(御岳ロックガーデン)
8月も二週目に入ると風が少し涼しく感じられるようになってきた。そろそろ山歩きも良いかもしれない。奥武蔵の山は8月だとまだ暑いので、久しぶりに奥多摩の大岳山へ出かけることにした。大岳山はそれほど標高の高い山ではないが、日本二百名山に選ばれるほどの名山である。ドームを二段に乗せた特異な形もさることながら、麓からいくつもの登山道が開かれ、それぞれに強い個性を有しているのも大きな魅力だ。また山からは多くの沢が流れ出し、多くの滝を作り出している。今回は檜原村の千足から歩き出し、天狗滝・綾滝を眺めた後、大岳山頂を経由して、帰りはロックガーデンにある綾広の滝・七代の滝を訪れるという滝巡りの旅を計画してみた。
自宅最寄りの駅を始発で出発し、列車を乗り継いで拝島駅に到着する。ここでJR五日市線に乗り換え、武蔵五日市を目指す。五日市線は滝山丘陵の北側にある、あきる野市の市街地を抜けていく。やがて丘陵に挟まれた谷を抜けると武蔵五日市駅に着く。山に囲まれた駅にしては商店が多く、開けた印象を受ける。藤倉行きのバスに乗り込み、一路西へ。旧五日市町の中心街を抜け、十里木に差し掛かると民家はぐっと少なくなる。養沢への道を分け、やがてあきる野市から檜原村へと入る。そばを流れる秋川が深い谷を作り出している。檜原村役場を過ぎると数馬との分岐に出る。藤倉方面へ入るとすぐに払沢の滝入口に着く。ここを過ぎて次の集落が千足だ。バス停の前には朝から商店が開いており、近くの畑では農作業をしている人がいる。山里の朝は早いらしい。
(千足バス停)
商店の向かいの駐車場で出発準備をするが、何故だか異様なまでに汗をかいている。長袖を羽織っているから確かに厚着ではあるのだが、こんなに汗をかくことは無い。体調はあまり思わしくないようだ。バス停から少し藤倉よりに進むと道標があり、柳沢林道が延びている。大きな杉の木がある神社を過ぎ、急傾斜の舗装路を登っていく。途中木造の公衆トイレがあり、割と綺麗に使われている。大きな伐採地を過ぎると転回場が見えてくる。ここが林道の終点だ。
(柳沢林道沿いの沢)
天狗滝から流れ出しているのであろう小さな沢を渡ると登山道が始まる。天狗滝・綾滝の案内板があり、天狗滝までは案内板から10分、綾滝までは天狗滝から20分かかるとのこと。まずは沢沿いの比較的緩やかな道を行く。周囲は杉林に覆われ、夏場でも比較的涼しく歩けそうだ。と言っても今日は日の差さない曇天ではあるのだが。まずは左岸を上がると分岐に出る。左岸を迂回して直接綾滝へと至るルートもあるらしい。左岸を若干高巻くように登っていき、沢を渡って右岸に出た所に小天狗滝への分岐があり、滝そのものがすぐそばに見える。小天狗滝はそれほどの高さは無いものの、周りの岩壁は大きくそそり立ち、なかなかの迫力がある。
(沢を渡る)
(左岸を行く)
(小天狗滝)
右岸から岩壁を巻くと沢を見下ろす岩場に出る。岩場の上は狭いスペースがあり、中高年の男性が休憩を取っていた。「気を付けてね」と声を掛けられたので、どういうことかと思って滝を見下ろすとなるほど道は滝壺へ向かって岩場を下っており、転落の危険がある。慎重に下り、滝壺で顔を洗う。ふーっ、少し生き返った。天狗滝は落差が38mあるとのことだが、一見したところではそれほどの高さがあるようには思えない。上部に隠れた部分があるのかもしれない。案内板によると本宿からこの滝が見えるという。確かに周囲は明るく開けている。
(天狗滝手前の岩場)
(天狗滝)
滝の前を通り、左岸の岩場を登ると綾滝への直通路が合流してくる。その先はやや緩やかな道を行く。一旦沢地形の右岸側へと進むと東側に岩壁がそそり立つやや急な道となる。丸太橋で再び左岸へ渡ると木の間越しに綾滝が見えてきた。滝のそばに行くと左岸にやや広いスペースがあり、ベンチが置かれている。天狗滝と異なり、周囲はそれほど開けておらず、滝が流れる所だけが明るい。水量は少なめで、水の流れが絹糸のように薄く垂れている。落差は21mとのことだが、天狗滝よりも高いように見える。ベンチに座ってぼんやりと滝を眺めているとポタポタと雨が降ってきた。参ったなぁと思ったが、ベンチを離れると何ともない。どうやら滝の水飛沫が舞い上がって木の葉に付き、それが雫となってベンチへ滴り落ちているらしい。
(右岸を進む 右手に岩壁が見える)
(沢を渡る)
(綾滝)
綾滝から先は急斜面の登りが始まる。相変わらず異様なまでに汗をかいているので、とりあえず帽子を被り、袖をまくることにした。とりあえずこれで頭からかく汗は吸ってくれるだろう。道は左岸を高巻くとそのまま尾根道の登りとなる。現在地がどの辺りかよくわからないのだが、時計の高度計からスタート時の標高はわかっており、あと250mくらい登れば馬頭刈尾根の稜線に出そうだ。ジグザグに付けられた厳しく単調な登りをこなしていくと周囲が靄ってきた。雲の中に入ったのだろうか。杉林から落葉樹の森へと変わっていく。頭上に岩っぽいものが見えてくると道標が現れる。道標は大岳山と馬頭刈山を指しており、馬頭刈尾根に出たことがわかった。
(悪路の看板がある辺り)
(ジグザグに登る 辛い…)
(馬頭刈尾根に出た)
稜線の道はつづら岩の南側に付けられており、見上げるとつづら岩の岩壁が立ちはだかる。時間が早いせいか、クライミングの練習をする人は誰もいない。つづら岩の上には上がれるらしいのだが、どこから上がれるのだろうか。少し西側に岩の鞍部のような所があり、薄い踏み跡があるので、上がってみると東側の岩には上がれそうだ。だが実際に取り付いてみると自分には無理そうだ。鞍部は冷たい風が吹き、びっしょりと汗をかいた体には涼しい。いや涼しすぎるくらいだ。
(つづら岩の鞍部)
(つづら岩を見上げる)
寒くなってきたのであまりのんびりできず、縦走路を西に進む。つづら岩を過ぎるとしばらくは緩やかな細い尾根道が続く。「この先道悪し」の看板が現れると急な岩場の道となる。ただ鉄階段なども備えられているので、山慣れている人ならそれほど難しくは無い。ここの登りさえ過ぎれば、あとは細いとはいえ、緩やかな道だ。雲の切れ間に入ったのか、靄の掛かった森に陽が射してきた。やがて東屋が見えてくると富士見台(1054)に着く。結構広い山頂で、東屋のほかにベンチやテーブルが置かれている。草木が繁茂する時期なので、名とは裏腹に見晴らしは無い。その代わり藪の中からシシウドがひょっこり花を咲かせている。背の高い野草で、放射状に延びた白い花が集まって一つの花となり、それがいくつか更に放射状に延びている。意外に風があり、休憩を取っていると靄が晴れて、大岳山のドーム状の山頂が見えてきた。
(悪路がスタート)
(こんな所も)
(蜘蛛の巣についた水滴 これも自然の造形美)
(細い尾根を行く)
(ここを登り切れば富士見台)
(富士見台)
(シシウド)
(大岳山の頭が見えた)
富士見台から大岳神社までは緩やかなアップダウンが続くボク好みの尾根。緩く下り、やや背丈の高い笹薮を抜けて登り返すとベンチが備えられた展望地に出る。富士見台と異なり、ここは富士山が眺められるのだが、先ほどまで雲がかかっていたような天気では望むべくもない。周囲の山も薄ぼんやりとしか見えないのだが、おそらく右手に見えるのが浅間尾根で、奥に壁のように連なるのは笹尾根であろう。手前にある集落は村役場のある本宿辺りであろうか。
(緩やかな道を行く)
(笹薮もある)
(この岩場を登り切れば展望地)
(展望地の眺め)
(本宿辺りだろうか)
富士山の見える展望地を過ぎて、小ピークを越えると大滝・大岳鍾乳洞への分岐に差し掛かる。大滝へのルートは車道に出るまでの距離が短いので、エスケープに使えそうだ。尾根上は広葉樹の雑木林が多く、杉や檜はそれほど多くない。笹薮が少々煩い感じはするが、紅葉や新緑を目当てに歩くのも面白そうだ。薄緑の葉が美しいミズナラの林を抜けると白倉への分岐に着く。するとこの辺りからすれ違う人が多くなってきた。大岳山に登って、下山してくる人たちなのだろう。本来ボクももう山頂へと着いていておかしくない時間なのだが、エアリアのコースタイムと比べると1時間くらい遅れているようだ。
(笹薮はあるが道は穏やか)
雑木林の中を緩々と登り、祠が建つ辺りで鋸山分岐に着く。以前馬頭刈尾根を歩いたときは鋸山方面へと向かったので、今回は大岳山荘方面に入る。山頂直下を東から巻く道で、整備状況は良い。途中岩壁の下を通る際、落石注意の看板がある。注意するに越したことは無いが、岩壁の下を歩くルートならどこであれ落石に注意しなければならないはずだ。右手に大岳山荘の建物が見えてきたら、大岳神社下の広場は近い。
(鋸山分岐)
(大岳神社へ向かって)
(大岳神社下)
広場に置かれたベンチにザックを置き、今後の行程を考える。予定よりかなり時間をオーバーしているし、大岳山は何度も訪れているので、山頂はカットしても良いんじゃないかと思った。でも山頂へ登らなければ何となく閉まりも悪いし…。結局山頂へ上がってすぐに引き返すことにした。神社の拝殿脇から鎮守の森の中を登っていく。最初は比較的傾斜は緩いものの、足下は滑りやすい。ジグザグに登っていくと岩場の登りとなる。ステップを切ってある所もあるので、登る分にはそれほど難しくない。20分弱で人の多い大岳山の頂上(1266.4)に到着。割と広い山頂で、少し下れば休憩を取れるスペースも多い。山頂からは南側の展望が開けているのだが、今日の曇り空では見るべきものは無い。証拠写真だけ撮ってさっさと下る。
(大岳神社)
(岩場の道)
(大岳山頂)
(山頂からの眺め)
大岳神社下から鍋割山・芥場峠方面へは大岳山中腹の岩場を巻きながら下っていく。ここは危険であると同時に山の面白さが詰まったルートだ。岩場の巻き道は転落の危険があるものの、道自体は鎖や鉄階段などで良く整備されている。ちょっとした危険をどうコントロールするか。それが山歩きの面白さの一部だと思う。御岳から歩く人は大岳山を目指す登山者の9割くらいだと思われるので、ここの巻き道はどうしても混雑する。最後の急坂を下ると緩やかな尾根道が続く。
(大岳山荘)
(巻き道の様子)
(鍋割山・芥場峠へ向かって)
鍋割山への分岐を見送り、右に下ると芥場峠。このまま沢地形を下っていけばロックガーデンに至るのだが、鞍部を登り返した所にある上高岩山も気になる。いつもパスしてしまうので、たまには寄り道してみることにした。檜の植林と雑木林を分ける登山道を進むと尾根道と巻き道に分かれる。巻き道へ入ると階段状になって緩やかに下っていく。次の小ピーク辺りにロックガーデンへの分岐がある。どんな道なのだろう?その先、尾根の末端は広葉樹の生える岩場になっている。岩場を上がるとそこが上高岩山の狭い山頂(1012)であった。山頂付近にもロックガーデンへの分岐があるが、道標によると難路となっている。
(上高岩山へ)
(岩場を登る)
(上高岩山)
山頂より南側の尾根道を少し下るとサルギ尾根の展望台だ。通常の東屋の二倍超の大きさがあり、天候急変時にも役に立ちそうだ。主に北東方面の眺めが良く、神社も見える御岳山から伸びやかな尾根を伝って日の出山まで一望できる。ここから見える日の出山は三角形に屹立し、かなり目立つ山だ。更に尾根伝いに行き、次の大きな盛り上がりが麻生山。麻生山の手前に見える木々に覆われた山は高岩山であろう。反対側は大岳山の山頂部だけが見える。ボクが着くと同時に先行者が去っていったので、ここでのんびり昼食を取ることにした。
(展望台)
(御岳山)
(日の出山)
(高岩山と麻生山)
(大岳山)
(御岳山の奥ノ院)
(御嶽神社も見える)
(展望台からのパノラマ)
展望台から芥場峠へ戻り、いよいよロックガーデンへ入る。さてエアリアを見るとロックガーデン内の綾広の滝の上に水場のマークがある。先ほどカップラーメンを作ってしまった関係で水がかなり心もとない。そこでまずは水場へと寄って行くことにした。右岸に付けられた沢を高巻く道は雑木林の緑が濃い。足下が滑りやすく、この光景を眺める余裕のない人が多いのは残念だ。橋を渡り、左岸に行くとここからがロックガーデンだ。道は渡渉して右岸へ渡るのが順路なのだが、そのまま左岸の道を行く。沢を見上がる位置になると山側にパイプが突き刺さり、水が流れ出している。ここが水場であろう。水を汲もうとすると不思議なもので他の人も水を飲もうと並んでしまう。たぶん飲めるかどうか自信が無いのだろうね。とりあえず水は1リットル汲んでおいた。
(ロックガーデンへ向かって下る)
今度こそ右岸へ渡る。沢を高巻く道でかなりの高度感がある。右に曲がると下に大きな岩壁が見える。沢には随分と人がいるようだ。道は階段で沢へと下りていく。ある程度下ると綾広の滝が見える。どうりで人が多いわけだ。沢へ下りると岸壁の奥に一筋の滝が流れ落ちている。正直な話、大岳山の滝としては小さなほうなのだが、訪れる人はおそらく一番多い滝なのであろう。個人的には滝よりも穴の開いた大きな岩壁のほうが迫力はあるように思う。
(右岸から綾広の滝を見下ろす)
(綾広の滝)
綾広の滝から沢に沿って道は下っていく。沢の両岸は水流によって削られ、高くせりあがっている。苔生した岩と合間を流れる沢、沢を覆う木々、そしてせりあがった岩壁が自然の美を作り出している。棒ノ折山の白谷沢と比べると少々人工的ではあるが、それでも十分に美しい光景である。東屋の建つ河原を過ぎると道は左岸を高巻いていく。やがて正面右手に凸凹とした岩が見えてきた。これは天狗岩で、鎖が付いて登ることもできる。今日は時間が無いのでパス。問題はこの下にある七代の滝だ。かなり下っていくことが予想されるので、普段は寄って行かない。しかし今日は滝巡りが目的なので、面倒でも寄って行くほかない。
(ロックガーデンの様子)
(天狗岩)
最初は土留めの木段を下っていく。木段が切れると今度は鉄階段が次々と現れる。滝から戻ってくる人が登ってくるのだが、すれ違うスペースが無いほどの急な道が続く。嫌というほど下ると下に小拾い岩場のスペースがある。その岩場を進むと奥が七代(ななよ)の滝であった。こちらもそれほど大きな滝ではないが、訪れる人が少ないため、のんびりと眺められる余裕がある。
(七代の滝)
七代の滝からあの連続する鉄階段を登っていかなければならないかと思うと憂鬱になったが、よく見ると下りてきた階段の逆側に道が付いていた。これはラッキーと思い進んでみるが、歩き始めてこれは思い違いであることを思い知らされた。このルートは傾斜はそれほど急ではないのだが、ずうっと土留めの木段が続くのだ。疲れた体にこの木段は本当にきつい。ここを登りきると長尾平の分岐に出る。来るたびに綺麗になる長尾茶屋を横目に長尾平のベンチで一息つく。
(長尾平へ向かって)
(長尾平)
長尾平からは御岳山の巻き道を行く。神社のある山頂はカットし、石段に出た所で、脇のスロープを下る。すると何やらしゃがみ込んで写真を撮っている人がいる。覗き込むとレンゲショウマを撮っているところであった。御岳周辺はレンゲショウマの一大群落地であり、この辺りにも数株植えられているのだろう。御岳の土産屋街を抜け、宿坊街を過ぎると杉林の道となる。杉林が終わるとケーブルカー乗り場のある開けた御岳平に着く。ケーブルカー乗り場前は長蛇の列だ。ちょっと時間は遅いが、予定通り丹三郎尾根を下るとしよう。
(神社の境内に咲くレンゲショウマ)
(土産屋街)
(杉林の舗装路)
(御岳平)
富士峰のリフト乗り場の脇から林道のような砂利道が延びている。富士峰の巻き道でバイクとすれ違う。どこかバイクで登ってこられる道があるということなのだろう。富士峰はレンゲショウマの群落地なのだが、林道脇にも花の咲いた株がある。下向きに咲く花なので、写真で撮るのは少々面倒だ。まだ丸い蕾も多く、ひと夏くらいは十分楽しめるのだろう。緩やかに登るとベンチが置かれた広い分岐に出る。富士峰を挟んで御岳平の反対側に位置し、ビジターセンター辺りから直接来られる道もあったようだ。
(富士峰のレンゲショウマ)
(大塚山・丹三郎尾根分岐)
大塚山の東側を巻く道に入る。それほどきついアップダウンは無く、下る分にはかなり良い道だ。巻き道から尾根道へ入ってもしばらくは緩やかな下りが続く。杉檜の植林と広葉樹の雑木林が交互に続き、飽きることが無い。傾斜の急な所はジグザグに道が付けられ、疲れた体にも優しい。一旦傾斜が緩くなる辺りで真新しい林道が出来ていた。その先は割と急な斜面が続き、九十九折でどんどん高度を下げていく。周囲は杉ばかりとなり、だんだん単調に感じてきた。ただ林内は見通しが利いて、確実に里は近づいている。前方に民家が見えてくると東屋兼トイレの建物がある丹三郎園地に下り立つ。身に着けていた帽子と長袖シャツを脱ぐと、水の中に漬け込んだかのように汗でびっしょりと濡れていた。
(巻き道に咲くアザミ)
(大塚山の巻き道)
(丹三郎尾根)
(真新しい林道ができた)
(ここを下りきれば里は近い)
(丹三郎園地)
多摩川左岸の車道を進み、万世橋を渡る。ここは歩道が狭く、欄干も低いのでかなりの高度感がある。突き当りの交差点を渡り、すぐそばの道に入れば古里駅は目の前。列車が来るまで少し時間があるらしい。ホームで待つ間ぼんやりと物思いにふける。奥多摩は久しぶりに来たが、やっぱり山のスケールが大きく良い所だ。思ったより近くて交通費も安いので、今度はもう少し頻繁に訪れても良いかもしれない。そう考えているうちに青梅行きの列車がやって来た。
(万世橋から上流を望む)
(古里駅)
DATA:
武蔵五日市駅(西東京バス)千足バス停7:04~7:31小天狗滝~7:37天狗滝~8:08綾滝~8:52馬頭刈尾根(つづら岩下)~9:33富士見台9:43~10:07大滝分岐~10:26鋸山分岐~10:37大岳神社~10:55大岳山~11:41芥場峠~11:53上高岩山~11:57上高岩山展望台12:25~12:51ロックガーデン~12:54綾広の滝~13:19天狗岩~13:28七代の滝~13:58長尾平~14:13御岳土産屋街~14:27御岳平(ケーブルカー乗り場)~14:34大塚山分岐~15:43丹三郎園地~16:04古里駅
地形図 五日市 武蔵御岳
トイレ 千足集落 大岳神社下 長尾平 御岳平 丹三郎園地
バス 西東京バス:武蔵五日市駅~千足(藤倉行き)470円
8月も二週目に入ると風が少し涼しく感じられるようになってきた。そろそろ山歩きも良いかもしれない。奥武蔵の山は8月だとまだ暑いので、久しぶりに奥多摩の大岳山へ出かけることにした。大岳山はそれほど標高の高い山ではないが、日本二百名山に選ばれるほどの名山である。ドームを二段に乗せた特異な形もさることながら、麓からいくつもの登山道が開かれ、それぞれに強い個性を有しているのも大きな魅力だ。また山からは多くの沢が流れ出し、多くの滝を作り出している。今回は檜原村の千足から歩き出し、天狗滝・綾滝を眺めた後、大岳山頂を経由して、帰りはロックガーデンにある綾広の滝・七代の滝を訪れるという滝巡りの旅を計画してみた。
自宅最寄りの駅を始発で出発し、列車を乗り継いで拝島駅に到着する。ここでJR五日市線に乗り換え、武蔵五日市を目指す。五日市線は滝山丘陵の北側にある、あきる野市の市街地を抜けていく。やがて丘陵に挟まれた谷を抜けると武蔵五日市駅に着く。山に囲まれた駅にしては商店が多く、開けた印象を受ける。藤倉行きのバスに乗り込み、一路西へ。旧五日市町の中心街を抜け、十里木に差し掛かると民家はぐっと少なくなる。養沢への道を分け、やがてあきる野市から檜原村へと入る。そばを流れる秋川が深い谷を作り出している。檜原村役場を過ぎると数馬との分岐に出る。藤倉方面へ入るとすぐに払沢の滝入口に着く。ここを過ぎて次の集落が千足だ。バス停の前には朝から商店が開いており、近くの畑では農作業をしている人がいる。山里の朝は早いらしい。
(千足バス停)
商店の向かいの駐車場で出発準備をするが、何故だか異様なまでに汗をかいている。長袖を羽織っているから確かに厚着ではあるのだが、こんなに汗をかくことは無い。体調はあまり思わしくないようだ。バス停から少し藤倉よりに進むと道標があり、柳沢林道が延びている。大きな杉の木がある神社を過ぎ、急傾斜の舗装路を登っていく。途中木造の公衆トイレがあり、割と綺麗に使われている。大きな伐採地を過ぎると転回場が見えてくる。ここが林道の終点だ。
(柳沢林道沿いの沢)
天狗滝から流れ出しているのであろう小さな沢を渡ると登山道が始まる。天狗滝・綾滝の案内板があり、天狗滝までは案内板から10分、綾滝までは天狗滝から20分かかるとのこと。まずは沢沿いの比較的緩やかな道を行く。周囲は杉林に覆われ、夏場でも比較的涼しく歩けそうだ。と言っても今日は日の差さない曇天ではあるのだが。まずは左岸を上がると分岐に出る。左岸を迂回して直接綾滝へと至るルートもあるらしい。左岸を若干高巻くように登っていき、沢を渡って右岸に出た所に小天狗滝への分岐があり、滝そのものがすぐそばに見える。小天狗滝はそれほどの高さは無いものの、周りの岩壁は大きくそそり立ち、なかなかの迫力がある。
(沢を渡る)
(左岸を行く)
(小天狗滝)
右岸から岩壁を巻くと沢を見下ろす岩場に出る。岩場の上は狭いスペースがあり、中高年の男性が休憩を取っていた。「気を付けてね」と声を掛けられたので、どういうことかと思って滝を見下ろすとなるほど道は滝壺へ向かって岩場を下っており、転落の危険がある。慎重に下り、滝壺で顔を洗う。ふーっ、少し生き返った。天狗滝は落差が38mあるとのことだが、一見したところではそれほどの高さがあるようには思えない。上部に隠れた部分があるのかもしれない。案内板によると本宿からこの滝が見えるという。確かに周囲は明るく開けている。
(天狗滝手前の岩場)
(天狗滝)
滝の前を通り、左岸の岩場を登ると綾滝への直通路が合流してくる。その先はやや緩やかな道を行く。一旦沢地形の右岸側へと進むと東側に岩壁がそそり立つやや急な道となる。丸太橋で再び左岸へ渡ると木の間越しに綾滝が見えてきた。滝のそばに行くと左岸にやや広いスペースがあり、ベンチが置かれている。天狗滝と異なり、周囲はそれほど開けておらず、滝が流れる所だけが明るい。水量は少なめで、水の流れが絹糸のように薄く垂れている。落差は21mとのことだが、天狗滝よりも高いように見える。ベンチに座ってぼんやりと滝を眺めているとポタポタと雨が降ってきた。参ったなぁと思ったが、ベンチを離れると何ともない。どうやら滝の水飛沫が舞い上がって木の葉に付き、それが雫となってベンチへ滴り落ちているらしい。
(右岸を進む 右手に岩壁が見える)
(沢を渡る)
(綾滝)
綾滝から先は急斜面の登りが始まる。相変わらず異様なまでに汗をかいているので、とりあえず帽子を被り、袖をまくることにした。とりあえずこれで頭からかく汗は吸ってくれるだろう。道は左岸を高巻くとそのまま尾根道の登りとなる。現在地がどの辺りかよくわからないのだが、時計の高度計からスタート時の標高はわかっており、あと250mくらい登れば馬頭刈尾根の稜線に出そうだ。ジグザグに付けられた厳しく単調な登りをこなしていくと周囲が靄ってきた。雲の中に入ったのだろうか。杉林から落葉樹の森へと変わっていく。頭上に岩っぽいものが見えてくると道標が現れる。道標は大岳山と馬頭刈山を指しており、馬頭刈尾根に出たことがわかった。
(悪路の看板がある辺り)
(ジグザグに登る 辛い…)
(馬頭刈尾根に出た)
稜線の道はつづら岩の南側に付けられており、見上げるとつづら岩の岩壁が立ちはだかる。時間が早いせいか、クライミングの練習をする人は誰もいない。つづら岩の上には上がれるらしいのだが、どこから上がれるのだろうか。少し西側に岩の鞍部のような所があり、薄い踏み跡があるので、上がってみると東側の岩には上がれそうだ。だが実際に取り付いてみると自分には無理そうだ。鞍部は冷たい風が吹き、びっしょりと汗をかいた体には涼しい。いや涼しすぎるくらいだ。
(つづら岩の鞍部)
(つづら岩を見上げる)
寒くなってきたのであまりのんびりできず、縦走路を西に進む。つづら岩を過ぎるとしばらくは緩やかな細い尾根道が続く。「この先道悪し」の看板が現れると急な岩場の道となる。ただ鉄階段なども備えられているので、山慣れている人ならそれほど難しくは無い。ここの登りさえ過ぎれば、あとは細いとはいえ、緩やかな道だ。雲の切れ間に入ったのか、靄の掛かった森に陽が射してきた。やがて東屋が見えてくると富士見台(1054)に着く。結構広い山頂で、東屋のほかにベンチやテーブルが置かれている。草木が繁茂する時期なので、名とは裏腹に見晴らしは無い。その代わり藪の中からシシウドがひょっこり花を咲かせている。背の高い野草で、放射状に延びた白い花が集まって一つの花となり、それがいくつか更に放射状に延びている。意外に風があり、休憩を取っていると靄が晴れて、大岳山のドーム状の山頂が見えてきた。
(悪路がスタート)
(こんな所も)
(蜘蛛の巣についた水滴 これも自然の造形美)
(細い尾根を行く)
(ここを登り切れば富士見台)
(富士見台)
(シシウド)
(大岳山の頭が見えた)
富士見台から大岳神社までは緩やかなアップダウンが続くボク好みの尾根。緩く下り、やや背丈の高い笹薮を抜けて登り返すとベンチが備えられた展望地に出る。富士見台と異なり、ここは富士山が眺められるのだが、先ほどまで雲がかかっていたような天気では望むべくもない。周囲の山も薄ぼんやりとしか見えないのだが、おそらく右手に見えるのが浅間尾根で、奥に壁のように連なるのは笹尾根であろう。手前にある集落は村役場のある本宿辺りであろうか。
(緩やかな道を行く)
(笹薮もある)
(この岩場を登り切れば展望地)
(展望地の眺め)
(本宿辺りだろうか)
富士山の見える展望地を過ぎて、小ピークを越えると大滝・大岳鍾乳洞への分岐に差し掛かる。大滝へのルートは車道に出るまでの距離が短いので、エスケープに使えそうだ。尾根上は広葉樹の雑木林が多く、杉や檜はそれほど多くない。笹薮が少々煩い感じはするが、紅葉や新緑を目当てに歩くのも面白そうだ。薄緑の葉が美しいミズナラの林を抜けると白倉への分岐に着く。するとこの辺りからすれ違う人が多くなってきた。大岳山に登って、下山してくる人たちなのだろう。本来ボクももう山頂へと着いていておかしくない時間なのだが、エアリアのコースタイムと比べると1時間くらい遅れているようだ。
(笹薮はあるが道は穏やか)
雑木林の中を緩々と登り、祠が建つ辺りで鋸山分岐に着く。以前馬頭刈尾根を歩いたときは鋸山方面へと向かったので、今回は大岳山荘方面に入る。山頂直下を東から巻く道で、整備状況は良い。途中岩壁の下を通る際、落石注意の看板がある。注意するに越したことは無いが、岩壁の下を歩くルートならどこであれ落石に注意しなければならないはずだ。右手に大岳山荘の建物が見えてきたら、大岳神社下の広場は近い。
(鋸山分岐)
(大岳神社へ向かって)
(大岳神社下)
広場に置かれたベンチにザックを置き、今後の行程を考える。予定よりかなり時間をオーバーしているし、大岳山は何度も訪れているので、山頂はカットしても良いんじゃないかと思った。でも山頂へ登らなければ何となく閉まりも悪いし…。結局山頂へ上がってすぐに引き返すことにした。神社の拝殿脇から鎮守の森の中を登っていく。最初は比較的傾斜は緩いものの、足下は滑りやすい。ジグザグに登っていくと岩場の登りとなる。ステップを切ってある所もあるので、登る分にはそれほど難しくない。20分弱で人の多い大岳山の頂上(1266.4)に到着。割と広い山頂で、少し下れば休憩を取れるスペースも多い。山頂からは南側の展望が開けているのだが、今日の曇り空では見るべきものは無い。証拠写真だけ撮ってさっさと下る。
(大岳神社)
(岩場の道)
(大岳山頂)
(山頂からの眺め)
大岳神社下から鍋割山・芥場峠方面へは大岳山中腹の岩場を巻きながら下っていく。ここは危険であると同時に山の面白さが詰まったルートだ。岩場の巻き道は転落の危険があるものの、道自体は鎖や鉄階段などで良く整備されている。ちょっとした危険をどうコントロールするか。それが山歩きの面白さの一部だと思う。御岳から歩く人は大岳山を目指す登山者の9割くらいだと思われるので、ここの巻き道はどうしても混雑する。最後の急坂を下ると緩やかな尾根道が続く。
(大岳山荘)
(巻き道の様子)
(鍋割山・芥場峠へ向かって)
鍋割山への分岐を見送り、右に下ると芥場峠。このまま沢地形を下っていけばロックガーデンに至るのだが、鞍部を登り返した所にある上高岩山も気になる。いつもパスしてしまうので、たまには寄り道してみることにした。檜の植林と雑木林を分ける登山道を進むと尾根道と巻き道に分かれる。巻き道へ入ると階段状になって緩やかに下っていく。次の小ピーク辺りにロックガーデンへの分岐がある。どんな道なのだろう?その先、尾根の末端は広葉樹の生える岩場になっている。岩場を上がるとそこが上高岩山の狭い山頂(1012)であった。山頂付近にもロックガーデンへの分岐があるが、道標によると難路となっている。
(上高岩山へ)
(岩場を登る)
(上高岩山)
山頂より南側の尾根道を少し下るとサルギ尾根の展望台だ。通常の東屋の二倍超の大きさがあり、天候急変時にも役に立ちそうだ。主に北東方面の眺めが良く、神社も見える御岳山から伸びやかな尾根を伝って日の出山まで一望できる。ここから見える日の出山は三角形に屹立し、かなり目立つ山だ。更に尾根伝いに行き、次の大きな盛り上がりが麻生山。麻生山の手前に見える木々に覆われた山は高岩山であろう。反対側は大岳山の山頂部だけが見える。ボクが着くと同時に先行者が去っていったので、ここでのんびり昼食を取ることにした。
(展望台)
(御岳山)
(日の出山)
(高岩山と麻生山)
(大岳山)
(御岳山の奥ノ院)
(御嶽神社も見える)
(展望台からのパノラマ)
展望台から芥場峠へ戻り、いよいよロックガーデンへ入る。さてエアリアを見るとロックガーデン内の綾広の滝の上に水場のマークがある。先ほどカップラーメンを作ってしまった関係で水がかなり心もとない。そこでまずは水場へと寄って行くことにした。右岸に付けられた沢を高巻く道は雑木林の緑が濃い。足下が滑りやすく、この光景を眺める余裕のない人が多いのは残念だ。橋を渡り、左岸に行くとここからがロックガーデンだ。道は渡渉して右岸へ渡るのが順路なのだが、そのまま左岸の道を行く。沢を見上がる位置になると山側にパイプが突き刺さり、水が流れ出している。ここが水場であろう。水を汲もうとすると不思議なもので他の人も水を飲もうと並んでしまう。たぶん飲めるかどうか自信が無いのだろうね。とりあえず水は1リットル汲んでおいた。
(ロックガーデンへ向かって下る)
今度こそ右岸へ渡る。沢を高巻く道でかなりの高度感がある。右に曲がると下に大きな岩壁が見える。沢には随分と人がいるようだ。道は階段で沢へと下りていく。ある程度下ると綾広の滝が見える。どうりで人が多いわけだ。沢へ下りると岸壁の奥に一筋の滝が流れ落ちている。正直な話、大岳山の滝としては小さなほうなのだが、訪れる人はおそらく一番多い滝なのであろう。個人的には滝よりも穴の開いた大きな岩壁のほうが迫力はあるように思う。
(右岸から綾広の滝を見下ろす)
(綾広の滝)
綾広の滝から沢に沿って道は下っていく。沢の両岸は水流によって削られ、高くせりあがっている。苔生した岩と合間を流れる沢、沢を覆う木々、そしてせりあがった岩壁が自然の美を作り出している。棒ノ折山の白谷沢と比べると少々人工的ではあるが、それでも十分に美しい光景である。東屋の建つ河原を過ぎると道は左岸を高巻いていく。やがて正面右手に凸凹とした岩が見えてきた。これは天狗岩で、鎖が付いて登ることもできる。今日は時間が無いのでパス。問題はこの下にある七代の滝だ。かなり下っていくことが予想されるので、普段は寄って行かない。しかし今日は滝巡りが目的なので、面倒でも寄って行くほかない。
(ロックガーデンの様子)
(天狗岩)
最初は土留めの木段を下っていく。木段が切れると今度は鉄階段が次々と現れる。滝から戻ってくる人が登ってくるのだが、すれ違うスペースが無いほどの急な道が続く。嫌というほど下ると下に小拾い岩場のスペースがある。その岩場を進むと奥が七代(ななよ)の滝であった。こちらもそれほど大きな滝ではないが、訪れる人が少ないため、のんびりと眺められる余裕がある。
(七代の滝)
七代の滝からあの連続する鉄階段を登っていかなければならないかと思うと憂鬱になったが、よく見ると下りてきた階段の逆側に道が付いていた。これはラッキーと思い進んでみるが、歩き始めてこれは思い違いであることを思い知らされた。このルートは傾斜はそれほど急ではないのだが、ずうっと土留めの木段が続くのだ。疲れた体にこの木段は本当にきつい。ここを登りきると長尾平の分岐に出る。来るたびに綺麗になる長尾茶屋を横目に長尾平のベンチで一息つく。
(長尾平へ向かって)
(長尾平)
長尾平からは御岳山の巻き道を行く。神社のある山頂はカットし、石段に出た所で、脇のスロープを下る。すると何やらしゃがみ込んで写真を撮っている人がいる。覗き込むとレンゲショウマを撮っているところであった。御岳周辺はレンゲショウマの一大群落地であり、この辺りにも数株植えられているのだろう。御岳の土産屋街を抜け、宿坊街を過ぎると杉林の道となる。杉林が終わるとケーブルカー乗り場のある開けた御岳平に着く。ケーブルカー乗り場前は長蛇の列だ。ちょっと時間は遅いが、予定通り丹三郎尾根を下るとしよう。
(神社の境内に咲くレンゲショウマ)
(土産屋街)
(杉林の舗装路)
(御岳平)
富士峰のリフト乗り場の脇から林道のような砂利道が延びている。富士峰の巻き道でバイクとすれ違う。どこかバイクで登ってこられる道があるということなのだろう。富士峰はレンゲショウマの群落地なのだが、林道脇にも花の咲いた株がある。下向きに咲く花なので、写真で撮るのは少々面倒だ。まだ丸い蕾も多く、ひと夏くらいは十分楽しめるのだろう。緩やかに登るとベンチが置かれた広い分岐に出る。富士峰を挟んで御岳平の反対側に位置し、ビジターセンター辺りから直接来られる道もあったようだ。
(富士峰のレンゲショウマ)
(大塚山・丹三郎尾根分岐)
大塚山の東側を巻く道に入る。それほどきついアップダウンは無く、下る分にはかなり良い道だ。巻き道から尾根道へ入ってもしばらくは緩やかな下りが続く。杉檜の植林と広葉樹の雑木林が交互に続き、飽きることが無い。傾斜の急な所はジグザグに道が付けられ、疲れた体にも優しい。一旦傾斜が緩くなる辺りで真新しい林道が出来ていた。その先は割と急な斜面が続き、九十九折でどんどん高度を下げていく。周囲は杉ばかりとなり、だんだん単調に感じてきた。ただ林内は見通しが利いて、確実に里は近づいている。前方に民家が見えてくると東屋兼トイレの建物がある丹三郎園地に下り立つ。身に着けていた帽子と長袖シャツを脱ぐと、水の中に漬け込んだかのように汗でびっしょりと濡れていた。
(巻き道に咲くアザミ)
(大塚山の巻き道)
(丹三郎尾根)
(真新しい林道ができた)
(ここを下りきれば里は近い)
(丹三郎園地)
多摩川左岸の車道を進み、万世橋を渡る。ここは歩道が狭く、欄干も低いのでかなりの高度感がある。突き当りの交差点を渡り、すぐそばの道に入れば古里駅は目の前。列車が来るまで少し時間があるらしい。ホームで待つ間ぼんやりと物思いにふける。奥多摩は久しぶりに来たが、やっぱり山のスケールが大きく良い所だ。思ったより近くて交通費も安いので、今度はもう少し頻繁に訪れても良いかもしれない。そう考えているうちに青梅行きの列車がやって来た。
(万世橋から上流を望む)
(古里駅)
DATA:
武蔵五日市駅(西東京バス)千足バス停7:04~7:31小天狗滝~7:37天狗滝~8:08綾滝~8:52馬頭刈尾根(つづら岩下)~9:33富士見台9:43~10:07大滝分岐~10:26鋸山分岐~10:37大岳神社~10:55大岳山~11:41芥場峠~11:53上高岩山~11:57上高岩山展望台12:25~12:51ロックガーデン~12:54綾広の滝~13:19天狗岩~13:28七代の滝~13:58長尾平~14:13御岳土産屋街~14:27御岳平(ケーブルカー乗り場)~14:34大塚山分岐~15:43丹三郎園地~16:04古里駅
地形図 五日市 武蔵御岳
トイレ 千足集落 大岳神社下 長尾平 御岳平 丹三郎園地
バス 西東京バス:武蔵五日市駅~千足(藤倉行き)470円
暑いからどこにも出かけたくないと思う毎日ですが、
写真を拝見していると、緑が濃くて美しいですね!
蜘蛛の巣、こうして見ていると綺麗だと思いますけど、
歩く道にもあるのでしょうか。
ここのところ立て続けにガックリくることがあり、
どこかの山に登りたいと思ったりします。
今年の冬に少し登っただけなのに、山というのは不思議です。
今日も一緒に行ったような気分にさせていただきました^^
山も暑かったのですが、何故か大岳山は夏に出かけることが多かったりします。普通はもっと高い山に行くんでしょうけれども、奥多摩なら草が煩くないので、わりと歩きやすいんじゃないでしょうか。
>蜘蛛の巣
人通りの多いルートだと先行者が払ってくれているので、蜘蛛の巣が煩く感じることはないと思います。今回歩いたルートだとバス停から馬頭刈尾根に出るまでは結構蜘蛛の巣にひっかかりました。