時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

いまどき連帯責任と云うが

2020年10月21日 | 時のつれづれ・神無月

多摩爺の「時のつれづれ(神無月の12)」
いまどき連帯責任と云うが(強豪大学野球部の寮で不祥事)

昭和という時代が終わって、既に32年の歳月が過ぎている。
平成を経て、
令和となったいま・・・ 連帯責任という責任の取り方は、
果たして正しいのだろうか?

先週末に、名門大学野球部で起こった不祥事(大麻使用)で、無期限活動停止が発表されたことに、
昨日放映された、お昼のワイドショーで、この問題が取り上げられ、
ある教育評論家と、番組MCを含む、
スポーツライターや、タレントコメンテーターとの間で大激論が交わされていた。

まず教育評論家が、今回の処分について「罰だと思う人?」と問いかけると、
スタジオにいた皆が手を挙げた。
すると、教育者は間髪入れず
「それが根本的に間違っている。罰ではない。教育です。大学は教育機関です。」と発し、
「こういう事態が起きた以上は、全員で(活動を)辞退して、皆でどういうことがあったか話し合い、
次のあるべき姿を考えていく。」その意味では(今回の処分は)当たり前のことだと続けた。

これに対し、MCは「今時、プロになるべくして入った(入学した)学生というより選手だから、
教育っていうのは通用するのだろうか?」と問いかけ、
コメンテーターは「何も知らずに練習していた生徒に、なんて説明をしたらいいのか?」と続けた。

さらに、元プロ野球選手でもあるスポーツライターは
「活動を自粛する責任の取り方が、本当に教育的なのか?」と云い、
「野球部なら野球させなきゃ学べないんだから、
 そのチャンスを奪ってしまうことの方が教育的には失うものが大きい。」と選手の今後を心配した。

しかし、教育評論家は「でも、教育の場だから・・・ 」と持論を譲ることなく、
自らの教員時代の体験として「生徒自らが、辞退します。」と云ってきたことがあったと明かし、
結論がでないまま、約40分の激論が続き、時間切れのまま終わっている。

そこには三つの視点があった。
管理(大学)サイドの視点、部員サイドの視点、そして・・・ 善意の第三者としての視点である。

激論を聞いていて思ったのは、誰も間違ったことは云ってないのに
落としどころが見つからないのは・・・ おそらく、同じ問題なのに見ている視点が違うのである。

事の発端は「部員が寮内で大麻を使用している。」との、外部からの通報で始まっており、
大学側は調査委員会を設置し、聞き取り調査を行った結果、
複数の部員から使用の申し出があったとし、警察の寮内への家宅捜査に至ったとしている。

これを紐解くと・・・ 全てがオープンになってるわけじゃないので、
あくまでも推測の域を出ないが、大麻は覚せい剤などの違法薬物とは違って、
所持は法律違反になるが、使用だけでは法律違反にはならない。

医療用の大麻など、素人には分かり辛い(分かる必要もないが)事情があって、
今夏に逮捕された大河ドラマに出演した俳優も、大麻を使用していたにも拘わらず、
逮捕の容疑は所持だった。

そう考えれば、警察の家宅捜査で、大麻が出てきたのか否かで、
事態の進展は、大きく変わってくるだろう。

とはいえ・・・ 大麻を使用したことを発表した以上、
なんらかの処分が必要なことは誰にでも分かる。

ここで問題になるのは、寮内だったということと、
一人の部員が起こした不祥事ではなく、複数の部員が関与していたということだろう。

普通に考えてみれば、寮内で上級生や同僚が、大麻を使用している状況を見て、
下級生や同僚は、大学にそのことを通報することができるだろうか?
これは・・・ 難しいんじゃなかろうか。
昨日まで、同じ釜の飯を食ってた仲間をチクるには、それなりの勇気と覚悟が必要になってくる。

仮に、勇気と覚悟を持った部員が通報したとしよう。
その後、その部員は、周囲の目を気にせず、プレーに集中することができるだろうか?
これもまた厳しく、精神的に追いつめられてしまうことは容易に察しがつく。

もしもの話だが・・・ 寮内から大麻が出てきた場合は、いったいどうなるんだろうか?
一大事で済む問題ではなく、廃部を検討するぐらいの大問題であって、
無期限活動停止どころではないだろう。

そう捉えれば、大学が行った処分に対し、
教育上の問題だからと持論を曲げなかった、教育評論家の意見は、
いまのご時世では、理不尽で納得し辛いかもしれないが、落としどころなのかもしれない。

専門家が40分もかけて、激論を交わしても結論がでなかったことを、簡単に結論付けてしまったが、
あくまでも、昭和の人間の私見と云うことで、読み飛ばしていただけたら・・・ ありがたい。

こういった問題を、教育という視点で捉え、深掘りするのであれば、違法薬物がからんでいるだけに、
理不尽な結論であったとしても、曖昧な処分はしない方が良いと思っている。

ただ一つ、気になることがあるとすれば、現時点での責任の取り方が、学生サイドに偏っていること、
本来は、管理サイド(大学)にも、大きな責任はあって然るべきなので、
現時点でそこに触れてないのは残念だが、
しばらくは、事の推移を見守る必要があるだろう。

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