二輪車で寿命も変わります。
有名プラグメーカーのNGKでは、以下のように書いています。
 普通、白金、イリジウムプラグ
   普通車/15,000km~20,000Km 軽自動車/7,000Km~10,000Km 二輪車/3,000Km~5,000Km
 長寿命タイプ 白金、イリジウムプラグ
   普通車/100,000Km 軽自動車/50,000Km
軽自動車や二輪車の寿命が短いのは、常用回転数が高い、例えば時速50Kmで走っている時のエンジン回転数が普通車よりも高いからです。
ただし、それぞれの車によって変わります。
特に最近のダイレクトイグニッション車(プラグコードなどが無いタイプ)は、エンジンの燃焼1サイクルで2~3回点火するものもあります。それだけプラグの負担は大きくなっています。
それでもダイハツアトレーワゴンでは100,000Km、トヨタハイエース等は200,000Kmとメーカーでは言っています。でもそんなに持つ訳ありません。プラグメーカーが言っているんですから。



これは三菱ekワゴン(ニッサンオッティ)で27,000Km使用したプラグです。左は車から外したもの、右が新品です。
色合いは抜きにして、L字型に曲がった電極と棒状に突き出した電極の隙間の差が分かると思います。これ程電極は消耗しているんです。
それでは何故、隙間が大きくなるとダメなのか。
広くなればそれだけ高電圧が必要になるのはお分かりだと思います。静電気の「パチッと痛い」と「バチッと超痛い」の差だと思ってください。こうなるとバッテリーの電圧を高電圧に変える部品(イグニッションコイル)に負担もかかるし、点火させるタイミング(点火時期)もずれて、エンジンの力が弱くなり、燃費も悪くなってしまうんです。
長寿命イリジウムプラグなどは硬い金属を両電極に使っているので、普通の物に比べて消耗しにくくできています。それでも減ります。
今のおじいさん世代の人達が若い頃は、自分でプラグ交換はしていました。でも今の車はやりにくくなっています。



特にこの画像のような車、ニッサンセレナです。黒い4本のパイプ状に見えるもの(インテークマニホールド)の下に高電圧を作る部品(イグニッションコイル)があり、その下にスパークプラグがあります。ユーザー自身で交換などはできませんね。ノートやキューブなどのエンジンも同じです。それでも交換は必要となります。
最近の自動車メーカーは「整備はディーラーに任せてください」的なつくりをしています。僕ら自動車整備士から見ても、非常に面倒なつくりです。
自動車メーカーが指定している交換時期とは「それまでは壊れないだけでその後は知りません」と言ってるように僕は思っています。指定交換時期の5~8割程度の距離で交換するほうが、エンジンの調子にも寿命にも良いと思います。
もしも「エンジンが少しガタガタする」とか「最近燃費が悪くなってきた」と思われたら、まずはディーラーでも街中の整備工場ででも相談してみてください。

余談ですが、普通プラグは1本600円~1,000円程。イリジウムプラグは1,500円~2,000円程。長寿命タイプのイリジウムが2,500円~3,000円程。
普通プラグをイリジウムにグレードアップするだけで、エンジンの調子が良くなることが多いです。当然燃費も良くなると思います。安い方がいいからグレードダウン、はお勧めしませんが・・・。