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武者小路実篤の絵の師斎藤徳三郎の生涯(5)

2018年01月03日 | 斎藤徳三郎の生涯

斎藤徳三郎と棟方志功

 昭和33年(1958)には「斎藤徳三郎・棟方志功二人展」が水戸の天恩ビル画廊で開催された。



 この時斎藤徳三郎は油彩倭画7点・油彩17点・板画3点・回顧作品2点を出展した。棟方志功は倭絵9点、書3点・板画18点を展示した。




 

◎斎藤徳三郎作

 


この展覧会に棟方志功(61歳)は二人展に寄せて次の様な一文を寄稿した。

 斎藤徳三郎大仁と二人展覧会を祖想父武の地水戸市で開かれることは喜悦以上の有り難さ、かたじけなさを受与いたします。

 斎藤徳三郎大仁の貴命は実に扶桑大魂の命実を克く体し、その国祖の大妙に締結させるあり方こそこの国の画業とせるところ、私の画憑とおなじくするところであります。同じくする事ばかりでなく大仁に教示されるばかりであります。

 先醒畏情の斎藤徳三郎大仁とのこの展覧会には、わたくしも当地に行ける歓喜を隠す事できなく、満足以上であります。どのようにか皆々様の御恩義に寄る事が深尽と、お願いと喜びを重々にしてこの二人展覧会最初のお願いの記を書きました。 

 昭和32年12月15日     版画家 棟方志功


◎棟方志功版画昭和31年「花見の作」


また、恩師武者小路実篤(75歳)は「斎藤徳三郎・棟方志功展に寄せて」

「斎藤徳三郎個展に際して」と題して、次のような一文を寄せいる。 

 

斎藤徳三郎はよく僕を驚かす人間である。20何年水戸の、山奥、どんな処か知らないが、引き込んで百姓の仕事をしている。去年久ぶりに僕の家を訪ねてきた時、変な奴が来たと思っていた斎藤だった。今度また朝早くやってきて水戸で個展をやるという。水戸は彼には第二の故郷のようなものだから故郷で個展をやるわけだから20年前から親しくつきあっている僕には大いに祝いたいと思う。 斎藤の絵はどこまでも斎藤らしい我儘な画である。斎藤を知っている僕にはおもしろく思う。その線にも調子が出ているし、色彩感覚もあり、田舎に引き込んでよく書いたといいたいが、他の人はどう思うか知らない。今度の個展で斎藤のがむしゃらなところがなくならず、益々油に乗って仕事をすることを望んでいる。とにかく人を驚かす人間である。

 

 ◎武者小路実篤