時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

防衛予算の増額にひと言申す。

2022年12月16日 | 時のつれづれ・師走 

多摩爺の「時のつれづれ(師走の32)」
防衛予算の増額にひと言申す。

すったもんだあったなか・・・ 臨時国会を延長することなく、
目玉だった特定宗教法人の被害者を救済する法案を、なんとか成立させた政府だが、
ここにきて国民から支持は得られているものの、その財源が悩ましい防衛費の増額について、
総理の思惑と、閣内及び与党の思いが調整できず、蜂の巣を突いたかのような騒ぎになっている。

確かに言葉の行き違いはあったのは・・・ 事実であり、
大騒動のように見て取れるが、総理の腹の中はたぶん別のところにあって、
総理と、総理に近い極少数のメンバーが、
一世一代の大バクチに打って出たような気がしないでもない。

被害者救済法案の成立を受けて、政府と与党に向いていた目先を、一気に変えてしまおうと目論み、
メディアの矛先を、国会が閉会している・・・ この1ヶ月を使って、
答えがあるにも拘わらず、納得感が得られない防衛費の増額に振り向け、
来春の統一地方選挙を乗り切るため、特定宗教法人の話題を払拭しようとしているのではなかろうか?

総理は、防衛費を増額する原資に増税を打ち出し・・・ 検討せよと指示したが、
すぐに結論を求めているわけじゃないところが味噌で、
特定宗教法人に関する、与党への視線を逸らすことが目論みの一つだとしたら、
穿った見方で恐縮だが、すでに目論み通りになっていると思うが・・・ どうだろうか?

普通に考えれば、震災復興のような突発的な政策など、
特定の政策に関する、途轍もなく大きな予算を措置するとすれば、
予算配分の見直しだけで対応することは不可能であり、
増税で対処するか、国債を発行するしかないのは・・・ だれにでも分ることである。


増税も国債(借金)もなしで、財布のなかにお金を増やすことなんて出来るわけがないし、
直近では、社会保障費を安定的に確保するために、消費税を上げたのが、まさにそれだから、
防衛費の増額に必要性は認めるが、増税も国債(税の後払い)も認めないというのは、
どう考えても・・・ 論理が矛盾していると言わざる得ない。

そういった視点で捉えれば、増税もしくは、国債で賄うことは必然であって、
「二択のどちらかで仕方がないね。」というところに、議論が収斂されていくのは避けられず、
国民が昨今の世界情勢を鑑み、防衛費予算の増額を支持するとした時点で、
財源問題が二択(増税or国債)になることは・・・ 
決まっていたはずである。

仮に増税ではなく、国債を選択をしたとしても、
その償還は税金で行われることから、税の後払いであることを忘れてはならない。

ただ、一つだけ勘違いしないようにしておかねばならないのは、
法人税や、たばこ税に加えて、東日本大震災の復興税を流用したいとの案があったが、
そもそも復興に必要なお金は、すでに国債で賄われており、いま徴収されている復興税は、
国債の償還がメインであって、今も尚、復興事業に充当されているわけではないので、
そこを勘違いすると、議論がトンチンカンになるので、味噌糞一緒にして熱くならないことだ。

よって、政府や与党内で、いま起こっているゴタゴタは・・・ 視点を変えれば、
来年早々に始まるであろう国会で、野党と繰り広げられるであろう論戦の予行演習であり、
身内がそれをセットしてくれるんだから、これほどありがたい予習の場はないし、
野党からの質問よりも、核心に触れた議論となることは、間違いないんじゃなかろうか?

私は変わり者だから、こういった案件が出てくると、
真正面からだけで捉えないようにしていて、
裏から見たり、左右から見たり、上や下から見るようにしており、
それがその通りなのかどうかは別にして、自分なりの考えを持つように心がけている。

裏読みが過ぎるかもしれないが・・・ ひょっとしたら、総理はそこまで考えて、
あえて閣内や、与党を巻き込みつつ、まずは世の中の視線が切り替わることを最優先にして、
満を持して・・・ 一世一代の大バクチを仕掛けたのではなかろうか?

事実、被害者救済法案で、あれほど熱くなっていたのに、
法案が成立すると、わずか1週間で、その扱いは小さくなったどころか、
ここにきて、その話題を目にし、耳にする機会は・・・ あっという間に減ってきている。

そのように、事態はあっという間に一変しているにも拘わらず、
あれほど弁が立つ評論家や、コメンテーターが、だれも指摘しないのが、私は不思議で堪らない。

ここにきて・・・ やれ能力がない総理だとか、やれ判断が遅い総理だとか、
メディアも、ネットも、言いたい放題であり、叩き放題になっている。

ただ思うに・・・ 特に根拠があるわけではないが、
今回の総理の発言に、緻密に計算された筋書きがあったとしたらどうだろうか?

政府や、与党からしたら、臨時国会が閉会するを待って、直ちに換気を行い、
救済法案から防衛予算に目先を切り替え、世論の視線を切り替えることと、
自分たちの土俵で、来年度予算案を議論したかったと思うが・・・ どうだろう?

勿論そこには、焼け石に水かもしれないが、
国会議員の定数削減や、歳費の削減、文書交通費の削減なども含めて、
防衛費の増加対策に織り込んでほしいとの期待も・・・ 無理だろうが、ないわけでもない。

聞く耳を持つと云いながらも、いつも受身に回り、後手後手感が否めなかった総理が、
国民から支持を得ている防衛費の増大に・・・ あえて、国民が嫌がる増税をぶつけたうえで、
いつになく強気な姿勢に着目すれば、増税か国債かにいずれ収斂されることを見越して、
満を持して大バクチに打ってでたと考えても・・・ 別に不思議ではない。

また、ふざけるなと、お叱りを受けるかもしれないが、
正直なことを言えば・・・ 唐突感が否めず、
手順には違和感があるものの、
行き着くところがどこかと云えば、増税か国債かの二択以外に、ない袖は振れないはずだから
総理の言葉に拙いところがあったにせよ・・・ けっして、間違った提案をしているわけではない。

個人的には防衛国債で賄いつつ、景気の動向のタイミングを見て、増税で対処してほしいと思うが、
防衛予算を国債(借金)で賄うことは、税での対応が基本の他国ではあり得ないと、
名前を忘れたが、どこかのコメンテーターがそんなことを言っていた。

当然だろう・・・ 借金して弾薬や、戦闘機などの装備類を買えば、
歯止めが効かなくなると考えるのは・・・ ド正論であり、
いま以上に国防を強化するなら、自らの意思(増税)で対応するのが筋というものだろう。

経済の発展などが見込める投資であって、回収(返済)が可能な政策なら、国債もありだが、
一時的な凌ぎならいざ知らず、弾薬やミサイルなどの、消耗品に国債を使うのは、
どう考えても・・・ 愚の骨頂ではなかろうか?

数十年をかけて、平和ボケにドップリ浸かり、
軍事や防衛に関わる研究などから、思いっきり手を抜いてきたツケが、
口は出すが、金は出さない的な、我が儘な考えを育んで、
それを当たり前にしてしまい、普通の思考になってしまったのではなかろうか?

2年前のいまごろ、日本学術会議のメンバー選定や、組織のあり方、有るべき姿について、
白熱した議論があったことを・・・ 忘れてないだろうか?
少子化対策しかり、高齢化対策しかり、
平和ボケで過ごした数十年のツケが、いま一気に噴き出したと云っても過言ではないだろう。

能書きはこれぐらいにするが、
政治を俯瞰しながら思考を巡らせると、頭の体操になるだけでなく、
意外なところに、新たな気づきや発見があったりするので・・・ ボケ防止にはちょうど良い。

早い話が、他人が云うことは参考程度であって、
単純に思い込まないことが・・・ 肝要ということである。

防衛費は、とっても大事な問題である。
だからこそ、お金のことも、その内容についても、熱い議論に期待したい。

寄って集(たか)って、総理を小バカにするような風潮が、いま世の中に蔓延しているが、
なんだかんだ言っても、一国の総理はバカでは務まらない。
そう思いたいだが・・・ さて、これからどんな進展があるのだろうか?

たぶん、もう少し時間をかければ、
政府も与党も・・・ 落ち着くところに落ち着き、
さらに、もう少し時間をかければ、
「いつの間にか、納得していた。」ってことになるのだろう。

そして、次の総選挙のときは・・・ 
もう、元に戻れなくなってるはずだから、
政権選択の論点にすらならないのではなかろうか?

そりゃ、そうである。
いまだに「話せば分る。」を繰り返す・・・ 亡国の政党や、知識人がいるなか、
話し合うことは、とっても大事なことであり、否定するものではないが、
話しても分らない相手に隙を見せたり、対策を怠ることは1ミリたりともあってはならない。

そういった視点で捉えれば、
政権交代があったとしても、国防を弱体化させるなんてことは、あってはならないはずだから、
国防を強化するということは・・・ そういうことなんだと思う。

けっして、投げやりになって、もの申しているわけではないし、
防衛予算を上積みすることに、諸手を挙げて賛成しているわけでもないが、
なにが足りなくて、なにがどうして必要なのか・・・ 中身の議論を求める声も多い。

そういった声は・・・ 全く持って正論ではあるが、一方でそこに拘りすぎて情報を公開すると、
丸裸になって、他国に手の内を見せ、弱点をさらけ出すことにもなり兼ねず、
このような問への解は、どこで線を引くのかが論点になるものの、
曖昧な解に、わだかまりが残ることも・・・ 甘受せねばならないだろう。

ロシアのウクライナ侵略によって・・・ 専守防衛がなんたるかを知ったことは、
もの凄く衝撃的であり
、毎日のように放映されるウクライナの惨状を見て、
目覚めた人々の頭の中は、しばらく変わることはないだろう。

もちろん、戦争は悲惨であり、絶対にやっちゃいけないが、
この国に蔓延している平和ボケという病が、次なる思考への一歩を踏み出させないように、
防衛費の増大は賛成だが、増税は反対といった、論理矛盾したブレーキをかけてないだろうか?

予算の裏付けを含む、防衛費の増額は・・・ 嫌とか、どうとかいう問題ではなく、
嫌々であっても、納得せざる得ない案件だということを理解しながら、自らに言い聞かせて、
頭の中を切り替える必要があるのではなかろうか?

追伸
ここまで述べたことは、あくまでも個人的な思いだが、
実は頭の中が整理できてないまま、気がつけばオチがないまま、たらたらと長文を書き綴っていた。
乱文乱筆があったとすれば、お詫びすることはやぶさかではないが、
本件について議論するつもりはないので・・・ 誠に勝手ながら、ご容赦願いたい。


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