“クワイエット・プレイス・シリーズ”のスピンオフ作品。エミリー・ブランド演じるお母さんと子供たちが登場するシリーズ前日譚として紹介されている。最近は、アメリカ大統領選挙関係のYouTube動画ばかり見ていたせいか、どうも脳ミソがトランプ推しの人々に大分汚染されてしまった気がする。ニュートラルなポジションに一度頭を戻したいと思っているあなたに、是非お勧めの一本だ。音に反応するエイリアンが今回も人間を . . . 本文を読む
過去に踏み込み、歴史を終わらせる。のっけからインディ・ジョーンズの顔にずだ袋を被せ、出ますよ出ますよ、ほ~ら出た~とばかりに登場する、すっかり生成AIで若返ったハリソン・フォードのご尊顔。リアルタイムで彼の勇姿を劇場で見たことのあるオールド・ファンはどう思ったのだろう。「人工的でなんか気持ち悪い」と違和感を覚えるのか、それとも「思った以上に良くできている」と感心しきりだ . . . 本文を読む
わずか58分という上映時間ながら、『雨に唄えば』や『ワンハリ』、『ラ・ラ・ランド』に『インターステラー』へのオマージュ、『バタフライ・エフェクト』なんちゅうわりとコアなSFのポスターまで劇中拝める一風変わったアニメーションなのである。シスターフッドの破綻を描いた『雨に唄えば』以外は、本アニメにも唐突に挿入されている「あの時ああしていれば、そうなっていたかもしれない」アナダーワールド描写が共通項にな . . . 本文を読む
R.M.N.って“ルーマニア・ナショナリズム”の略かなんかと思っていたら、まったく違っておりました。人間の脳の断面を撮影する“M.R.I.”の事だったのです。主人公マティアスの父ちゃんが脳腫瘍におかされていて、そのM.R.I.写真をスマホで何度も見ていましたよね。あれです。要するにこの映画、ルーマニアトランシルバニア地方の小村にスリランカから招かれた移民労働者を、不治の病“脳腫瘍”に例えているので . . . 本文を読む
「恥ずべきことにこの数世紀の音楽作品の音程はすべて偽りであり、音楽もその調声もエコーも、その尽きせぬ魅力も、誤った音声に基づいている。大多数の者にとって純粋な音程は存在しないのである。」「ここで想い起こすべきことは、もっと幸福だった時代のこと。ピタゴラスの時代だ。我々の祖先は満足していた。純粋に調声された楽器が数種の音を奏でるだけで。何も疑うことなく、至福の和声は神の領分だと知っていた。」主人公の . . . 本文を読む
アマプラで無料公開されていたベルイマンの初期3作品をたまたま再見したばっかりだったので、そのうち2作品(『野いちご』『七つの封印』)がウディ・アレンの最新作でまんまオマージュ作品として使われていたのにはビックリ。他の映画監督が撮った名作にオマージュを捧げたウディ作品は過去にも何本か見たことがあるのたが、映画のワンシーンをまんまコピぺしたような分かりやすい演出を見たのは本作がはじめてだ。ウディ・アレ . . . 本文を読む
愛し合った男女の出会いから別れまでを逆に辿った構成は、ライアン・ゴスリング&ミシェル・ウィリアムズ共演の『ブルー・バレンタイン』と同じだ。垢抜けしないジュード・ロウといった風貌のジェイクと、デミ・ムーアをかなり若がえらせたようなエロエロボディマティの一夜限りのロマンスをクライマックスに、別れた後のジェイクならびにマティのその後を、それぞれ1章、2章に持ってきた3幕構成になっている。ポルトガ . . . 本文を読む
“鉄の爪”フリッツ・フォン・エリックの息子4人のバイオグラフィック・ムービーとして見たら、この映画あまり面白くない。次男ケビン以外、皆病死もしくは自死していることをまったく知らなかったのだが、それを今更映画にして見せられてもねぇ、という感じなのだ。確かに兄弟4人の仲が大変よろしかったことはスクリーンから伝わってくるのだが、むしろ、タイトルの“アイアンクロー”に込められた意味を考えた方が不思議と感動 . . . 本文を読む
ハリー・ポッターの次は(ファンタビではなく)おそらく本シリーズが世界を席巻するのではないか。原作本は3巻まで出版されていてすでに完結しているという。映画を見た限り、作家は戦争孤児のご経験がおありの故人ではないかと勝手に想像を膨らませたのだが、なんと私より全然年下の45歳アメリカ人が書いたというではないか。作家は古い写真の収集家で、元々はフォトブックとして出版予定だったものを、子供向けのファ . . . 本文を読む
エルヴィス“キング”プレスリーの楽曲が一つとして使われていないことに、皆さんは違和感を覚えなかっただろうか。エンディングに流れていた“I Will Always Love You”だが、エルヴィスがカヴァーしたバージョンが存在するにも関わらず、なぜかドリー・パートンのオリジナルが使われている。これは明らかに変だと思い調べてみたところ、エルヴィスの楽曲を管理している団体が本作にその使用を一切認めなか . . . 本文を読む
“注文の多い料理店”ホーソンに招待された12人の顔ぶれをよくよく分析すると、民主党ハリスを応援するサポーターであることがよくわかる。超高級料理店で11回も食事できるほどの大富豪でかつ幼児性愛者、落ち目のハリウッド俳優、政治のことなんかまるで無関心の料理オタク、投資会社役員らしきヒスパニック・ブラック・チャイナの成金移民たち、そして料理評論家=メディアの皆さん。どうせだったらここに猫好きの歌姫なんか . . . 本文を読む
アリ・アスターへのインタビューによると、はじめ本作のタイトルを『絶望大通り』にする予定だったそうだ。プールに浮かんだ死体、実家の豪勢な螺線階段、母親の息子ボーに対する過干渉などは、ビリー・ワイルダー監督の傑作スリラー『サンセット大通り』へのリファレンスと見て間違いないだろう。サイレントからトーキーへ時代の流れに取り残された大御所映画女優の(ツバメをコントロールする)狂気を描いた、いわば業界ネタ作品 . . . 本文を読む
フィリピンに約3万人いると推定されているコピノ(コリアンとフィリピーナのハーフ)。バブルにわいていた80年代の日本にも、ジャパゆきさんたちが大勢日本を訪れたことも記憶に新しいが、最近はアジアのドスケベオヤジどもが、フィリピンやタイを往訪し現地調達するのが主流になっているのだとか。当然種だけ残してさっさとトンヅラする輩がほとんどのため、コピノと呼ばれる貧しい家庭に育ったハ . . . 本文を読む
ノワールな作風で知られる白石和彌監督がずっと撮りたがっていたという時代劇。落語の演目「柳田格之進」をベースにしたオリジナル脚本は、“白河の清き流にすみかねて...”をテーマにした現代日本にも通じる内容だ。清廉潔白であることが必ずしも周囲にいい影響を及ぼすとは限らない。“碁盤”に刻まれたます目(格子)のように、何事にも白黒つけたがる几帳面な性格の柳田(草彅剛)が、“石の下”ならぬ“袖の下”を受け取る . . . 本文を読む
ファミレスでアルバイトをしていた先輩から聞いた笑い話である。深夜ヤクザらしき4人組が入店してきて、座席で堂々とジャブをうちはじめたらしいのである。それを見た伝説のフロア係がお冷やをテーブルに置きながら「お客さん風邪ですか?」とジョークをとばしたところ、その場で思いっきり殴られて前歯をへし折られたらしいのだ。監視カメラがいたるところに設置されている現代では考えられない、おおらかな?時代があったのであ . . . 本文を読む