チーム自主勉メンバーでNPO法人Cheri(シェリィ)の永井由希です。
今回は私が「心のケア」と出会った時のことを書かせてもらいます。
『心のケア』と聞くと、「何か傷ついた心を癒すものかな?」とお考えになりますか?
実は、障がいを持つ方の心の支援全般を、私たちは『心のケア』と呼んでいます。
心のケアについて語るため、私の息子の話をさせていただきます。
私の息子は、自閉症という障害を持っています。
息子は小さいころ、パニック・自傷・こだわりがとても強く、何とかしてあげないとと、TEACCHや ABAや特殊教材などを一生懸命試しました。保育園の先生や小学校の先生などにも協力をお願いして、「目でわかる支援」を行ってきました。
でもなかなかうまくいかない・・分かってはいるみたいなんだけど、教材をもっとわかりやすく改良しても…なかなか、前に進みません。
私はその頃、障がい特性に応じた療育を提供する「教室」に通いだしました。ここでは、心のケアも療育に取り入れていて、息子の学習や問題行動への対応だけではなく、その裏側にある気持ちとのつながりを大切にしたカウンセリング的な関わりや、息子の持つ向上心を引き出すための療育を受けました。
そこで、様々な角度からの指導を受けながら、私はあることに気が付きました。
「息子は自閉症だから視覚支援をしたら、勉強するようになる。行動できるようになるはず」と思い込んでいたということに気が付きました。
でも実際は、本人が理解できる教材であろうとも、スケジュールで次の予定がわかろうとも、本人の心で、「出来なかったらどうしよう。自信ないよ。やりたくないよ」と感じていたら、前に進むことは困難です。
息子は、その頃、言語もなく、笑いやパニックでしか感情を表現しなかったので、彼にそんな心があることに気が付かなかったのです。
どんなに重い障がいを持っていても、何かを感じて揺れる心、嬉しいと感じそれを人と共有したい心、怖いと感じ誰かにすがりたい心、たくさんのおしゃべりな心があります。
ただ、多くの障がいを持った方はその心を伝える手段を持たないが故に、心をわかってもらうことをあきらめ、なんとか自分で頑張らないとと思っています。
息子は、「自信がないよ」という心を伝えられない為に、なんとか自分自身で頑張らなきゃと行動し、うまくいかず自己嫌悪に陥り、体がコントロールできなくなり暴れてしまう。暴れてしまった自分に、また自己否定が加わり余計混乱してしまう、その繰り返しだったように感じます。
息子の「自信がないよ」という心を慰めたり、支えたりするうちに、息子の心は、どんどん成長していきました。いろいろな問題にぶつかったり、悩み、苦しみながら大人になり、現在は就労継続B型の施設に通所しています。
『心のケア』とは、障がいを持った方との心のやり取りを通じて、その方が、生き生きと自信を持って生きるための心のお手伝いをいいます。私は息子が子供の時にこの心のケアに出会い、息子の気持ちとつながりながら一緒に歩んでこれてよかったと思っています。また機会があったらその頃の話を書かせてもらいたいと思います。
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