「蟹工船」日本丸から、21世紀の小林多喜二への手紙。

小林多喜二を通じて、現代の反貧困と反戦の表象を考えるブログ。命日の2月20日前後には、秋田、小樽、中野、大阪などで集う。

ノ-マ氏「小林多喜二」に関するインタビュー「日経」3/8 (御影暢雄)

2009-03-08 11:13:53 | 仲間たちから多喜二への手紙
SUNDAY NIKKEI (御影暢雄)
2009-03-08 11:10:18
日本経済新聞8日朝刊SUNDAY NIKKEI読書欄に、ノ-マ氏「小林多喜二」に関するインタビューが掲載されていました。


(あとがきのあと「小林多喜二」ノ-マ・フィールド氏 ~恋人への真剣さに驚き)

 ~昭和天皇崩御前後の自粛騒ぎの中で表われた日本人の行動様式と心性を探った「天皇の逝く国で」で知られる米シカゴ在住の日本文学・文化人類研究者。11年前から「蟹工船」の作家、小林多喜二を研究してきた。彼が育った小樽に一年住み、そこで触れた証言・資料を生かして、作家の人間像に迫ったのが本書だ。
”祖母の故郷である小樽を初めて訪ねた1998年に、小樽部文学館で恋人のタキちゃん(田口瀧子)あての手紙を見たのが、多喜二の関心を持つきっかけとなった。(酌婦出身の)彼女に対して、「決して、今後絶対に自分をつまらないものだととか教育がないものだとか、と思って卑下しないこと」と書いている。その真剣さに驚きました。”

 特高による拷問で29才で亡くなったこともあってか、多喜二には陰鬱なイメージがつきまとう。それだけに”先入観を取り払って等身大の姿を伝えたい”と考えた。(多喜二は)学生時代には文学を筆頭に、芝居、映画、音楽、絵画に熱中。銀行マンとなってからはひたむきな恋に生きた。”まさに青春だったと思う”と話す。

 多喜二の作品を丁寧に読んでいくと、それぞれの登場人物を大切にしていることが分かったという。

 ”様々な価値観を大事にして、誰も排除していない。そんな多喜二さんを知れば知るほどひかれていった”だからこそ昨年からの「蟹工船ブーム」を通じて、多喜二の作品が多くの人に読まれることを願っている。

 日本生まれだが、18才で米国に渡った。一冊丸ごと日本語で書いた本は初めて。”へたな日本語で文学作品を論じてはいけないというためらいがあった。格闘があった分、とても愛着のある本になった”と笑う。今後は日本のプロレタリア文学の選集を米国で刊行するため、研究者仲間と翻訳に取り組む。多喜二との縁は切れそうにない。(岩波新書780円)
 
(NORMA FIELD:シカゴ大学教授。1947年東京生まれ。65年に渡米。プリンストン大で博士号を取得。著書に「へんな子じゃないもん」)

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御影暢雄さん、早速のご紹介ありがとうございます。



                       

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1 コメント

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3月8日朝日新聞読書欄 (御影暢雄)
2009-03-08 21:01:30
 8日朝日新聞朝刊もノ-マ著「小林多喜二」について短く紹介しています。

 80年の時を超えて再びブームとなった「蟹工船」の著者は、貧しい境遇からエリートへ転身した鬱屈と向き合い、抵抗が生きがいであるように笑みを絶やさなかった。周囲の人々に愛された実像を生き生きとよみがえらせながら、旧来の「政治と文学」の枠から解き放った今日的な読みの可能性を探った評伝。(岩波
新書・819円)

*朝日新聞読書欄では、4月から読者の感想文(400字以内)で募集を始め、4月の課題作は太宰治「斜陽」。
送付先 朝日新聞文化グループ「百年読書会」係へ
FAX 03 5541 8611
メール dokusho@asahi.com
~4月課題分は4月12日まで受付。
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