多摩爺の「時のつれづれ(文月の40)」
緊急安全確保は解除されたが
思い出したくもない記憶の一つとして・・・ 鮮明に覚えているのは、
昭和58年7月20日から23日にかけて、山口県北部から島根県西部を襲った記録的な大雨である。
たぶんヘリコプターからだったと思うが、テレビ画面に映し出される映像は、
氾濫した川が、母の実家がある町を・・・ まるまる呑み込みんでいた。
あのときに経験した大雨から・・・ 40年の歳月を経た今年、
九州北部(福岡・佐賀・大分)から、山口・島根・広島にかけての「緊急安全確保」は解除されたが、
断続的に出されている「線状降水帯」の発生情報が、いつまた出るかと怯えながら、
眉間に皺が刻まれるぐらい、心痛する日々が続いている。
報道各局のニュースを追っかけて見ていると、
ときおり小康状態になり、陽差しも出たりしてるもんだから、状況把握が難しいが、
土砂災害、浸水災害、洪水災害などの危険度分布が、地図上に表示されている、
気象庁の「キキクル」システムを参考にしながら、タイムリーな情報を得るようにしている。
いまのところ、親・兄妹などの家族や、親族にはなにごとも起こってないようだが、
北九州市には妹夫婦や、姪の家族が住み、下関市には母が一人で暮らしているし、
山口県の山口市、周南市、長門市、萩市や、島根県の益田市、浜田市、松江市には、
高齢の叔父や伯母・叔母が健在で、歳が近い従兄弟や従姉妹も住んでいる。
いままで随分と、お世話になっていたにも拘わらず、こんなときだけで大変申し訳ないと思ったが、
やっぱり気になるので・・・ 安否確認のために電話させてもらったら、
猛暑が厳しい、東京の気温を気にかけてもらい「熱中症は大丈夫か?孫は元気にしちょるか?」と、
逆に心配してもらうざまだから・・・ 古希が近いというのに情けない。
「キキクル」を見れば、実家の周辺には土砂災害の赤い表示がされていて、
これだけ見れば「ドキッ!」とするし、直線では2キロぐらいのところに川があって、
なん年か前に氾濫したこともあり心配だが・・・ 幸いなことに実家は高台の団地にあって、
高低差から洪水の流れる方向が逆で、少し安心しているが、なにせ一人暮らし故に心配は尽きない。
だからといって・・・ 低い土地に住まわれてる方々が、どうでも良いわけではない。
如何ともし難いこと故に、つい本音が漏れてしまった。
なにを思って、こんなことを書いてしまったのか、自分勝手で恥ずかしくて堪らないが、
この件についてだけは、お見逃しいただければありがたい。
車で1時間程度の北九州市に住んでる妹からは
「雨が酷すぎて、怖くて母のところに行けない。」と泣きが入ったが、
近所の方に家を覗いてもらうよう連絡したので、くれぐれも無理をしないようにと伝えておいた。
天気予報では、水曜日には雨が上がると云ってるので・・・ あと二日の辛抱である。
「食べるものはあるか?」と婆さんに問うと、「大丈夫だ。」と言っていたが、
買いだめを嫌い、その日の食べ物は、その日に買いたい拘りを持ってる頑固者だけに、
あえて、もう一度問うと・・・ 「◯◯さん(近所の方)が昨日、雨が上がったときに、
車で買い物に連れて行ってくれた。」と言うから・・・ どうやら食事の心配はなさそうである。
こんなこともあるから、本音は私のところ(東京)か、妹のところ(北九州)に来てくれるか、
施設に入ってくれると良いんだが、昭和5年生まれの頑固者を説得するのは難しく、
2年前に父が他界し、前年に運転免許の返納をしたとき期待してが、
頑固者は梃子でも動かず、その後は帰郷の度にこの話をすると喧嘩になっている。
「一難去ってまた一難」とは云うものの、
我が家では、一難(大雨)が去る前から、大難(母の説得)が待ち受けているんだから、
私も妹も、なんと業が深いことだろうかと・・・ 反省することしきりである。
ここまでくれば、親不孝だと云われるかもしれないが・・・ 足でも挫いてくれれば、
私たちの話に、少しは耳を傾けてくれるのではと思ったりもしている。
いつまでも元気なわけじゃないので、なんとかせねばならないと思うが、
本人(母)の意思に任せるしかないことが・・・ 辛すぎる。
いくら愚痴を言っても、どうすることもできないが、
とりあえず「緊急事態確保」は解除されてるので、そこだけは少し安堵してるが、
今日を含めて、あと二日・・・ 運を天に任せて、
先に逝った父に「一人で寂しかろうが、母を呼ばないでくれ。」と、お願いすることにした。
お母様の事を思われる兄妹の優しさと、ご心配本当によく分かります。お母様の気丈さが有り難くも有り、甘えてくれたらという気持ち、しっかり者の親を持つ子供の共通の思いですね。
お母様のご無事を心からお祈りしています。絶対大丈夫ですよ!なおとも
心配していただき、ありがとうございました。
昨年も、今年も東京に来てくれたとき、ゆっくりしてくれと言ったのに、
買い物に付いてきたり、台所に立ったり、掃除や洗濯を手伝おうとします。
思うに、前世はきっとマグロだったのでは?と、女房と話してますが、
環境を変えて動きが止まると、ポックリ逝くんじゃないかとの心配もあり、
もう少しだけ様子を見てみようと思っています。
親の介護をする覚悟はあるって言ったら、そんなにあまくないよと云われるかもしれませんが、
女房の理解もあるので、いまは・・・ そんな気持ちです。
若い頃に、姑に苦労した母を長い間見てきましたから、どんなに喧嘩しても、私も妹もほっとけないんだと思います。
心配していただきありがとうございました。