時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

健全な野党勢力って云うが

2019年12月14日 | 時のつれづれ・師走 

多摩爺の「時のつれづれ(師走の1)」
健全な野党勢力って云うが

晩秋から寒さ厳しい冬へと移りゆくなか、季節外れの桜に終始した臨時国会が閉幕して一週間
与党の先生方が、来年度の税制変更を含む、予算案の詰めに知恵を絞っているなか、
野党の先生方は、いまや年末恒例にもなった合流協議に忙しい。

野党第一党の立憲民主党が、共産党や維新の会などを除く国民民主党(元希望の党)や社民党に加え、
前回の総選挙で、民主党から看板をかけ替えた民進党(元民主党)が分裂した際、
立憲民主党、希望の党のいずれにも属さず、
無所属で小選挙区を戦い議席を得た重鎮議員にも合流を呼び掛けている。

政権交代が可能な勢力を結集すると言えば、聞こえだけは良いんだが
本当の狙いは、資金集めだろう。
桜問題の追及に窮した政府が、仮に来年の春(予算成立後でオリンピックの前)に
解散総選挙を打って出ると想定すれば、数カ月先に大金が必要なことから、
資金面で厳しい野党は選挙互助会を作り、基本的な政策を棚上げして、
選挙に勝つためだけの一つの塊(政党)になろうとするのは分からんでもない。

その根拠となるのが・・・ 政党助成金だろう。
この政党助成金の交付要件を満たすためには、
年内に合流して一つの政党になっておくことが必須となる。

さらに、もう一つ・・・ まとまった資金があることも忘れてはならない。
民進党が希望の党に合流した際、
民進党の金庫にあった資金が、そっくりそのまま希望の党に引き継がれ、
その後、希望の党が国民民主党に看板をかけ替えたことに注目すると、
今現在の懐事情は、所属議員が多い立憲民主党より、
所属議員が少ない国民民主党の方が裕福であることは明らかだ。

よって、立憲民主党がこの資金を狙ってることは間違いなく、
自らが主導した合流に持っていきたいだろう。

だから・・・ 政策の違いで分裂した経緯や、
選挙で声を嗄らしたことなど、都合よく忘れたふりをし、
「政権交代が可能な健全な野党勢力の結集」という、
毎度お決まりの耳触りが良いキャッチフレーズを掲げ、
合流に向けて・・・ 自らの政党が中核を担えるよう主導権争いに明け暮れる。

全てが見え見えなんだが、
それでも、このストーリーどおりに進んでいくのじゃなかろうか?

先立つものが足りなきゃ、そもそも土俵に上がることも出来ないし、
選挙が弱い議員には死活問題でもある。

背に腹は代えられないので、寄らば大樹的な考え方も・・・ 分からんでもないが、
世間一般的には、こういった政党の合流は、選挙だけが目当ての野合と揶揄され、
いざ選挙になれば、政策の矛盾を突かれて集中砲火を浴び、
必ずしも優位じゃないが、なりふり構わずなんだろう。

そんなことまでやってバッジを手に入れた議員は、はたして健全な勢力と言えるのだろうか?
離合集散や党名の変更などを含め、変節を繰り返しながら、
政党を渡り歩いた議員たちの屁理屈を聞くたびに、とてもじゃないが健全な勢力とは思えない。

そんな野党議員たちが、今秋の臨時国会で目玉として取り組んだのが、
「総理主催の桜を見る会」の疑惑追及だった。
「税金を私的な政治活動に流用している。」と政権を責め立てた追及に、
異を唱えるつもりは毛頭ない。

招待客の数や選び方、さらには予算額などで、度を越えているという批判は、
全く持ってその通りだと思う。

しかし、本を質せば、昨日今日に始まった行事ではなく、半世紀を超えて行われていた歴史もあるし、
現在の野党が政権を握っていた時も、大小の差こそあれ、
当然のように行われていたし、マスコミ各社も挙って出席している。
節度という視点で捉えれば、確かに問題ないとは思えないが・・・ 今さら感が拭えない。

政府は来年度の「桜を見る会」を中止し、
招待客の選考を含めた「桜を見る会」の有り方を再検討すると答弁した。

この答弁を引き出したことで、個人的には「野党が一本取った。」と評価している。
相手が不適切だったと頭を下げた時点で「一本、勝負あり。」だから、二本目、三本目は必要ない。
半世紀を超える歴史的な行事であっても、改善すべきところが見つかれば改善すれば良い、
その程度のものじゃないのか?

マスコミの報道によると、国会を一日開くと3億円の費用がかかるらしい。
毎日、毎日、毎日、3億円もの大金を使って、
5,700万円(桜を見る会の2019年度予算)の追及を、いつまでやるつもりなのだろうか?

しかも、野党の幹部は恥ずかしげもなく、大挙してシュレッダーの見学ツアーを組んだり、
審議拒否までするのだから、パフォーマンスありきの役者勢力であって、
政権交代が可能な健全な野党勢力とは言い難い。

国会では、国会でしか出来ない、極めて高等な議論があるはずだ。
この国の、現在の立ち位置を確認しつつ、
今後の方向性について議論すべき案件は山積みなんじゃなかろうか?

マクロ経済や税制などの景気対策、外交、安全保障、インフラの保全強化を含めた災害対策、
自衛隊問題に環境問題など、挙げればきりがなく、こういった案件には憲法問題も複雑に絡んでくる。

このような案件に関する議論が、全くなかったわけではないと思いたいが、
マスコミ各社が殆んど取り上げないということは、
このような案件は、我が国が直ちに議論すべき重要案件ではなく、
桜を見る会よりもプライオリティが低かったということになってしまう。

極論すれば、災害(台風被害)対策より桜、安全保障(半島対応)より桜、
景気対策(税制変更)より桜ということだ。
これはちょっと・・・ 拙いというレベルを超えて、恥ずかしいことなんじゃなかろうか?

マスコミ各社の調査によれば、政府への支持率が下がっているらしい。
そりゃそうだろう・・・ 任命したばかりの大臣が、相次いで辞任したり、
問題発言をしたうえに、桜の追い打ちだから、
これで支持率が下がらなきゃ、国民がバカということになる。

しかし、一方で追及に頑張った野党への支持率も上がっていない。
いったい・・・ なぜなんだろう?
政治を知らない、そこら辺りの爺さんの素人意見で恐縮だが、
この支持率こそが、プライオリティを勘違いしている野党勢力へ下された順当な評価なんだと思う。

勘弁して欲しいが、野党第一党の幹部は、年明けの通常国会でも桜を追及すると言っていた。
政権交代可能な健全な勢力に、合流の声が掛かっていない共産党が言うならまだしも、 
政権交代を目指す野党第一党がこれだから・・・ 本当に困ったものである。
ここまで野党のレベルが下がると・・・ 正直言って、もうガッカリとしか言いようがない。

スキャンダルや、揚げ足取りは、ワイドショーに任せておけば良いんじゃなかろうか。
国会でなきゃ議論できないような高度な政策について、
互いの視点でバチバチと火花を散らせあい、国民が納得するような提案をしてほしいと願いたいが、
そういった思いは、もはや諦めにも近い、高望みなのだろうか。

もしそうだとしたら・・・
バカバカしさを通り越して、虚しさを覚えるのは私だけではあるまい。

コメント    この記事についてブログを書く
« いちょう並木 明治神宮外苑 | トップ | すき焼き昼膳 »

コメントを投稿

時のつれづれ・師走 」カテゴリの最新記事