締約国会議 宣言採択し閉幕
核抑止力論を厳しく批判
【ニューヨーク=洞口昇幸】米ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約第3回締約国会議は7日、核抑止力論を批判し、核兵器の廃絶が「世界の安全保障と人類の生存にとって必須である」と強調する宣言を採択(抜粋)して閉幕しました。
![]() (写真)7日、米ニューヨークの国連本部で、宣言を採択し閉幕する核兵器禁止条約第3回締約国会議(洞口昇幸撮影) |
宣言は、現在の国際情勢について「国際法と多国間協力が損なわれつつある」なかで「地政学的緊張」や「核軍拡競争の危険性の高まり」が起きていると指摘。「国際社会に即時、断固とした行動を求めている」と述べています。核兵器保有を正当化する考えである核抑止力論については、「すべての人の生存を脅かす核の危険性の存在を前提にしている」と厳しく批判しています。
宣言はまた、「核の威嚇を明確に非難する」、核兵器は、核兵器への立場の違いにかかわらず「すべての国家の安全保障、ゆくゆくは国家の存立を脅かす」として、核兵器廃絶の必要性を強調。核禁条約の効果的な実施とすべての国の条約参加によって核兵器の使用や実験、威嚇が行われないことが保証されると述べ、条約に未加盟の国々に署名を呼び掛けています。
会議には、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表や、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の代表も参加し、会議やサイドイベントで発言しました。宣言は、核兵器使用が「破滅的な人道的・環境的結果をもたらすことへの重大な懸念」を改めて表明し、被団協のノーベル賞受賞を祝福すると述べています。
宣言とともに採択された決定によると、核禁条約の運用と目的達成の進捗(しんちょく)状況を協議する初の再検討会議を、来年11月から12月にかけて開催することを決めました。南アフリカが議長国を務めます。
同会議で「核兵器の使用や核実験の被害者への支援と環境修復のための国際信託基金の設立」の実現を目指すとしています。
今回の会議にはオブザーバーを含めて87カ国が参加。核保有国、米国と軍事同盟を結び、「核の傘」の下にある日本や欧州の国々は参加を見送りました。