耳を塞がないワイヤレスイヤホン「JBL Soundgear Sense」、逆位相で音漏れ防ぐ。

〇 耳を塞がないワイヤレスイヤホンが、各社から登場して盛り上がりを見せている。

耳を塞がないイヤホンとしては骨伝導方式のものが以前からあり、ジョギングなど屋外でスポーツをする人に人気だ。しかし最近話題なのは、鼓膜を振動させて音を伝える、一般的なイヤホンやヘッドホンと同じ方式のものだ。

画1、JBLの耳を塞がない完全ワイヤレスイヤホン「JBL Soundgear Sense」。ブラックとホワイトの2色がある。直販価格は2万2000円（税込み）。

ハーマンインターナショナルがJBLブランドで展開する「JBL Soundgear Sense」（以下、Soundgear Sense）もその1つ。音漏れを防ぐ機能や、ストレスなく身に着けられる角度調整機能、耳にかけるフックや着脱可能なネックバンドにより外れにくくすることができることなどが特徴だ。

もちろん通話にも利用でき、ビジネス用途でも使える製品だ。直販価格は2万2000円（税込み）。音楽と外音がどう聞こえてくるのか、メーカーに製品を借りて試してみた。

着け外しが楽で装着感も軽快。

Soundgear Senseは、左右のユニットをつなぐケーブルがない、「完全ワイヤレスイヤホン」タイプの製品だ。サイズは一般的な完全ワイヤレスイヤホンよりやや大きい。

左右のユニットは、それぞれ音を出す本体部分と、そこから伸びた可動するフックから成る。装着してまず感じたのは、着け外しが楽にできて装着感も軽快なことだ。耳にかけるフックには柔軟性があり、前後に4段階で角度を調整可能で、根元から45度程度回転する。フックを前方に倒してイヤホン本体を外側に開くように回転させることで、着け外しが楽にできる。ユニット片側の重さは13.1グラムで完全ワイヤレスイヤホンとしては重いが、フックで耳にひっかけるため、重く感じない。

画２、ユニットもケースも、一般的な完全ワイヤレスイヤホンより大きい。

 

画３、フックと本体の角度は4段階で調節できる。フックは柔軟性があり、根元から本体を外側に広げるように回転する。

耳にかけたら、フックと本体で耳を挟むように動かして固定する。装着したままジャンプしたり走り回ってみたりしたが、外れることはなかった。これだけでも運動時に使用できそうだ。IP54等級の防じん防滴に対応しているので、雨や汗でぬれても心配はいらない。

 

画４、耳に装着したら、フックと本体で耳を挟むように動かして固定する。本体と耳の間にはすき間があり、耳を塞がない。

付属のネックバンドを使うと、より外れにくくすることができる。ネックバンドの穴にフックの先端を差し込んで固定するというシンプルな仕組みだが、運動しながら使うときの安心感が高まる。

画５、付属のネックバンドを使うと、ネックバンド型のワイヤレスイヤホンになる。

 

画６、ネックバンドにより、運動しながら使うときの安心感が高まる。

オープンイヤーとは思えない音で低音もしっかり。

JBLのアプリ「JBL Headphones」をインストールしたスマートフォンとペアリングして設定を済ませ、耳に装着して音楽を聴いてみた。耳を塞がないイヤホンは中～低音域の量感に物足りなさを感じることが多いが、それがあまりない。中～低音域に音の厚みが感じられ、耳を覆うヘッドホンのような聞こえ方がする。静かな場所なら音の細かいところもよく聞き取れる。

画７、イヤホンとしては大口径となる16.2ミリのドライバーを搭載。本体内側には充電用の接点がある。外側のJBLのロゴ部分はタッチセンサーになっていて、音楽や通話の操作に使う。

アプリでは、イコライザーやタッチ操作の設定、左右の音量バランス調整、最大音量リミッターの設定、イヤホンから音を出して見つけやすくする機能の設定などができる。

画８、JBLのアプリ「JBL Headphones」で、イコライザーやタッチ操作の設定などができる。

音漏れを減らす独自の機能を搭載。

使っていて面白いと感じたのは、周囲の物音や話し声が明瞭に聞こえるのと同時に、音楽もよく聞こえることだ。耳を塞いでいないので「周囲の音に邪魔されて音楽がよく聞こえないのではないか」と思っていたが、そうしたことも全くない。不思議な感覚だ。

耳を塞がないイヤホンのメリットは大きく2つある。1つは、音楽と同時に周囲の音も聞き取れることだ。例えば外出中にイヤホンをしていると、近づいていくる車や自転車などの音に気付きにくくなる場合があり、交通事故などの危険性が高まる。周囲の音を聞き取れれば、そうしたトラブルを未然に防げる。自宅なら話しかけてくる家族や宅配便のインターホンの音に気付きやすくなる。もう1つは、耳の中が蒸れたり、聞き疲れしたりしにくくなることだ。

逆に、一般的には音漏れしやすいことが耳を塞がないイヤホンのデメリットだ。しかしSoundgear Senseは、ドライバーから出る音と逆位相の音を発生させて音の拡散を抑え、音漏れを低減する機能を搭載している。アクティブ・ノイズ・キャンセリング機能のような仕組みだが、外音を抑えるためではなく音漏れを抑えるために使っているわけだ。

音量を最大にするとさすがに音漏れは気になるが、「ちょっとうるさいかな」と感じる程度の音量なら、実際にはほとんど音漏れしていない。周囲に人がいて音漏れを気遣うような環境、例えばオフィスやコワーキングスペースでも使いやすいだろう。

操作性も良好だ。JBLのロゴ部分がタッチセンサーになっており、その部分をタップして操作する。操作の割り当てはアプリで行う。細かなカスタマイズはできないが、音量コントロールと再生コントロールを左右それぞれに割り当てられるので音楽再生や通話の操作が一通り可能だ。

画９、操作はロゴの部分をタップして行う。

 

画10、JBL Headphonesで操作の割り当てを変更できる。音量コントロールと再生コントロールのどちらを割り当てるか、操作できないようにするかを指定するだけで、細かなカスタマイズはできない。

快適で使いやすい、お薦め機種。

音楽再生だけでなく、オンライン会議や電話などにも利用できる。実際に通話してみたところ、相手の声が聞き取りやすい。相手に聞くと、こちらの声も聞き取りやすいとのことだった。またマルチポイント接続対応で、2台のデバイスと同時に接続して使用できる。例えばPCとスマホに接続していると、PCのビデオ会議に使っているときに着信があれば、ワンタップでスマホに切り替えて通話に利用できる。片側のユニットだけで使うことも可能だ。

バッテリー駆動時間は、音楽の連続再生時間が最大6時間、連続通話時間が3.5時間と、完全ワイヤレスイヤホンの標準的なレベル。昼休みなどに充電する時間を作れば、あとは付けっぱなしで仕事ができそうだ。

画11、左右のユニットと充電ケース、充電用USBケーブル、左右のユニットをつなぐネックバンドが付属する。充電用端子はUSB Type-Cだ。ワイヤレス充電には対応していない。

JBL Soundgear Senseは、耳を塞がないことによる利便性や快適さと、静かな場所で使いやすくなる音漏れ低減機能が魅力の完全ワイヤレスイヤホンだ。まず、外出したり運動したりするときに使いやすいイヤホンを探している人にお薦めだ。さらに、オフィスやコワーキングスペース、家族が寝静まったあとの自宅などで静かに音楽を楽しみたい、しかし耳を塞ぎたくない、そんな人にも適している。