勝手気まま(適当)な文字(text)情報の気まぐれ(適当)配信(texto;適す当)も5号です!。この中に書いてあることが一つでも皆さんのプラスに成ればうれしい限りです。でも、現状は皆さんに読んでいただくボランティアをお願いしている次第、少しずつでも成長するようにがんばります!。
index
□コミミ:大王イカが少しずつでも生態が明かされていく様は科学技術がとまらず発展している証。
□今月のお薦め_08.2005:戦闘妖精雪風<改>(早川書房)
□読み物:星が降る街_曇った夜空でディックはアリスに流れ星を見せるため頑張ります。だから、素直な気持ちを取り戻します。
過去のtexto
004
003
002
001
□米LiftPort Groupが独自に開発を進めるている地球と宇宙空間を結ぶエレベーター、LiftPort Space Elevatorの上空で初の昇降テストに成功したとの発表されてました。軌道エレベータとか宇宙エレベータとか称されている類ですが個人的にはテザー衛星とならび注目分野です。
画像は
ここをクッリク!
今秋中にも、次なるテストを実施して、さらに開発を進めていく方針が明らかにされている。_29.09.2005
□大王イカの映像(30秒で1コマ)がニュースで流れていた。引っかかった映像だった。悠々泳いでいる姿もみてみたい!_29.09.2005
☆アサヒコムに画像が貼り付けられてました。
ここをクッリク!←リンクできないようです。
□スカイカーM400の写真が出ていた。2000年ごろに出た写真のスカイカーもM400だったが変わったところとかあるのだろうか?私は有機系で昆虫を参考に飛ぶ仕組を考えたい。_27.09.2005
□日立製作所が大気中で数十ボルトの低電圧で動かせる、人間の指のような滑らかな動きをする有機素材による伸縮素材についての報告。最近、人工筋肉ネタは多い!特許公開2005-169xxxもそこ狙い。でも、他にも狙いはある。_22.09.2005
☆配線などメカニカル的な複雑さは電気応答も光応答も同程度にできるでしょう。変形のパターンが光応答のが多くできる、自由自在な変形も謳えると私はふんでいる。
□中村修二さんらが新しい半導体膜を開発により青色発光ダイオード(LED)の消費電力を10分の1にできる材料の開発に成功したそうだ。開発者、発明者はとまらないものだと素直に感心させられます。_21.09.2005
□従来より高い温度で電気抵抗がなくなる超伝導材料、二ホウ化マグネシウムを使い、MRIに必要な1.5テスラの強い磁場を長時間安定して発生させることができる電磁石を作ることに成功したそうだ。_15.09.2005
□東大の久恒辰博・助教授(脳科学)と大学院生の戸塚祐介さんが「シータ波」が脳の中の海馬に伝わると、やがて脳神経細胞に育つ前駆細胞が刺激され、最終的に脳細胞が増えることを報告。久恒さんは「人も学習しているときに海馬からシータ波が出ているとの研究がある。勉強すると頭がよくなる仕組みがわかった」と話す。勉強しなくても頭がよくなる方法に応用してくれ。_15.09.2005
□在日のコスタリカ人の方々は新聞の見出しに吃驚させられている。あのリップサービスというか話せば失言のコスタリカ友好の団体に所属していた首相経験者の方が命名したそうな。コスタリカでは連続当選禁止を目的とした方式がとられているので志の差を感じる。トルコ風呂問題を思い出す。ちなみにどちらも岐阜があついという妙な共通項が、、、_14.08.2005
↑08.2005
☆岐阜1区で投票しました。
戦闘妖精・雪風<改> 神林長平
お話の流れ
地球と惑星フェアリイ近くの宇宙をつなぐ超空間通路が突如、南極大陸に現れ、未知の異星体・ジャムの地球侵攻がはじまった。人類一丸となって地球圏からジャムを押しやり、フェアリイに実戦組織FAFを派遣し、超空間通路の(地球からみて)向こうにジャムを止めていた。FAFの最新技術・最高の戦闘能力は戦いに一切関与しないで戦闘の様子を記録し続ける、特殊戦、通称ブーメラン部隊と呼ばれる集団である。
このお話はブーメラン部隊の雪風という愛称の戦闘機とそのパイロット深井を中心に描かれる。雪風と深井はその飛行能力と情報を駆使し、必ず帰還するという任務を遂行していく。やがて、雪風の判断は情報の蓄積により深井の、FAFの、戦術コンピュータの予測を越えるようになる。それはジャムとの戦いに人間は不要といわんばかりに。
感想
ジャムがまったくもって正体不明で人間ではなく、戦闘機を敵対視し、興味を持っている風に描かれているのが何度読んでも面白い設定です。だからこそ、
妖精を見るには
妖精の目がいる
という言葉は雪風のシリーズにはじめて触れて以来、私にとって重みがあリ続けている。
<改>は本作品が1984年に出された作品の改訂版を表します。旧版(改訂前)の続編が連載を経て、出版され、さらに映像化され、シリーズ通じての整合性を考え2002年に世に出ました。続編、映像(1作目)は直ぐチェックしたが旧版を読んでいた私は改訂版である<改>をわざわざ読むことはなかった。しかし、続編、映像版に若干の違和感を感じていたので、程なく<改>をかって読むことにした。しかし、最初の章を読んでも、その違和感は解消されなかった。雪風という作品への思い入れが強かった所為か、最初の章で読むことを止めてしまった。ただ、ずっと本棚の最前列に置いておいた。ということで、今回、改めて<改>を手にとってみた。やはり、最初と最後には違和感を感じる。ただし、真ん中は著者が語っているようにほとんど手を入れられていないし、違和感を感じるラストも基本的に変わっていないので是非とも皆さんに読んでいただきたい。
私が感じた違和感は実は私の変化かもしれない。それを確かめるべく、旧版と続編を読みなおしたいと思っています。
雪風の映像はつい最近、最後の作品が世に出たみたいです。雪風というテキストを検索してこのブログに迷い込んだ方もいて、雪風の人気が確認できて嬉しかったです。
読み物
星が降る街
今日はアリスの14歳の誕生日。みんなから離れて一人夜空をみていると携帯端末が幼なじみディックからの受信要求を知らせた。ディックの父親は地球周辺の低高度軌道上に彷徨うスペースデブリを大気圏突入へ誘導・処理する処理衛星の研究開発責任者であったが、試験中の事故で亡くなった。続けて母親がおかしくなり、ディックは施設に預けられたが今年の1学期から5年ぶりに生まれた街に戻り、アリスが居るクラスに編入していた。編入してきた朝、アリスは一目でディックとわかり喜び、そして、すぐに落ち込んだ。ディックが施設に移ってからしばらく、二人はメッセージの遣り取りしていたが、アリスの方から返事を出さなくなったこと思い出したからだ。
それでもアリスはなかなか教室に馴染まないディックに対し何とかしたい衝動に駆られていた。二人が幼なじみであることはやがて皆の知るところとなり、アリスの世話焼きは違和感なく扱われた。ディックも当初ほどアリスのお節介を煙たがらなくなったが教室のみんな同様、アリスにも距離を置いていた。
相当規模の流星雨が観察されると予測されていた週末の夜、アリスはクラスメートの大多数と一緒に街外れの小高い丘に来ていた。街の有力者の子供・フィリップが父に諸経費諸々負担させる流星群の観察を教室の担任にもちかけ、加えて人気者アリスの誕生日を祝う提案をした。フィリップも決して悪い奴ではないが子供なので時々、親の権力任せに我が儘をいう。しかし、アリスは素直で素敵な女の子だったのでその人気を妬み反感を持つ者もいなかったし、アリスも流星観察が第一目的でついでに自分の誕生日を祝う、フィリップの申し出を断ることはできなかった。結局、八割以上の生徒が流星雨の観察会に参加した。
残念ながら当日は曇りで流星は観れない。しかし、みんな週末を楽しみたいだけ。程なく流星を諦め、アリスの誕生日を祝って、自由時間に突入し、各々楽しんでいた。アリスはフィリップやみんなから離れ、一人曇った夜空をみていた。流星観察に欠席し相変わらずみんなに馴染もうとしないディックを想って。あの処理衛星が流星雨の方向にあることをアリスは知らない。すると、携帯端末がディックからの受信要求を告げる。躊躇なくボイスオンを選択する。
「アリス?、俺ディック」
「どうしたの、ディック」
「どう、流れ星はみえる?」
「ううン、あんまし、というより曇っていて、普段の星も見えないわ」
アリスが不満をいっても不思議と嫌味にきこえない。ディックはもう一つの旧式端末携帯の表示をみる。あの日以来、毎晩同じ時刻に”お誕生日おめでとう”のメッセージが送信されてくる。この辛いメッセージが今日は後押しになる。
「誕生日おめでとう、アリス」
「ありがとう、ディック」
「みんなから誕生日プレゼント貰ったか?」
「ディックからの言葉が一番よ」
照れたディックは夜空でビリヤードすることを思いつく。
「バーカ、俺もちゃんとプレゼント、用意してあるよ!」
いつもの如くアリスにぶっきらぼうないい回し。しかし、優しさが溢れていた。それはアリスにも感じられ、ディックも感じ取られたことに照れはなかった。素直になる方法を思い出した。ディックは西の空を見やる。全体的に曇りだが、部分的に雲は途切れている。
「10分後に西の空をみろよ」
通話が終わった直後からアリスは西の空を眺める。約10分後、星が一つ流れる。そして、また一つ。単なるお泊まり会と化していたが、突如現れた流れ星に、みんな、空を見始めた。はじめから観ていたアリスは流れ星を数えていた。14個。アリスはディックにコールする。
「ありがとう、ディック、あの流れ星達はあなたの仕業ね」
「予測しただけさ」
「14個、凄くきれいだった」
「先に言って置くけど、来年はないからなぁ」
「ありがとう」アリスは再びいう。
「ああ」ディックは僅かに応え、
「また月曜日に」と続けた。
「うん、月曜日ね。」
しかし、月曜日に二人が学校で会うことはなかった。
ここから風雲急を告げる。スペースデブリ処理機構は大慌て。事故以来、停止していた試験処理衛星が突然作動し、同衛星を含めた計14個のスペースデブリが大気圏突入し、燃
え尽きる異常事態が発生したからだ。初期調査で誰かが停止していた処理衛星に命令を出したことが判明する。テロの疑いもある。程なく中学生の仕業であることがわかった。処理衛星が作動する直前・後に少年と少女が意味深なメッセージの遣り取りをしていた。二人と家族の経歴が洗われる。少年の父親が5年前の事故で命を落とした処理衛星開発者であることがわかる。事故が起きた日は少年の誕生日だった。少女については特別な情報は得られなかった。処理衛星作動後の会話の記録。
「あの流れ星達はあなたの仕業ね」
「予測しただけさ」
「14個、凄くきれいだった」
深読みもできる暗号めいた内容であるが常識的には子供の会話である。裏もとれ、子供達の無実は証明された。とはいえ、一つ間違えば大惨事であった。少女はお咎め無しになったが少年は次の週から学校に来なかった。更生と彼の才能を伸ばすことも考え、施設に戻されたのだ。
しかし、少年が施設に入った後、毎週のようにメッセージが送られてきた。幼き日のように途切れることはなかった。だから、少年が優秀な技術者として施設を離れるとき、素直に社会に戻った、かつて少女だった女性のもとへ。
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□コミミ:大王イカが少しずつでも生態が明かされていく様は科学技術がとまらず発展している証。
□今月のお薦め_08.2005:戦闘妖精雪風<改>(早川書房)
□読み物:星が降る街_曇った夜空でディックはアリスに流れ星を見せるため頑張ります。だから、素直な気持ちを取り戻します。
過去のtexto
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002
001
□米LiftPort Groupが独自に開発を進めるている地球と宇宙空間を結ぶエレベーター、LiftPort Space Elevatorの上空で初の昇降テストに成功したとの発表されてました。軌道エレベータとか宇宙エレベータとか称されている類ですが個人的にはテザー衛星とならび注目分野です。
画像は
ここをクッリク!
今秋中にも、次なるテストを実施して、さらに開発を進めていく方針が明らかにされている。_29.09.2005
□大王イカの映像(30秒で1コマ)がニュースで流れていた。引っかかった映像だった。悠々泳いでいる姿もみてみたい!_29.09.2005
☆アサヒコムに画像が貼り付けられてました。
ここをクッリク!←リンクできないようです。
□スカイカーM400の写真が出ていた。2000年ごろに出た写真のスカイカーもM400だったが変わったところとかあるのだろうか?私は有機系で昆虫を参考に飛ぶ仕組を考えたい。_27.09.2005
□日立製作所が大気中で数十ボルトの低電圧で動かせる、人間の指のような滑らかな動きをする有機素材による伸縮素材についての報告。最近、人工筋肉ネタは多い!特許公開2005-169xxxもそこ狙い。でも、他にも狙いはある。_22.09.2005
☆配線などメカニカル的な複雑さは電気応答も光応答も同程度にできるでしょう。変形のパターンが光応答のが多くできる、自由自在な変形も謳えると私はふんでいる。
□中村修二さんらが新しい半導体膜を開発により青色発光ダイオード(LED)の消費電力を10分の1にできる材料の開発に成功したそうだ。開発者、発明者はとまらないものだと素直に感心させられます。_21.09.2005
□従来より高い温度で電気抵抗がなくなる超伝導材料、二ホウ化マグネシウムを使い、MRIに必要な1.5テスラの強い磁場を長時間安定して発生させることができる電磁石を作ることに成功したそうだ。_15.09.2005
□東大の久恒辰博・助教授(脳科学)と大学院生の戸塚祐介さんが「シータ波」が脳の中の海馬に伝わると、やがて脳神経細胞に育つ前駆細胞が刺激され、最終的に脳細胞が増えることを報告。久恒さんは「人も学習しているときに海馬からシータ波が出ているとの研究がある。勉強すると頭がよくなる仕組みがわかった」と話す。勉強しなくても頭がよくなる方法に応用してくれ。_15.09.2005
□在日のコスタリカ人の方々は新聞の見出しに吃驚させられている。あのリップサービスというか話せば失言のコスタリカ友好の団体に所属していた首相経験者の方が命名したそうな。コスタリカでは連続当選禁止を目的とした方式がとられているので志の差を感じる。トルコ風呂問題を思い出す。ちなみにどちらも岐阜があついという妙な共通項が、、、_14.08.2005
↑08.2005
☆岐阜1区で投票しました。
戦闘妖精・雪風<改> 神林長平
お話の流れ
地球と惑星フェアリイ近くの宇宙をつなぐ超空間通路が突如、南極大陸に現れ、未知の異星体・ジャムの地球侵攻がはじまった。人類一丸となって地球圏からジャムを押しやり、フェアリイに実戦組織FAFを派遣し、超空間通路の(地球からみて)向こうにジャムを止めていた。FAFの最新技術・最高の戦闘能力は戦いに一切関与しないで戦闘の様子を記録し続ける、特殊戦、通称ブーメラン部隊と呼ばれる集団である。
このお話はブーメラン部隊の雪風という愛称の戦闘機とそのパイロット深井を中心に描かれる。雪風と深井はその飛行能力と情報を駆使し、必ず帰還するという任務を遂行していく。やがて、雪風の判断は情報の蓄積により深井の、FAFの、戦術コンピュータの予測を越えるようになる。それはジャムとの戦いに人間は不要といわんばかりに。
感想
ジャムがまったくもって正体不明で人間ではなく、戦闘機を敵対視し、興味を持っている風に描かれているのが何度読んでも面白い設定です。だからこそ、
妖精を見るには
妖精の目がいる
という言葉は雪風のシリーズにはじめて触れて以来、私にとって重みがあリ続けている。
<改>は本作品が1984年に出された作品の改訂版を表します。旧版(改訂前)の続編が連載を経て、出版され、さらに映像化され、シリーズ通じての整合性を考え2002年に世に出ました。続編、映像(1作目)は直ぐチェックしたが旧版を読んでいた私は改訂版である<改>をわざわざ読むことはなかった。しかし、続編、映像版に若干の違和感を感じていたので、程なく<改>をかって読むことにした。しかし、最初の章を読んでも、その違和感は解消されなかった。雪風という作品への思い入れが強かった所為か、最初の章で読むことを止めてしまった。ただ、ずっと本棚の最前列に置いておいた。ということで、今回、改めて<改>を手にとってみた。やはり、最初と最後には違和感を感じる。ただし、真ん中は著者が語っているようにほとんど手を入れられていないし、違和感を感じるラストも基本的に変わっていないので是非とも皆さんに読んでいただきたい。
私が感じた違和感は実は私の変化かもしれない。それを確かめるべく、旧版と続編を読みなおしたいと思っています。
雪風の映像はつい最近、最後の作品が世に出たみたいです。雪風というテキストを検索してこのブログに迷い込んだ方もいて、雪風の人気が確認できて嬉しかったです。
読み物
星が降る街
今日はアリスの14歳の誕生日。みんなから離れて一人夜空をみていると携帯端末が幼なじみディックからの受信要求を知らせた。ディックの父親は地球周辺の低高度軌道上に彷徨うスペースデブリを大気圏突入へ誘導・処理する処理衛星の研究開発責任者であったが、試験中の事故で亡くなった。続けて母親がおかしくなり、ディックは施設に預けられたが今年の1学期から5年ぶりに生まれた街に戻り、アリスが居るクラスに編入していた。編入してきた朝、アリスは一目でディックとわかり喜び、そして、すぐに落ち込んだ。ディックが施設に移ってからしばらく、二人はメッセージの遣り取りしていたが、アリスの方から返事を出さなくなったこと思い出したからだ。
それでもアリスはなかなか教室に馴染まないディックに対し何とかしたい衝動に駆られていた。二人が幼なじみであることはやがて皆の知るところとなり、アリスの世話焼きは違和感なく扱われた。ディックも当初ほどアリスのお節介を煙たがらなくなったが教室のみんな同様、アリスにも距離を置いていた。
相当規模の流星雨が観察されると予測されていた週末の夜、アリスはクラスメートの大多数と一緒に街外れの小高い丘に来ていた。街の有力者の子供・フィリップが父に諸経費諸々負担させる流星群の観察を教室の担任にもちかけ、加えて人気者アリスの誕生日を祝う提案をした。フィリップも決して悪い奴ではないが子供なので時々、親の権力任せに我が儘をいう。しかし、アリスは素直で素敵な女の子だったのでその人気を妬み反感を持つ者もいなかったし、アリスも流星観察が第一目的でついでに自分の誕生日を祝う、フィリップの申し出を断ることはできなかった。結局、八割以上の生徒が流星雨の観察会に参加した。
残念ながら当日は曇りで流星は観れない。しかし、みんな週末を楽しみたいだけ。程なく流星を諦め、アリスの誕生日を祝って、自由時間に突入し、各々楽しんでいた。アリスはフィリップやみんなから離れ、一人曇った夜空をみていた。流星観察に欠席し相変わらずみんなに馴染もうとしないディックを想って。あの処理衛星が流星雨の方向にあることをアリスは知らない。すると、携帯端末がディックからの受信要求を告げる。躊躇なくボイスオンを選択する。
「アリス?、俺ディック」
「どうしたの、ディック」
「どう、流れ星はみえる?」
「ううン、あんまし、というより曇っていて、普段の星も見えないわ」
アリスが不満をいっても不思議と嫌味にきこえない。ディックはもう一つの旧式端末携帯の表示をみる。あの日以来、毎晩同じ時刻に”お誕生日おめでとう”のメッセージが送信されてくる。この辛いメッセージが今日は後押しになる。
「誕生日おめでとう、アリス」
「ありがとう、ディック」
「みんなから誕生日プレゼント貰ったか?」
「ディックからの言葉が一番よ」
照れたディックは夜空でビリヤードすることを思いつく。
「バーカ、俺もちゃんとプレゼント、用意してあるよ!」
いつもの如くアリスにぶっきらぼうないい回し。しかし、優しさが溢れていた。それはアリスにも感じられ、ディックも感じ取られたことに照れはなかった。素直になる方法を思い出した。ディックは西の空を見やる。全体的に曇りだが、部分的に雲は途切れている。
「10分後に西の空をみろよ」
通話が終わった直後からアリスは西の空を眺める。約10分後、星が一つ流れる。そして、また一つ。単なるお泊まり会と化していたが、突如現れた流れ星に、みんな、空を見始めた。はじめから観ていたアリスは流れ星を数えていた。14個。アリスはディックにコールする。
「ありがとう、ディック、あの流れ星達はあなたの仕業ね」
「予測しただけさ」
「14個、凄くきれいだった」
「先に言って置くけど、来年はないからなぁ」
「ありがとう」アリスは再びいう。
「ああ」ディックは僅かに応え、
「また月曜日に」と続けた。
「うん、月曜日ね。」
しかし、月曜日に二人が学校で会うことはなかった。
ここから風雲急を告げる。スペースデブリ処理機構は大慌て。事故以来、停止していた試験処理衛星が突然作動し、同衛星を含めた計14個のスペースデブリが大気圏突入し、燃
え尽きる異常事態が発生したからだ。初期調査で誰かが停止していた処理衛星に命令を出したことが判明する。テロの疑いもある。程なく中学生の仕業であることがわかった。処理衛星が作動する直前・後に少年と少女が意味深なメッセージの遣り取りをしていた。二人と家族の経歴が洗われる。少年の父親が5年前の事故で命を落とした処理衛星開発者であることがわかる。事故が起きた日は少年の誕生日だった。少女については特別な情報は得られなかった。処理衛星作動後の会話の記録。
「あの流れ星達はあなたの仕業ね」
「予測しただけさ」
「14個、凄くきれいだった」
深読みもできる暗号めいた内容であるが常識的には子供の会話である。裏もとれ、子供達の無実は証明された。とはいえ、一つ間違えば大惨事であった。少女はお咎め無しになったが少年は次の週から学校に来なかった。更生と彼の才能を伸ばすことも考え、施設に戻されたのだ。
しかし、少年が施設に入った後、毎週のようにメッセージが送られてきた。幼き日のように途切れることはなかった。だから、少年が優秀な技術者として施設を離れるとき、素直に社会に戻った、かつて少女だった女性のもとへ。
懸念やデブリの追跡はなされていますが
ここで申すまでもなく、難しい問題です。
NASA Orbital Debris Program Office
http://www.orbitaldebris.jsc.nasa.gov/index.html