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『虹の橋からきた犬』あらすじ・ネタバレ感想。ペットの病と向きあう覚悟

新堂冬樹著『虹の橋からきた犬』あらすじ・ネタバレ感想。
余命宣告されたペットの病と向きあう覚悟。
ペットを飼っている人は、この本を最後まで読めるだろうか?


『虹の橋からきた犬』

A Dog From The Rainbow Bridge
著者:新堂冬樹
『虹の橋からきた犬』あらすじ・ネタバレ感想 tataraworks
カバーデザイン:西村弘美
イラストレーション:526
発行:株式会社集英社
発売日:2022年4月21日

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『虹の橋からきた犬』あらすじ・ネタバレ感想


☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:

『虹の橋からきた犬』あらすじ 

ドラマの制作会社[港南制作]の社長である南野は、いわゆる仕事の鬼だ。
彼にとって何よりも優先すべきは仕事だ。
南野はそれを社員にも徹底させようとする。


ある日、社員達の不満が爆発する。
南野は、愛犬が病気で定時に帰ろうとする社員を「犬コロと仕事のどっちが大事なんだ?」(29ページ)と叱り、接待を優先させた。
その後も飼い主は定時で帰れず、愛犬は緊急入院することになった。
南野にとってはドラマ制作が始まれば残業は当然で、むしろ定時が23時だ。
そんな南野の薄情とも言える一言一言が社員達の心をえぐった。
その結果、社長である南野は孤立し、自分が作った会社から追い出される。


高校時代からの親友だったのに自分から会社を奪った専務の藤代と、彼に味方した社員達への復讐に燃える南野は、港南制作潰しと自分の新会社設立に向け、虎視眈々と計画を練る。
そんな時、南野は隣の家のおじいさんから病院から帰ってくる夕方までの約束でゴールデン・レトリバーの子犬“パステル”を預かった。
しかし、おじいさんは帰らず。
おじいさんの親戚からパステルを押しつけられた南野は里親探しを始め……。

☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:

『虹の橋からきた犬』ネタバレ感想 

第一章は、仕事人間の南野のすさんだ性格が招いた泥沼のお家騒動が描かれる。
父親のせいで貧乏だった南野がろくに学がないのに会社を興したのは凄いし、だからこそ自分は絶対だと思うのも無理はない。
それでも、自分こそがルールだという考えを口にも態度にも出してしまったら、それはただの暴君で独裁者だ。
親友で専務の藤代は、唯一社長に意見を言える存在として社員達の心情を代弁するが南野には全く響かない。
仕事が無くなって自分や社員達が父親のようになるのが怖かったからかもしれないが「定時は23時」は無茶苦茶な発想だろう。


第二章は、たまたま預かってそのまま飼うことになったゴールデン・レトリバーのパステルとの闘病生活が描かれる。
これが読んでて辛い。
私はペットを飼っていないけれど、犬や猫を飼っている人はこの本を最後まで読めるだろうかと思った。


会社を追い出され、復讐も失敗した南野がどうにかこうにか立ち直れたのはパステルのおかげだった。
南野は、動物専門プロダクション[アニマルスターダム]を起ち上げた。
ペットショップの店員だった奏を専務に迎え、以前の会社での鬼ぶりが嘘のように和やかな雰囲気で仕事をしている。
パステルと一緒に過ごす時間は、確実に南野の心を解かし、南野は随分と人間らしくなった。
だが、平和な暮らしはたった4年で終わる。


治らない病気に対して延命することは、人間相手でも難しい問題だ。
苦しくてたまらなければ、人間なら泣きもするだろうし、他の人に感情をぶつけてあたることもできる。
だけど、動物は黙ってされるがままなんだなと思うと、少しでも長く生きて欲しいと願うのは人間のエゴであって、動物にとっては残酷なことをしているのではないかと思う。


もちろん、正解は分からない。
主人に絶対服従の犬は、酷い目にあっても主に愛情いっぱいの目を向ける。
そんな愛犬を前に、一旦治療方針を決めたら変更はできない飼い主も苦悩する。
自分の決断が間違っていたのではないかと不安になり後悔がよぎる点は、延命してもしなくても同じだろう。
パステルが旅立った後の南野は会社に行けないほどのペットロスに陥る。
南野はパステルのリードを手にし、あたかもパステルを連れているかのようにいつものパトロール(散歩)コースへ行ったりする。


『虹の橋からきた犬』とはどういう意味かと疑問に思いながら読んだ。
虹の橋を渡る話にしか思えなかったからだ。
答えはエピローグで判明する。
最後に救いがあった。
そこに繋がるのか、とちょっとほっとした。

☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:

ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

コメント一覧

tataraworks-lynx50
@numanntak numanntakさま、コメントありがとうございます。
40代くらいまでだったらサービス残業当たり前で働いた経験があるのかな、と思います。
今でこそブラックなんて言われますけど、昔はそれが当たり前だった気がします。
中小企業だと社長も気を張りっぱなしなのかもしれません。
吹けば飛ぶような会社でぬるいことやってられない、みたいな?
引退して緊張がほぐれるのかもしれませんが、付き合わされる従業員はキツイでしょうね。
そんなだから、終身雇用というありがたい時代でも転職する人が多かった気がします。
tataraworks-lynx50
@29qlove ラムネちゃんとキーちゃんのママん様、コメントありがとうございます。
そうですよねぇ、私も延命の話に入ってからは何回も途中で読むのを止めようかと思いました。
このお話は作者さんがソウルメイトである飼い犬の闘病生活やペットロスに陥った経験を踏まえて書いたものです。
治療の場面がリアリティがあって読んでて辛かったです。
29q家ではラムネちゃんもキーちゃんも凄く大事にされていますよね。
「惜しみながら毎日を過ごすこと」
そういう気持ちで姫達に接していたのですね。
numanntak
これは是非読みたいです。私は仕事柄、中小企業のワンマン社長との付き合いが多く、この作品の主人公のような方々が実在することを知っています。従業員はおろか家族さえ仕事にこき使うやり方はどうかと思いますが、高度成長期には珍しくなかったようです。
ただ病気などで引退すると、コロッと変わることもあり、そのためこの作品にも関心が湧きますね。
29qlove
これは読めないかもしれませんね…
延命治療、死への恐怖や離れてしまう命へのあがきで最後の時をずらしながら、これで良かったのかと迷い、最後を迎えた自分の相棒には最後まで戦わせてごめんと項垂れる…
何度見送っても、答えが出ません
でも、もしも自分が死を前にしたら…と考えると、私は絶対延命治療は望まないだろうと思ってしまうあたりが人間のエゴでありワガママ身勝手さ…
必ずやってくるお別れの時が辛すぎて…考えたくないと思いながらの日々も、確実に時は流れているのだから…毎日精一杯の愛で包んであげること、相手の要求をきちんとわかってあげること
時間を大切に使うこと
惜しみながら毎日を過ごすこと
それくらいしか太刀打ちできません…
どんなにやり尽くしても、亡くなってしまった後に残るのが後悔ばかりになるのがわかっているけども…今できることはそれしかないからです
(×_×)
tataraworks-lynx50
サクラ母さま、コメントありがとうございます。
『虹の橋』って私も分からなかったんですけど、そういうお話なんですね。
『虹の橋からきた犬』は1章は仕事のギスギスした人間関係がメインです。
2章は飼い主と犬はソウルメイトという関係で結ばれているのですが、幸せな時間より闘病生活が多く描かれるので結構辛いです。
私はペットを飼っていないのですが、飼い主とペットとの信頼関係や絆のようなものに憧れながら読みました。
サクラ母
いつもありがとうございます
この本読んでみたくなりました
虹の橋とは、、私もサクラという犬を失うまではわからなかったのですが
飼い主よりも先に死んだペットが飼い主が死んだら虹の橋で待って飼い主を迎えてくれるという話ではないでしょうか
本を読む前から虹の橋とパステルと主人公のつながりが理解できる気がしました

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