セイナルボンジン

時代を逆行する大きなお友達ブログ。宇宙戦艦ヤマトや東映特撮ほか。

ひおヤマトを語る

2011-04-28 23:01:04 | ヤマト
実写映画『SPACE BATTLE SHIP ヤマト』は、TVシリーズをベースに作られていますが、ひおあきらによる漫画版や、豊田有恒原案による小説版の要素も入っていました。

特に「横ロールで対処しろ!」に代表される、豪快な島の操舵術あたりに、ひおあきら版熱血ヤマトの雰囲気を感じたので、以前作った「ひおヤマト」のレビューを再録してみます。

***************************

紙媒体のヤマト作品と言えば松本零士先生の漫画が筆頭に来ますが、他にもいくつかバリエーションがあります。
最も有名なのが、ひおあきら先生によるコミカライズ(作・藤川桂介)。
近年(2005年)メディアファクトリーから再販されたので、ご覧になった方も多いはず。

ひお先生は「3」以外の全ての作品を手がけていらっしゃいますが、その中でもっともオリジナリティ溢れ、かつ面白いのが 「パート 1」です。
放送段階ではボツになった様々なエピソード、TV並みに被弾する激しい戦闘シーン、そして独自解釈によるキャラ ク ター描写・・・

その魅力は既にあちこちで語られているのですが、 せっかくなので、イラストを交え、ビジュアル的な面から語ってみたいと思います。

●宇宙戦艦ヤマト。

ぽっちゃり系ですが何か?
ローアングルからの迫力を出そうとした結果、勢い余ってえらいことになってます。



●本編主人公・沖田十三。


ひお版といえば、このテンション高めな熱血沖田艦長。
ピンチの時は両手に握りこぶしを固め、全身で悔しさを表現します。
最期も「地球か・・・何もかも皆、懐かしい」などと感傷に浸る隙などありません。
大きく目を見開き、乗組員の前で「残念なことに私はもうだめだ。後の指揮は古代進に一任する!!」と高らかに宣言し、「ガクッ!」と力尽きます。
非常に男らしいです。

古代進?ああ、本作では脇です、脇。




●次はヒロイン・森雪さん。

黒いです。
瞳や巻き毛風の髪の毛も少女マンガチックで、松本版よりもだいぶカワイイ系統です。
このビジュアルインパクトの前には、古代君を「古代」と呼び捨てにするなどは些細なことですね。
(でも何故か島は「くん」付け)

ちなみに島は、ちょっと線細めですがアニメとほぼデザインは一緒。
でも、雪と古代の仲に嫉妬してプリプリしたり、色っぽいガミラス工作員に惑わされて大変な目にあったりと、やや損な役回りです。島、ガンバ。

●キャプテン・守・ハーロック
このひお版は、本放送ではボツになった、企画段階のアイデアも豊富に取り入れられています。
当然、古代守がキャプテンハーロックとなって登場、という展開もあります。
TV版では結局、諸般の都合で実現しなかったのですが・・・


弟がピンチに陥ると幾度となく現れ、救ってくれる本編最強キャラ。
将軍やデスラー総統にトドメを刺したのも全部このヒト。
ほとんどフェニックス一輝(@聖闘士星矢)状態です。


●ロメル将軍
さて、次は敵側。
ヤマト最大のライバルといえば「ドメル将軍」ですが、ひお版では一味違います。


ロメル将軍です!
ドメルと、元ねたのドイツ軍人・ロンメルの間を取った感じですかね。
デスラー暗殺計画を阻止するなど、バトル以外でも大活躍。
某赤い彗星よろしく、王道の美形ライバルキャラです。


●デスラー総統
最後に、ラスボスであるデスラー総統をご紹介して終わりたいと思います。
ビジュアル的には、もっともTVに近いキャラクターと言えるでしょう。


もう少し落ち着きがあればね。



なんか失礼なツッコミに終始してしまいましたが、私はこの「ひお版ヤマト」大好きです。エンターテイメントとしては、松本御大のヤマトよりもサービス精神旺盛で起伏に富み、楽しめる作品だと思っています。
「完結編」あとがきにあった「松本先生、また『ワダチ』みたいな熱くてマニアックな作品を描いてください!」というメッセー ジに は激しく共感いたしました。

敦賀弾丸ツアー

2011-04-23 18:14:54 | Weblog
007悪役列伝その22『慰めの報酬』より、グリーン。
前作とうって変わって、現実的な敵キャラでした。
邦題のセンスの良さですごく得をしたと思うの!
クレイヴボンドの「残酷な二枚目」って感じが光っていて、よかったですよ。

*******************

そんなこんなで、GWは敦賀シンボルロードに行くことにしました。
青矢印服着て、真田さんとツーショット撮りたいなあ~

2泊5日の強行軍ですが、元気に楽しんで来たいと思っています。

戦場に咲く花

2011-04-15 19:00:53 | 映画
2003年、日中戦争を舞台にした日中合作映画。ジャン・チンミン監督。

負傷した日本兵・菊地が、満州の小さな駅へ療養生活を送るために赴任した。
馬術でオリンピックに出場する国民的英雄であった菊地だが、半年後、死体となって発見される。
容疑者は、4人の中国人、駅長とその妻、孤児の少年と作業員。彼ら全員に、殺害の動機があった。
果たして事件の真相は…?というお話。


『SBヤマト』で興味を持った、緒形直人の作品をいくつか見た中で、特に気に入った1本。美しい映像で、エリート青年の孤独と挫折、中国の人々の誇りが、格調高く描かれます。原題『SUN FLOWER』でもある、ひまわりの鮮やかな色彩が印象的。
ただ、「中国人から見た日中戦争」の視点で語られるので、日本軍は基本的に高飛車で嫌な奴です。この辺り、日本人にはちょっとキツいかも。

見所は、足を負傷した日本兵・菊地です。
菊地は、本来花を愛し、中国人にも頭を下げ、笑いかけることもできる、人間的な男として描かれています。
当時の日本兵として、中国人に対して暴君のように振舞うのですが、その裏には、傷のため前線に出られず、また英雄という体面上おいそれと帰国することもできず、ただ一人辺鄙な場所で、精神的に磨り減っていく複雑なキャラクターを、緒形直人が素晴らしい演技で見せてくれます。

この俳優さんは、20代ではへタレな草食男子、30代では苦悩するどこか破滅的な男(ヤンデレ?)のイメージが強いのかしら。最近はエコなお父さんか、男クサい役のどちらか、な気がする。

中国側キャストも一人ひとり存在感があり、ドラマに深みを持たせていました。真相が明らかになった時の駅長の台詞、菊地を哀れみ、同胞を愛する名もなき男の誇りが印象深いです。
中国映画はどうしても「日本=悪」となりがちですが、本作は日本・中国両方の人物を丁寧に掘り下げることで説得力を出すことに成功した、反戦映画の佳作だと思います。