つらつら日暮らし

マルティン・ルター『九十五箇条の提題』を学ぶ・51

ドイツ宗教改革の発端にもなったとされるマルティン・ルターの『九十五箇条の提題』の日本語訳を学んでいく連載記事である。連載51回目である。なお、英訳された『九十五箇条の提題』を、当方で日本語訳して掲載することとした。

1〔51〕 キリスト教徒は、たとえサン・ピエトロ教会を売ることになったとしても、特定の恩赦の行商人がお金をだまし取っている人々の、非常に多くの者のために、ローマ教皇が自分のお金を寄付することが望みとなり、教皇にとっての義務だと教えられるべきである。
    訳は当方


要するに、贖宥状を売って、教会や教皇の金銭収入を目指しているのを批判し、かえってカトリック教会の総本山たるサン・ピエトロ教会や、ローマ教皇は、自らの財産を全て処分してでも、贖宥状で騙された人のために、寄付をすべきであり、それが義務だと述べたのである。おそらくは、それこそが、天に富を積むことになるのだろう。

【参考文献】
・マルティン・ルター著/深井智朗氏訳『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』講談社学術文庫・2017年
・L.チヴィスカ氏編『カトリック教会法典 羅和対訳』有斐閣・1962年
・菅原裕二氏著『教会法で知るカトリック・ライフ Q&A40』ドン・ボスコ新書・2014年
・ルイージ・サバレーゼ氏著/田中昇氏訳『解説・教会法―信仰を豊かに生きるために』フリープレス・2018年
・田中昇氏訳編『教会法から見直すカトリック生活』教友社・2019年

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