ボクは男3人兄弟の次男
弟は陰気なボクと違って
兄弟の中で
最も陽気で活発な存在だった
実家に帰るたびに弟と会話をした
退学したばかりの頃に比べて
だんだんと会話が現実を超越したものになっていった
「兄ちゃん、あの家の地下には宇宙人の秘密基地があるんだよ」
「非常事態用のUFOが何機も止めてあるんだ」
ボクは弟に
「え~ほんとうかなぁ?」と聞いてみると
真顔で
「え?そんなことも知らないの」
と驚かれた
後になって思えば
幻聴幻覚が起こす出来事は
弟の中では「真実」だったのだろう
家族中が精神疾患の知識がないまま月日が流れていった