てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

スタープレックス

2005年03月28日 | 読書
ロバート・J・ソウヤーの「スタープレックス」です。

スタープレックスは、宇宙船の名前。
人類とイルカ、豚みたいな宇宙人のウォルダフード族、車椅子にのった球みたいな宇宙人のイブ族による混成チームが乗り組んでいます。
宇宙空間には、ショートカットと呼ばれる点があって、そこを通ると一瞬で何光年も離れた場所に移動できるようになってます。
ショートカットへの侵入角によって、どこに出るかが決まります。
そのショートカットは、誰が何のために作ったのか不明。
宇宙全体には、沢山のショートカットが存在するけど、一度そこを通らないと、そのショートカットから出ることができない仕組みになっています。
探査船みたいなものを、未使用ショートカットまで、通常空間で運行させ、使えるようにして、だんだん版図を広げています。
意図しないショートカットが有効になったときは、ファーストコンタクトの可能性があるわけで、スタープレックス号は、そういった未知のショートカット先の探検のための船です。
さて、スタープレックス号がそうしたショートカットを抜けたとき、とんでもない現象が起きました。
宇宙空間なのに、星がまたたいていたのです。。。


『ゲイトウエイ』と『知性化戦争』の混合か?と思ったら、主にバクスター的なとんでも話でした。
なにしろ、ショートカットから、あんなものが出て来るんだし。。。

異種族とのコミュニケーションの難しさって、人間同士のコミュニケーションの難しさと良く似てました。異種族だから特に難しいというようなものでもなかったな。

裏表紙に「壮大なる旅路の果てにつきとめた銀河創成の秘密とは・・・?」とありましたが、ほんと、最近、こういう話が多いですね。
って、これ2001年の本ですけど。
『宇宙消失』あたりからかな。この時は、「おお、そうだよ、このスケールがSFだよ。」と感動したけど、最近は、少し飽き気味。
スケールが大きいだけじゃ、つまんないな。
あ、この本は、普通に楽しめますよ。


余談だけど、最初、『ゲートウエイ』で検索したら、そんな本はないという結果になっちゃった。
しかたなく、『フレデリック・ポール』で検索したら、『ゲイトウエイ』でしたよ。。。
本の題名は正確に覚えてないと駄目ってことですね。 

曼荼羅道

2005年03月28日 | 読書
第15回柴田練三郎賞受賞作ということです。
って、どんな賞なのか、知らないんだけど。。。

作者は、坂東真砂子です。

富山の薬売りのお話です。

会社をリストラされた夫婦(麻史と静佳)が、夫の実家である富山にある祖父の隠居所に引っ越してきた。
この隠居所は、祖父と、戦時中マレイ半島に薬売りにいったときの現地妻であるサヤが住んでいた家である。
その物置で、祖父のものと思われる古い帳面を見つける。それは、薬売りが薬箱を置いてきた家を記録する帳面だった。
この帳面には、「曼荼羅道」にある家について書かれていたが、一度たずねたきりで、再訪問した記録がない。薬売りの仕事を始めることにした麻史は、この帳面を元に始めての薬売りの旅に出る。
「曼荼羅道」は、祖父とサヤ、そして自分達夫婦の愛を問い直す道だった。


家族の問題、ジェンダーの問題では、若干、感覚が古い気がしました。
似たような年代なんですけどねぇ、私と作者。

集英社文庫なんですが、巻末に受賞に際しての黒岩重吾の講評がついています。
で、この講評は、最後の部分が、私に合いませんでした。
曼荼羅道の正体に付いて、書き込みが足りない、読者の解釈にまかせている部分がモノ足りないと書いてありましたが、そこはどっちでもいいことだと思ったんですよ。
たしかに謎が謎のまま残ると気持ち悪いことがありますが、この本の場合は、そんなことはなかったです。


祖父と麻史の生き方は、曼荼羅道で交差し、臭いものに蓋をして生きていくことになった祖父と、現実に向き合うことになった麻史。
どちらが幸せなんでしょうね。。。