時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

政権選択は与党に軍配

2021年11月01日 | 時のつれづれ・霜月 

多摩爺の「時のつれづれ(霜月の13)」
政権選択は与党に軍配

令和になって初めて行われた、政権選択の衆議院議員選挙は、
11月1日の未明、与党(自民党と公明党)が・・・ 絶対的な安定多数を確保して、
今後の政権運営を担うことになった。

それにしても・・・ 野党共闘とは、いったいなんだったんだろうか?
メディアに露出する政治評論家という政治評論家が、候補者の1本化を評価していたのに、
この結果を見て、いったいどう総括するのだろうか?
恥ずかしくて、今朝からメディアに出ることも憚られるのではなかろうか?

自由と民主主義の政党と、共産党を含めた政党のどちらを選ぶのかといった思想的な選択と、
コロナ対策は「ウィズコロナ」なのか、それとも「ゼロコロナ」なのかといった戦略選択について、
国民の審判は野党共闘に「ノー」を突きつけ・・・ 政権与党に「任せる」となった。

さらにバラマキ合戦などと揶揄され、メディアが焚きつけたが、思ったほど投票率は伸びず、
せめて60%は超えてほしかったが、前回より若干増えたものの約56%に止まってしまい、
出足が絶好調に見えた期日前投票は、約2058万(全有権者の約20%)で、
過去最高だった前回と比べても・・・ 約80万人も減少している。

東京2020を挟んで、この半年の間、新型コロナウイルス(デルタ株)の猛威に晒され続け、
その総てが政権批判に繋がり、総理が総裁選挙にでないという事態に陥ったものの、
ワクチン接種が猛スピードで進むと、9月に入って新規感染者が日に日に減少を続け、
緊急事態宣言が解除されても、その傾向は変わらず、生活は落ち着きを取り戻してきた。

そうなってくると・・・ 国民の関心は、コロナ対策から経済対策へと移り、
安定を訴える政権与党と、改革を訴える維新の会への期待が高まるのは必然だろう。
選挙協力をした立憲民主党と共産党は、候補者を1本に絞った小選挙区では善戦したが、
左に寄りすぎたことが禍して、比例代表での各々の議席数が思ったほど伸びず、
1本化の効果は認めつつも、国民は政権選択を託すには至らなかった。

一方で野党共闘に与しなかった維新の会が4倍増を果たし、
国民民主党が議席を増やしたことが、今回の総選挙の総てを物語っているのではなかろうか?
野党共闘とは・・・ 言いたい放題のパフォーマンスに過ぎなかったと総括して良いだろう。

さらに着目したいのは、与野党ともに重鎮といわれ、
組織の要職を歴任したご意見番的な候補が、小選挙区で落選したことは驚きであり、
一つの時代が終わったということを象徴する、ターニングポイントとなる総選挙でもあった。

自民党では、現職の幹事長や派閥のトップ、さらには閣僚経験者が完敗したが、
立憲民主党では、舌鋒鋭い女性幹部や、大労組をバックにした候補が競り負け、
岩手や茨城で圧倒的な差で勝ち続けていた、大御所が敗れるという波乱が起こっており、
油断大敵どころではなく・・・ 責任が問われるような激震となった。

⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻
10月19日(火)公示 ~ 10月31日(日)投開票

第49回 衆議院議員総選挙 [投票率 55.93%(前回比 +7.13ポイント)]

                                     ※ 無所属にはNHK党及び諸派を含む。
     自 民 公 明 与党計 立 憲 共 産 社 民 れいわ 小 計 維 新 国 民 野党計 無所属 合 計 
小選挙区 189   9 198  57   1   1   0  59  16   6  81  10 289
比例代表  72  23  95  39   9   0   3  51  25   5  81   0 176
計    261  32 293  96  10   1   3 110  41  11 162  10 465
 前回  276  29 305 110  12   1   1 124  11   8 143  13 461
 増減  ▲15  +3 ▲12 ▲14  ▲2   0   2 ▲14 +30  +3 +19  ▲3 + 4 ⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻⁻

以下に・・・ 各政党の当選者数等の状況を見て、素人で恐縮だが個人的な寸評を記してみた。

政権与党の自民党は、新総理のご祝儀によって、落ちていた支持率を持ち上げたものの、
モリカケ、サクラで招いた政治不信を挽回するに至らず、前回取り過ぎた分を調整されたが、
与党で安定過半数に大きく超える議席を確保して・・・ 地力の強さを見せつけた。

同じく連立を組む公明党は、苦戦が強いられた小選挙区を勝ち抜き、比例でも前回を上回り
コロナ禍であっても組織力の強さを発揮しておりり、大勝利といって良いだろう。

市民の会を間に挟み、選挙協力をした立憲民主党、共産党、社会民主党、れいわ新選組は
弁舌爽やかな立憲民主党の代表が、鬼気迫る訴えを展開したものの
前回から議席を減らす・・・ 想定外の結果となってしまった。

その主たる要因が、共産党を含んだ政権交代を訴求したことにあるのは間違いなく、
連合からの忠告とも取れる批判があったり、トヨタ労組などの民間労組の離反は大きく、
選挙戦の終盤に立憲共産党との批判を受け始めると・・・ 当初の勢いは萎んでしまった。

一方で政権交代を熱く語るわけではなかったが、
耳に残る落ち着いた口調で実績を語りかけ、改革を語りかけた
維新の会は4倍増
明らかにコロナ対策における大阪府知事、大阪市長の行動と実績が評価されたといって良いだろう。
口先だけではなく、批判のための批判をしなかった・・・ それが総てなんじゃなかろうか。

また、野党共闘の狭間で埋没が懸念された国民民主党も、わずかではあるが議席増を果たしており、
維新の会と同様に、熱弁はなかったものの、トップの落ち着きはらった口調は、
政策論争ではなく、観念論を上滑り気味に繰り返す野党共闘とは全くもって違っていた。

そこらあたりに、与党でもなく野党共闘でもない、
行き場を失った比例の一票が集まったのではなかろうか。
小さくても、いぶし銀のようにキラリと光る存在であり続けてほしいと思う。

この国の国民の多くは、「改革」という言葉には躊躇なく期待し賛同に傾くが、
「交代」という言葉には「ちょっと待てよ。ホントに良いのか?」なんて疑ってかかる。
ましてやそこに共産党が、閣外協力とは言え背後で糸を引くとなれば躊躇してしまい、
総論として、共産党を含んだ政権交代は、本意ではないということなるんだと思う。

過去に二度あった政権交代の時も、非共産党政権であったことに学んだのであれば、
今回、立憲民主党と共産党が手を組んだことは明らかに失敗であり、
一度貼られてしまったレッテルを拭うのには・・・ しばらくは時間を要するだろう。

人権侵害や、領土領海の拡張を目指す大陸や、
核開発一筋の半島を、長い時間をかけてみてきているこの国の国民は、
日本共産党と大陸や半島の共産党とは違うといっても、根底にある思想は変わらないとみており、
この国にこの思想は馴染まないことを、忘れてしまった結果がこれだと思う。

併せて観念論ばかりで、揚げ足取りと空疎な訴求しかしてこなかったことも然りで、
野党第一党という立ち位置に満足しすぎて、
事態を俯瞰し、客観的に未来に向けての視点と論点が曖昧だったことが総てだろう。

とはいえ、選挙は終わったが・・・ これで総てが解決したわけではない。
いまから仕事が始まるのである。
そのことを肝に銘じて、期待を裏切ることなく国民のため、天下国家のため、
胡坐をかくことなく、粉骨砕身で汗を掻いてほしいと願ってやまない。

コロナ対策、経済対策のみならず、環境問題や国防などなど・・・
課題は山積みだということを忘れないでほしい。


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2 コメント

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Unknown (力丸ママ)
2021-11-01 10:33:40
考えが違う野党共闘の数合わせ
日本人はそれほど馬鹿じゃなかったですね。
私は小選挙区で落ちた人が比例で復活というのが納得できません。
民意はNOだったのに・・・。

コロナや経済そして防衛色々あるのに投票数が少ないですね。
日本人はお気楽なのかしら?
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Unknown (多摩爺)
2021-11-01 13:53:11
力丸ママさん、こんにちは

比例復活には私もそう思います。
小選挙区比例代表並立制の選挙は、そもそも最初に政権交代があったさい、政権交代が可能な制度として
今回小選挙区で落選し、比例で復活した立憲民主党のご意見番の主導で、中選挙区制に替わって導入されたものです。

その主旨は1人しか当選しないと、死票(落選した人への投票)が大きくて、民意が反映ではないとして導入されたもので、
結果的にその方は、その制度で救われたんだから皮肉と言えば皮肉ですが、
総ての候補者が救われるわけではないし、だれが復活するかも分らないので、痛し痒しですが、よく練られた制度です。

また、重複立候補は政党が公認する候補者数の都合もありますが、公明党の小選挙区候補者は比例に重複立候補しておらず、
退路を断って選挙戦を戦っている政党もあります。

私は中選挙区制に戻すべきだと思いますが・・・ それはそれで議論が纏まるとも思えません。
100%納得する選挙制度は難しいので、不満があって納得できなくても、理解するしかないのだと思います。
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