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映画と渓流釣り

残り香

香りとは不思議なもので、見たり聴いたり触ったり味わう感覚とは違う
もうそこには実在しないのに、存在そのものより心を揺さぶったりする

宇治十帖の主要キャラ 生れながら芳しい匂いを持った薫に対して、競争心を燃やすのが匂宮
香を薫きしめ負けまいとするほどに、古よりこの不可思議な魅力に人々は囚われている

秋の金木犀、冬の沈丁花、この季節なら梔子
普段は気付かず通り過ぎるのに、言葉にできない甘美な香りに驚き振り返る


撮り溜めたビデオも見飽き部屋を出ると、この雨の中いつ帰ったのだろう
玄関に妻の傘と残り香が漂う




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