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シロクマくん

2021年01月18日 | 焼き芋みたいなショートエッセイ

           焼き芋みたいな
           エッセイ・シリーズ⑧

                『シロクマくん』


       アラスカやカナダやロシアでは、
       シロクマに遭遇したら、「戦うしか道はない」と言われる。
       逃げても足が速いからすぐに追いつかれるし、じっとしていてもやられる。
       だから戦うしかない。

       白熊が生息する地域の人達は、ちょっと散歩に出るにも必ず銃を持って行く。
       そのくらい恐い奴なのだ。
       「シロクマく~ん」なんて呑気にかき氷にしてる場合じゃないのだ。

                

       熊といえば、農家の友達の家が襲われた事がある。僕がまだ高校生の頃だ。

       夜中に茶の間や台所に堂々と入り込んで来て、ガサゴソ、ガサゴソと、
       片っ端から食べ物を物色し家を荒して行ったそうだ。

      「ゆうべは生きた心地しなかったわ!一瞬もうダメだと思ったべさ」
       翌日、学校の教室で友人が興奮しながら聞かせてくれた。

       僕自身は熊との遭遇経験はないけども、小学生の時、
       親戚の家の裏の雪山で遊んでいて、熊の巣穴らしきものに出くわした事はある。
       雪山に延々と続く大きな獣の足跡を山の奥まで辿って行くと、
       突然やや大きめの巣穴にぶつかった。
       足跡はその穴の中に続いていたので、おそらくは越冬用の巣穴だったと思う。
       それに気付いてぞっとして、慌てて雪山を降りた。

       必死に雪を漕ぎながら降りている途中、
       「なんだおー、うっせーなあ!」と目を覚ました熊が、
       今にも後ろから追いかけて来やしないかと、
       何度も何度も後ろを振り返りながら降りた。恐かったなあ。スリル満点とはあのことだ。


       ここ数年、全国各地で熊による被害の頻度が高くなっているけど、
       4年前にバイクで東日本を一周した時も、
       あちこちの山間道で熊出没によるパトロールが行われているのを見た。
       実際に人が襲われるニュースも連日のようにあった。
       さすがに僕も10日間のツーリング予定だったし、
       キャンプ用のクマ撃退スプレーなるものを一本揃えておこうかと思ったが、
       しかし寝込みを襲われたらそれもきっと役に立たないだろうと思い買うのを止めた。
       (実際あれで撃退出来るのかな??)

       しかし考えてみれば、熊だって生きるのに毎日必死なのだ。
       人間社会のようにスーパーもレストランもない。便利なコンビニだってない。
       けどその日の食料は、どこかで絶対に手に入れなきゃならないから必死なのだ。
       子供がいる親熊なら尚更だろう。ようやくエサを前にすれば凶暴にもなる。
       「やるかやられるか」。

       生きて行く上で、そうした緊張感は我ら人間にも常に大事だなと、
       最近また、ふと思うわけです。







             星空Cafe、それじゃまた。
                 皆さん、お元気で!



                  

    









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