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『すずらん通りベルサイユ書房』(七尾与史著)あらすじと感想

『すずらん通りベルサイユ書房』(七尾与史著)あらすじとネタバレ感想です。
ベルサイユ書房のオーナーをはじめ濃いキャラクターが魅力です。
事件は主に書店内で起こります。

薔薇の花の画像 tataraworks


ベルサイユ書房は、『ヴィヴィアンの読書会』にもチラッと出てきます。
6人の招待客の1人がベルサイユ書房の店員という設定でした。
でも、『すずらん通りベルサイユ書房』にはそのキャラクターが登場していないんだよね。

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『すずらん通りベルサイユ書房』あらすじ
ミステリ作家を目指す日比谷研介(25歳)は、神保町の古書店・珍本堂でアルバイトをしながら執筆生活を送っていた。
ところが珍本堂が閉店。
近所のベルサイユ書房へ寄ったところ、運良くアルバイト募集中だった。
オーナー・剣崎瑠璃子はケンザキ製菓のお嬢様で、フェンシングの元国体選手。
ベルばらのオスカルのような男装の麗人だ。
ベルサイユ書房には、ポップ1枚でベストセラーにしてしまうカリスマ書店員・美月美玲がいた。
研介は、美月に小説を読んでもらいたいという下心からベルサイユ書房で働き始める。
そして、ベルサイユ書房で起こる事件は、小説家志望の研介には興味深かった。
研介は書店員として働きながら、様々なお客様、作家先生の観察を重ねる。

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『すずらん通りベルサイユ書房』感想 
●大柱は3つ
連続殺人、毒入り本、レモンの謎……。
なんだかすっきりしないんだな。
毒入り本とレモンの謎は解決したけれど、連続殺人事件がね。
犯人が誰かは判明するんですけどね。
うやむや~。
そこは『ヴィヴィアンの読書会』の最後と同じで、「え?それでいいの?」と感じてしまう。

●ポップに本への愛を込めて 
ハガキサイズほどの紙にズバッと適切な単語を並べたポップ。
ポップがつまらないと本までありきたりに思えてきてしまう。
スーパーマーケットだって何だって、手書きでお客様へ向けて書く物は、店員さんの思いがこもっているものですよね?

54ページのベルサイユ書房のスタッフ・栗山の台詞です。
「手間を惜しんだ物に真心は生まれません。そしてお客さんたちはそれにものすごく敏感なのです。」
「たった一人でもお客さんの心に響くのならそれは立派な実業です」
美月の受け売りとして栗山が研介に語るのですが、この考えは書店のポップに限らないと思うのです。
サービス業に従事する者は面倒くさがりじゃつとまりませんから。

●本屋さんのプロ意識 
研介に自分の小説を読んでほしいと頼まれた美月は厳しい反応をします。
「私もこの道のプロです。ですからプロ作家の作品しか読まないことにしてます。なぜならアマチュア作家の書いた作品は書店にとってなんの意味も価値もないからです。私は馴れ合いの読書をするつもりはありません」
(70、71ページ引用)
一刀両断で研介のお願いは断られる(ノД`)

本屋さんのお仕事は薄利多売な上もの凄く重労働だ。
陳列作業だけでも大変だが、立ち読み防止のシュリンク包装等やる事は盛りだくさん。
そんな中で実際に本を読み、ポップを書く作業は心意気でやってるんじゃないかしらん。
ここも、面倒だと思う人にはやってられない点だと思うな。

本を売りたい気持ちもあるだろうけど、ポップからその店の店員さんの仕事に対する心意気や熱意も感じ取れると思う。
そう思って見ると、ポップを見るのも結構楽しい。
素晴らしい言葉が並んだポップに出会ってみたいものです(*⌒▽⌒*)

以上、『すずらん通りベルサイユ書房』の感想でした。

ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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