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「心の健康状態」を可視化してチェック、iPhoneのヘルスケアに新カテゴリー。

〇 iPhoneの「ヘルスケア」アプリに「心の健康状態」というカテゴリーが新設された。これはiPhoneやApple Watchで計測したデータを用いて、心の健康をセルフチェックする機能だ。iPhoneだけでも利用できるが、Apple Watchと組み合わせたほうがより多くの情報を収集できる。

今回は「iOS 17」と「watchOS 10」に搭載されたこの機能の内容と使い方を紹介する。

基本は「心の状態」の記録。

心の健康状態機能のベースになるのは、Apple Watchの「マインドフルネス」アプリやiPhoneのヘルスケアアプリが記録する「心の状態」のデータだ。どちらで記録してもよい。心の状態はセンサーなどでは計測できないため、ユーザーが手入力で申告する必要がある。

Apple Watchユーザーなら、マインドフルネスアプリを起動し心の状態をタップ。表示された画面で「今現在どのように感じているかを記録してください」と「今日一日を通してどのように感じたかを記録してください」のどちらかを選択する。それぞれ「現在の感情」及び「1日を通した感情」と考えればよいだろう。

無理に両方を記録しなくてもよい。それよりも片方だけでもよいので、毎日続けて記録することのほうが重要のようだ。

Apple Watchで「マインドフルネス」アプリを起動し「心の状態」をタップ
画2、Apple Watchで「マインドフルネス」アプリを起動し「心の状態」をタップ。
 
「今現在どのように感じているかを記録してください」(上)または「今日一日を通してどのように感じたかを記録してください」(下)をタップして進む
画3、「今現在どのように感じているかを記録してください」(上)または「今日一日を通してどのように感じたかを記録してください」(下)をタップして進む。

続く画面で「Digital Crown」(竜頭)を回し、感情を「非常に快適」から「非常に不快」までの7段階で記録する。さらに感情に伴う複数のキーワードをタグのように追加する。これだけだ。選択に悩んだとしても1~2分程度で終了する。

Digital Crown(竜頭)を回して7段階で表示される感情を選択
画4、Digital Crown(竜頭)を回して7段階で表示される感情を選択。
 
選択した感情に伴うキーワードをタグで入力する。タグは自分で追加できる
画5、選択した感情に伴うキーワードをタグで入力する。タグは自分で追加できる。

iPhoneを用いる場合はヘルスケアアプリで「ブラウズ」画面を開き、「心の健康状態」→「心の状態」→「記録」とタップする。あとはApple Watchと同じように進める。記録自体はApple Watchと同じように簡潔だが、Apple Watchのほうが素早く記録画面にたどり着ける。

iPhoneではヘルスケアアプリで心の状態を記録する
画6、iPhoneではヘルスケアアプリで心の状態を記録する。

「たったこれだけでよいのか」と思う人は少なくないだろう。だがこの機能は、とにかく継続して記録してもらう必要がある。継続して得られたデータから心の状態を可視化するからだ。そのため1回1回の記録には手間がかからないようにしている。通知を設定すると、1日に2回の記録を促される。

「心の状態」とほかのデータに関連性。

継続して記録した心の状態は、iPhoneのヘルスケアアプリで確認する。「ブラウズ」画面を開き「心の健康状態」をタップすると、心の状態のほかに「エクササイズ時間」「日光下の時間」「睡眠」「マインドフル時間」などの項目が表示され、それぞれの関連を考察できるようになっている。

ヘルスケアアプリの「心の健康状態」画面には、心の健康への影響が考えられる情報が表示される
画7、ヘルスケアアプリの「心の健康状態」画面には、心の健康への影響が考えられる情報が表示される。

心の健康について、アプリが何か指摘するわけではない。あくまでも自分で自分の生活を振り返るにとどまる。それでも、適度に運動をした日や睡眠が十分取れた日は心の状態が良くなるといった傾向が見えると面白さを感じる。当たり前に思えるようなことでも、可視化されるとその状態を維持したくなる。

継続して記録された「心の状態」とほかのデータとの関連性が見られる場合がある
画8、継続して記録された「心の状態」とほかのデータとの関連性が見られる場合がある。

心の健康状態への影響があると考えられるデータのうち、日光下の時間はwatchOS 10で搭載された機能だ。以前からある環境光センサーを用いて計測される。iPhoneでは計測できない。また睡眠データはApple Watchを用いたほうが詳細に記録できる。

「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「ヘルスケア」→「日光下の時間」とタップして表示された画面で「日光下の時間」をオンにしておく
画9、「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「ヘルスケア」→「日光下の時間」とタップして表示された画面で「日光下の時間」をオンにしておく。
 
睡眠時間はiPhoneでも記録できるが、Apple Watchを用いたほうがより詳細なデータが得られる
画10、睡眠時間はiPhoneでも記録できるが、Apple Watchを用いたほうがより詳細なデータが得られる。

マインドフル時間を記録するには、Apple Watchのマインドフルネスアプリで「リフレクト」または「呼吸」を選択して画面の指示に従う。いずれも1分程度で終わる。いわゆる瞑想(めいそう)だ。やってみると、1日のうちでこのように頭を空にしてリラックスする時間は意外になかったと思わされる。マインドフルの継続時間は1~5分の間で設定できる。

マインドフルアプリで「リフレクト」を実行すると、画面に動く不思議な模様が表示。これを1分程度見つめるとマインドフル時間として記録される
画11、マインドフルアプリで「リフレクト」を実行すると、画面に動く不思議な模様が表示。これを1分程度見つめるとマインドフル時間として記録される。

以前からApple Watchには、計測した複数の健康データを使って健康維持の指標を計算及び表示する機能があった。これらは主にフィットネスを効果的に行うために用いられてきた。ここに手動で記録する心の状態を加えることで、心の健康状態として可視化されるようにした点が興味深い。

マインドフルネスアプリも以前からApple Watchに搭載されていた。搭載された当初は筆者も物珍しく思って使っていたものの、最近ではほとんど起動しなくなっていた。しかし実際にリフレクトや呼吸を使ってみると、集中力が回復したと感じることがあった。これからは継続して利用し、その効果を客観的に振り返っていきたい。


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