地球は青かった、という名ゼリフで知られる旧ソヴィエト連邦の宇宙飛行士、ガガーリン。
51年前の今日、人類は初めて有人宇宙飛行を成功させました。
そのパイロットが、ガガーリンその人で、ボストーク1号に乗り込んで地球の軌道を周回、108分間のフライトを終え、地球に帰還しました。
もう一つ有名なセリフがありますね。
神はいなかった、というもの。
キリスト教圏ではこちらの言葉のほうが有名だし、衝撃的であったと聞き及びます。
宗教を否定する共産主義国のパイロットらしい言葉と言えるかもしれません。
地球帰還後、当然のことながら彼は英雄視され、ソヴィエト連邦の広告塔として多忙を極めます。
地球帰還後わずか7年、34歳の若さで事故死したことはあまり知られていません。
立花隆のノン・フィクションに「宇宙からの帰還」という作品があります。
NASAの宇宙飛行士のその後を取材したものですが、精神に変調を来したり、宇宙で神の遍在を感じ、宗教家になったりした者が多いことから、宇宙空間に人類が旅立つことの精神的意味を鋭くえぐってエキサイティングです。
ガガーリンの神はいなかった、という発言とは正反対の行動をNASAの宇宙飛行士が採っているいることは注目すべきでしょう。
例えば深夜、真っ暗な山頂や海辺で空を見上げた時、不思議な感興を感じたことがある人は多いのではないでしょうか。
それを宗教的感情と呼ぶかどうかは人それぞれですが、体ごと宇宙に飛び出していけば、地上にいたのでは体験できない独特の感覚に襲われるであろことは想像に難くありません。
一般に宗教に関心が低いと言われる日本人宇宙飛行士はそこらへんをどう思っているのでしょうね。
現役のうちは語るのがはばかられるかもしれませんが、引退したなら、宇宙での武勇伝ばかりではなく、おのれの内面の変化をも語ってほしいものです。
それもまた、宇宙飛行士というごく限られた仕事をした人の義務ではないかと思います。
世の中にはあまたの学問がありますが、究極のところ、求める問いは一つしかありません。
人間は何者で、どこから来てどこへ行くのか。
これは今まで宗教家が答える問いでしたが、科学と宗教が接近した現在、科学者にも宗教的素養が求められています。
宇宙飛行士の経験は、学問的にというより直観的にこの問いに答えるきっかけを与えてくれるような気がします。
51年前、米ソの宇宙開発に携わる者は、50年後には月のホテルでカクテルを飲んでいるさ、と豪語したそうですが、いまだ、その気配はありません。
無闇と宇宙というフロンティアを目指すことは止めて、これまでの宇宙飛行士の内面の変化を調査することが肝要であろうと考えます。
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宇宙からの帰還 (中公文庫) |
立花 隆 | |
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