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タイトルの“レッド・ロケット”とは発情した犬のペニスを意味する隠語らしい。LAから無一文で故郷テキサスに舞い戻った元ポルノ男優マイキー・セイバーのメタファーであることは間違いないのだが、どうもそれだけではないようなのである。口だけは達者のナルシスト、過去に5回ポルノ界のアカデミー賞にノミネートされたことだけが自慢のマイキーは、自身の成功のためなら、平気で友達や女も裏切る薄情男なのである。
テキサス州では違法のマリファナを工場従業員に売りさばき、あっという間に小金を作り出すビジネス手腕にはたけているマイキーは、ドーナツ屋でアルバイトをしていたストロベリーのエロタレントを見抜き、LAに戻ってポルノ製作会社を立ち上げる計画を思いつくのだが....この映画、巨根を股関でいつもプラプラさせているだけのお下劣男が、身ぐるみはがされるコメディとして見たら面白くも何ともない。
映画冒頭の大統領選挙演説、無責任としかいいようのない軽薄な言動、それでいて金を稼ぐ“ディール”のセンスは抜群で、友人である偽傷病兵士を保身のためいとも簡単に切り捨てる。別れ話を切り出した途端元ポルノ女優の妻レクシーから「女優のヒモ!」と罵られるこの♂、テキサスをはじめとするラストベルトに生息する負け組白人を味方につけ奇跡を起こした、あのドナルド・トランプのアレゴリーなのである。
本作は本当に、これまでアメリカの貧困層を主人公にした映画をずっと撮り続けてきたショーン・ベイカーが、あの口先男トランプを糞味噌にこきおろした作品、なのだろうか?ならば制作費110万ドルという低予算にはならなかったはずなのである。「テキサスに再び戻って来るな」=「LAに戻って再起を果たせ」という一種のエール?ともとれるのである。バイデン民主党に敗れ下野したトランプが、来年再び大統領選挙に挑むその姿とまんま重なりはしないだろうか。
仕事もしないで一日中マリファナを吸いながらTVを見ているレクシーとその母親。濁りきった瞳には絶望の2文字しか浮かんでいない。そんな夢も希望もない家族の生活を、SEXとお金によってまがりなりにも立て直したマイキーに感謝しこそすれ、身ぐるみはがして家を追い出すなんて、いくらなんでも酷すぎやしないだろうか。幸か不幸かバイデン民主党政府の無策により、イスラエル紛争が起こる以前からトランプ断然有利の報道が伝えられている。隠れトランプ支持派と思われるショーン・ベイカー監督も、心の中でしてやったりの拳を握っているに違いない。
レッド・ロケット
監督 ショーン・ベイカー(2021年)
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