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映画と渓流釣り

2023秋ドラマ終了


秋から始まったドラマが終わったので記録を残す
当初の期待ほどではなかったけど、それなりに楽しめた三ヶ月だった

「下剋上野球」
いくつもの傑作ドラマを生んできたスタッフの作品としては、作りが甘く全体的に散漫な印象のまま終わった
日本人が大好きな高校野球が題材で、弱小チームが甲子園の切符を掴むまでのお話だから、そこそこに作っても野球ファンなら喜んでくれると思ったのだけど
TBS日曜ドラマ枠っぽい、男達の熱い闘いのお話にしたくなかったんだろうな。わたくしもアノ乗りが苦手で避けているから、ある意味で利害は共通していたのだけど、それにしても全て中途半端に描かれすぎた。鈴木亮平と黒木華の教師(指導者)目線だけで高校野球を見せてくれた方が面白いテーマが描けたと思うし、高校スポーツの偏りとかお金の問題とかに踏み込んだ方が新鮮だったろう
それが無理ならチープな手だが生徒(選手)と先生(監督)の信頼と成長、そして成功までの道のりを感動的にこれでもかと叩きつけるように作れば良かったんじゃないかな。ウンザリだけど

「時をかけるな恋人たち」
深夜枠30分の緩さがこのドラマの持ち味だった。真面目にパラレルワールドとかパラドックスとかを考えちゃうと矛盾だらけの三流SFになってしまうから、時をかける恋人たちの一風変わった恋愛ドラマとして楽しめた
前から書いているけど、優れた俳優の資質はコメディを演じられる事だと思っていて、永山瑛太も吉岡里帆もその要素を遺憾無く発揮できていた。プライム時間帯で主役を張れる二人がこんな小品にも手を抜かず演ってることを、今売り出しの俳優たちは知っておくべきだと思う
前半部分の一話毎に時をかけてきてしまった恋人たちのエピソードは、面白さの度合いにバラツキはあったものの面白かったし感動的なものもあった。後半は主人公二人の逃避行だけになってしまい、一本調子なドラマだったことが悔やまれる。逃避行の最中に今までのエピソードに登場した人々が、うまく嵌まり込む用に絡んでこれたなら諸手を挙げて応援できたのに。そこが残念

「コタツのない家」
序盤はスピード感のない失敗作だと思っていたけど、家族の人間関係が絡み出すあたりから面白くなってきて、古臭いけど新しい家族のホームドラマに仕上がった。コタツが無くともサウナがあることで家族は存在するという結末も、多少無理のある設定ではあるが洒落が効いてて楽しめた
ダメ男3人をまとめて面倒みる女主人を小池栄子がどハマりの好演。ダメ夫の吉岡秀隆は映画三丁目の夕日でやってた茶川とダブルところがあり既視感あるけど、あの憎めない小者さ加減は絶品。小林薫のこういう使い方もあるのかと再発見できたのも大きな収穫。頭デッカチで生意気な息子がいいアクセントでツッコミを入れてくるのも大いに笑えた。この俳優初めてみたけどこれから注目しておこう、作間龍斗
やっぱり家族の話が一番面白い

「いちばんすきな花」
ドラマ好きが今年一番待っていたドラマかも知れない。前作「silent 」が10年に一度規模の傑作ドラマだったから、生方美久脚本に対する期待は大きい
その前提を除いて考えれば充分及第点のつけられるよく出来ていたドラマなんだけれど、やっぱり比べてしまうとなぁ。やりたい事伝えたい思いが沢山あったのがストレートに先走り、脚本家の人間性や思想信条を知るには面白いコンテンツなんだけど、先ずは観客に作品そのものを愛してもらわないと・・・
数年前に坂元裕二が「カルテット」でみせてくれた男と女の歪な関係に近いけど、男女の友情が成立するのかとか二人だけの関係より四人グループの方がうまい関係性が保てるとかの部分に焦点が当てられていた。周りに迎合するだけでは無く、自分の居心地がいい生き方を選択することへの寄り添いが根底にある。そこの所は前作のマイノリティーへの目線、多様性に対する理解というコンセプトと一緒なんだけど、風呂敷を広げ過ぎてしまい共感のポイントが散漫になってしまったかな。演出も少し派手目にキャラを押し付けていたように感じてしまったのも減点部分
演者は主要四人だけじゃなく絡まる全てがいい存在感を出していたけど、家族の描かれ方が薄くて奥行きのない人物像になってしまったことも次回の反省点
色々残念だった点をあげたけど、この次も楽しみな作家であることには1mmも変わりはない

「君に届け」
ズルイのは確かだ
あの名作漫画が原作なんだから、そのまま映像化すれば面白くないわけが無い
そう言われていくつもの名作漫画がアニメや実写になったけど、エンタメはそんな簡単ではなくて、数多の失敗作やゴミが累々としている。そんな覚悟で観なけりゃいけないのと思っていた。実際、アニメは中途半端なところで終わったし、映画は上辺だけの雰囲気をかろうじて描けていたかどうか
はっきり言って今までのどの映像化よりも満足できる作りだった。主人公の爽子はもうちょっと選びようはあった(南沙良がどうこうではなくて)と思うけど、北国の清涼な空気とか高校の三年間しか味わえない狭苦しい青春の苦味みたいなものがうまく描かれていた
不器用な登場人物が少しだけ成長しながら、自分と自分が大切なものを慈しむまでを丁寧に描けていたのが、このドラマの一番いいいところだった
どうなるかはやってみないと分からないけど、NHKの朝ドラでじっくりやってくれたら嬉しいな。それぞれの家族まで深掘りできるだろうから絶対面白くなると思うんだけど






「ブギウギ」
戦時中パートになってから流石に軽快なノリにはならずちょっと小休止的な
戦争を正面に描かないのである意味メリハリの無さは気にかかるけど、朝から悲惨な描写を視聴者も観たくは無いだろうということだろうか?そんなところで忖度はして欲しくは無いな。良いか悪いかを決めるのは視聴者だけど、先回りして無難なお話を観せられるのはウンザリだ
趣里は思った以上に朝ドラヒロインに合っている
小さな身体いっぱいに一生懸命さが伝わってくるので、あと三ヶ月も突っ走ってほしい






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