多摩爺の「時のつれづれ(長月の42)」
小国に学んだ視点と矜持
ここ最近・・・ 「解体的」という言葉が、キーワードになっているようだ。
この国のアイドル事務所の創業者による不祥事に関する、当該事務所の解体的出直しもそうだが、
完全に機能不全に陥ってしまった国連安保理の・・・ 解体的な改革について、
そろそろ真面目に議論をしなきゃ、手遅れになりそうな気がしないでもなくなった。
アイドル事務所の不祥事と、国連安保理の機能不全を、同じ土俵で語るのもなんだが、
国連安保理で、ウクライナの大統領が熱弁を奮った半日前、ちょっと興味深い情報番組があった。
リトアニアの大使をスタジオに招いて、同国を取り巻く環境から提言をもらう企画だったと察するが、
想定内だったのか、想定外だったのか、そこんところは分からないが、
これぞ生放送の妙といって良いような・・・ 意表を突かれたやりとりがあり、
ホントにたまたまだったが、見ることができたのはラッキーだったと思う。
番組担当のMCが「日本周辺の安全環境は、どのように見えていますか?」と、大使に問うと、
大使は「日本は海に囲まれて、海が守るという考え方があり、非常に不思議に思ってます。」と応え、
この国の危機意識の低さを、穏やかな口調ながら、核心を突いた言葉で指摘するとともに、
「リトアニアの隣にある脅威は1国だけだが、日本の隣には3か国の脅威がある。」と強調していた。
さらにコメンテーターが「日本が防衛力を増強すると、他国も増強することから、
緊張関係が高まるといったマイナスを捉え、一番大事な安全保障は外交ではないか?」と問うと、
大使は・・・ 外交が一番大事だということには、同意を示しつつも、
「本当の戦争になると、爆弾が落ちるんです。」
「よその国の兵隊が来るという事態になったら、花で出迎えるというわけにはいかない。」
「そのため、心の準備も必要だし、実際の準備(防衛力)も必要だ。」と応じて、
「リトアニアは、その準備を30年間続けている。」と・・・ 現実にある脅威について語った。
そして、その半日後・・・ 国連で開催された安全保障理事会に出席した、ウクライナの大統領は
「もはや人類は、国家の主権を有する境界を守るために、国連に期待できない。」と喝破すると、
拒否権を持つ常任理事国の対立を背景に、機能不全に陥った安保理の改革を訴えている。
一方で、この国の総理も・・・ 「常任理事国でもあるロシアは、拒否権の行使により、
法の支配を蹂躙し、分断と対立を悪化させており、具体的な行動に移る機会は今だ。」と、
強い言葉でロシアを批判するとともに、安保理改革への着手を求めている。
思うに・・・ 両首脳の演説は内容が濃く、素晴らしかったと思うものの、
この日、国連で主役を担ったのは・・・ 安保理で議長を務めた、
アルバニアの首相を措いて、他にはいなかったと思うが・・・ 如何なものだろうか?
波乱含みで始まった安保理の冒頭で、議長がウクライナへの演説を許可したことに、
ロシアは順番が違うとしてイチャモンを付けたが、
「ロシアが戦争をやめれば、ウクライナのトップが発言することはない。」と、
間髪を入れることなく・・・ ロシアをチラッと見ただけで切り捨てている。
これは、アッパレもアッパレ、大アッパレではなかろうか?
議長が発したひと言は・・・ 胸が空くような爽快感とともに、
勝手な思い込みで恐縮だが、次の国連事務総長は、彼しかいないと確信した瞬間でもあった。
遅々として改革が進まない国連には・・・ 正直うんざりだったが、
かつてロシアや中国とも関係があった、アドリア海に臨むバルカン半島の小国が、
安保理常任理事国でもある大国ロシアの、横っ面を張り倒すかのような、気骨を見せられては、
まだまだ国連も、捨てたもんではないなと思ってしまった。
国連について、本来は国際平和と安全の維持に加え、さまざまな分野での国際協力について議論し、
その方向性を決め、行動を起こす場だと思っていたが、
その実は・・・ 拒否権を持つ5か国の安保理メンバーに変更がない限り、
加盟国から首脳を呼んで、会議を招集するだけの権限しか持ち合わせてないことが分かってしまった。
先に述べたリトアニアしかり、アルバニアしかり、
経済大国でなければ、軍事大国でもない・・・ 一介の小国である。
小さな国だからといって・・・ けっして、下に見ているわけではないが、
「山椒は小粒でピリリと辛い。」を地で行き、核心を外すことのない鋭い視点に加え、
世界市民としての矜持はアッパレであり・・・ 学ぶところが多いと思った。
負けられないな・・・ この国も、
総理は「人間の尊厳」について、時間を割いて詳しく述べていたが、
人間主義という着眼点は素晴らしいし、けっして間違ってないと思うものの、
ちょっと総花的で、突っ込みが浅かったような・・・ 気がしないでもなかった。
日米安保があって、G7という立場があって、なかなか踏み込めないのは分からんでもないが、
口を開けば、いくら出すといったATMのまね事を繰り返し、その場を凌ぐことだけは、
もうそろそろ、止めても良いと思うが・・・ 如何なものだろうか?
国連総会の報道を見て、面白かったと言ったら・・・ 大変に失礼だと思うものの、
安保理の理事国だけが持つ、拒否権という問答無用の権利は、
やっぱり、見直すタイミングにあると思った。
先の大戦での敗戦国が、経済大国と云われるまで頑張ってきたにも関わらず、
国連での発言力が、未だに弱いままであることを踏まえれば、
ATMと言われようと、そういった役割まで否定するものではないが、
安保理改革については、批判はあっても具体策がないのが現状であり、いまこそ出番ではなかろうか?
あえて提案するなら・・・ 一般人を巻き添えにした、紛争や侵略が起こり、
安保理で拒否権が使われた場合に限って、国連総会で議論し採決を行い、
2/3または3/4の賛成があれば、制裁を科すことぐらいの提案をすれば良かったと思っている。
これまでに、国連に多額の資金を供与してきたこの国のトップが、そういった提案を行い、
国連総会で賛否を問うぐらい踏み込めば、インパクトがあったと思うし、
そういった議論をすれば、侵略国を孤立化させることもできたのではなかろうか?
私なりに求めたい改革は・・・ 常任理事国が暴走することがないように、
常任理事国の発言と行動から想定される影響と対処策について、
拒否権を発動すれば即廃案になるのではなく、動議を発する仕組みや、監査する組織の設立を提案し、
議論して欲しかったと思うが・・・ 如何なものだろうか?
安保理改革については、批判はあっても具体策がないのが現状です。
個人的に思うのは、所謂一般人を巻き添えにした紛争や侵略に関して、拒否権が使われた場合は、
国連総会で議論し投票を行い、2/3または3/4の賛成があれば、
その行為に関して、制裁を科すことぐらいの提案をすべきだったと思っていますし、
そういった提案に対して、国連総会での賛否を問うぐらい踏み込めばインパクトがあったと思います。
そういった提案に議論があれば、侵略を行った国の孤立化にもなるのではないでしょうか?
私的には、常任理事国が暴走しないよう、監査する仕組みを提案すべきであり、議論して欲しかったと思っています。
言葉足らずだったかもしれないので、後ほどそういった思いを追記しておきます。