焼き芋みたいな
エッセイ・シリーズ⑱
『古本に保存されたタイムスリップ』
先日、友人からこんな話を聞いた。
街の書店で古本を買い、
喫茶店でコーヒーを飲みながらその古本を読んでいたら、
ページの合間に古い領収書が挟まっていた。
それが偶然にも、
今座っている喫茶店のレシートだったので驚いたと。
その本の持ち主だったであろう人が、
過去にここでコーヒーでも飲みながらこの本を読んでいた。
そしてその人が売った本を、数年の時を経て友人が買い、
たまたま同じ喫茶店で読んでいる。
何か不思議な気がしたと。
そんな話を聞いた数日後のこと。
僕は仕事帰りにブックオフに立ち寄り古本を買った。
「ケインとアベル」だ。
これは20代の頃に夢中になって読んだ小説で、
この本がきっかけでジェフリー・アーチャーの大フアンになり、
彼の小説を片っ端から読みあさったものだ。
その夜、ベッドに横たわり、その古本をぱらぱらと捲ると、
ページの間に一枚の領収書が挟まっていた。
2001年4月6日付けの、東京駅地下スタバの領収書だった。
僕の場合、友人のケースのように、
偶然にも同じ店で読んでいたわけではないが、
友人の話が頭に残っていたせいか、
その領収書を思わずしげしげと眺めてしまった。
20年前の4月6日に、この本の持ち主は、
東京駅地下のスタバでアイスショートモカを飲みながら、
この「ケインとアベル」を読んでいたのだろう。
あの辺りだと八重洲のオフィス街に勤めていた人かな?
それともこれから東京駅発の新幹線でどこかへ出張だった?
その逆もあるなあ。何となく女性のような気もするけど。
この人は現在,、何をしているんだろう。
元気でいるのかな?
そんなことをしばし、あれこれ想像してみた。
2001年4月6日・・
僕はと言えば、さて、どこで何をしてたんだろうな。
星空Cafe、それじゃまた。
皆さん、お元気で!
こういう場面、確かにあるよね。共感します!